一年戦争時、ジオン公国軍はアマゾン川流域にあるとされた連邦軍の本陣・ジャブローに大打撃を与えるため「コロニー落とし」を仕掛けるが失敗に終わってしまう…。ガンダムシリーズでも人気のこのシーンのその後を想像し、ジオラマを制作したのはモデラーのサニー・ワークス(@SM_gensan)さん。これまでにも軍隊、戦争を意識した作品を数多く発表している同氏に話を聞いた。

【ジオラマ写真】お腹がパカッと開き特殊部隊が懸垂降下…アッガイの制圧感がすごい迫力! サニー・ワークス氏の作品コレクション

■「ジャブロー特定のための探索」という物語をイメージ

――プラモデルを本格的に制作されたのはいつ頃からですか?

【サニー・ワークス】昔、模型を作っていたんですけど、作らなくなって久しかったある日、近くの模型店でガンプラコンテスト開催を目にしました。ふと立ち寄ってみたら、大人が本気で作ったガンプラが展示されてました。「ガンプラって子どもだけでなく大人も楽しめる模型なんだ」と思い、出戻り復帰しました。2016年のことです。

――なるほど。復帰され、実際にガンプラ制作をされて感動したキットはございますか?

【サニー・ワークス】RGグレードのザクです。信じられない可動領域、ミリタリーモデルに匹敵するパーツ数…誰でも組めるハイクオリティモデル。時代の流れを感じました(笑)。

――作品を拝見すると、ミリタリー系の作品が多いですね。

【サニー・ワークス】元来、ミリタリーモデルが好きで、モビルスーツも戦車や戦闘機と同じ兵器とカテゴライズすると違和感なくジオラマにできると思ったからです。OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)の『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』や『機動戦士ガンダム MS IGLOO』が好きで、アムロやシャアなどのエースパイロットよりも無名のクセのあるパイロットに魅力を感じた事がキッカケですね。

――代表作の1つである「Hunter ジオン特殊部隊」は、水の中に横たわるズゴックが非常に印象的な作品です。本作はどのような物語をイメージして制作されたのですか?

【サニー・ワークス】一年戦争で、ジャブローへのコロニー落としに失敗したジオン公国軍は、降下作戦を立案します。アマゾン川流域と言われているジャブローの場所を特定するため、川に降り立ち、捜索する特殊部隊というのがストーリーをイメージしました。「HGUC ズゴック」、トミーテックの「ジオコレ」シリーズの漁船、ボートセットを使用しました。

■派手な場面だけでなく、その裏にいる人たちも描く

――このアイデアはどのようにして思いついたのですか?

【サニー・ワークス】フィリピンのボホール島でリバークルーズを楽しんだ時、ジャングルの川面にズゴックが浮かんで居るイメージが浮かびました。

――ズゴックから出てくる人、近づく人が印象的ですね。

【サニー・ワークス】私がこれらの作品で、一貫してテーマにしているのが「軍と民間人の共存」です。ジオラマにする際は、兵士と民間人のフィギュアを配置して、接点を持たすように心掛けてます。ズゴックのジオラマでは水上マーケットの商人が、地元の住民そっちのけでジオンの兵士に高値で売込みしているシーンです。

――リアルですね。ガンダムを含め、多くの作品は戦闘シーンなどの派手なシーンに目がいきがちですが、そういった設定にもこだわりを感じます。

【サニー・ワークス】モビルスーツはパイロットだけでは稼働出来ません。整備や修理や補給のサポートが必要です。戦場でも戦う人だけでなく、そこに暮らす人々の生活がある。戦争はあらゆる人達の人生と生活を巻き込むということ。そういった思いを作品に込めています。

――なるほど。実際に制作する際、気を付けていること、心がけていることは?

【サニー・ワークス】モビルスーツの実在感の表現と小道具による生活感の演出です。分解、整備を意識したパネルラインのスジボリやクレーン用のフック、リベット、などの追加工作です。ミリタリー出なので、スケールに合ったチッピングやウェザリングは特に気を使ってます。今回のズゴックは水陸両用なので水垢やサビにこだわりました。汚れやチッピング、塗装の剥がれる箇所を分析して表現しました。
 また今回は、ゆるやかに流れる川の表現は難しかったです。初めて使った「レジン」(樹脂・ガンプラモデラーの間ではパーツの複製・作成に使われる)に苦労させられましたね。

――最後に、サニー・ワークスさまにとってジオラマとは?

【サニー・ワークス】自分の世界観の表現方法のひとつですね。