NHKで放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)に、茶の振売をする商人の役で出演する濱津隆之。第9回(3月15日放送)に初登場した際、医師の望月東庵(堺正章)から「トメ吉の茶はうまい」と呼ばれていたが、「トメ吉」は堺のアドリブ。それが、“正式採用”された(クレジット上は「茶の振売」)。「『カメラを止めるな!』に起きた奇跡がまだ続いている」と話す濱津にインタビューした。

【写真】第23回(9月6日放送)見どころ満載場面写真

――大河ドラマ初出演、おめでとうございます。

【濱津】ありがとうございます。でも、まさか出演できるなんて。実は、オーディションがあったんですが、その場に呼んでもらえただけで光栄に思っていました。記念受験のような感覚で、手応えなんて一切なかったので、マネージャーから「出演が決まった」という連絡をもらった時は驚きました。

――初大河への意気込みは?

【濱津】いやぁ…、なかったですね(笑)。

――映画『カメラを止めるな』(2017年)がヒットして、知名度がグンと上がって、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞して、今年1月期には地上波の連続ドラマ初出演も果たして、大河ドラマにも。まれに見るアラフォー男性のシンデレラストーリーかと思いますが…。

【濱津】そもそも映画『カメラを止めるな!』のヒットが奇跡みたいなもの。わずか300万円で製作されたワークショップ映画が、あれよあれよという間に、全国で公開されることになって。舞台あいさつで全国を回ると、どこも満員の観客が迎えてくれて。取材もたくさんしていただきましたし、バラエティー番組などに呼んでいただいて。次から次に衝撃的なことが起きて、日本アカデミー賞受賞はその最たるもの。当時は一つ一つ味わっている余裕すらなかったですが、奇跡が奇跡を呼んで奇跡が大集合した感じです。

――「売れた」と思う瞬間は?

【濱津】それもないですね。しいて言うのであれば、幅広いお仕事いただけるようになったなぁと。それに、「売れてやる」って気もないです。大学卒業後、NSC(吉本総合芸能学院)に入った20代前半の頃は、人を笑わせたり、人に笑われたり、人前で何かする仕事に就いて身を立ててやる、みたいなことを思っていたけど、それも若さゆえのイキりみたいなものだったのかな、と今は思います。30歳のときに、役者活動をはじめたあたりからは、とりつくろったりせず、身の丈をふまえて、生きていくのがいいな、と思っています。

――役者をやってみようと思ってエキストラ会社からはじめた濱津さんが、『カメラを止めるな!』の一発屋で終わらなかったのは、やはりご自身が“持っている”からだと思いますが…。

【濱津】どうなんでしょう(笑)。まだわからないですけどね。役者になって8年くらいですけど、『カメラを止めるな!』が原点なのは間違いないです。映像作品でメインキャストでせりふがあってというのは本当に初めての作品だったので。『カメラを止めるな!』があったからいろんな作品に呼んでいただけるようになった。「ありがとうございます」としか言いようがない。どの現場に行っても「映画、見ました」と言ってもらえるのもうれしいです。

――『麒麟がくる』の現場でも?

【濱津】はい。いろんな方から声をかけていただきました。皆さん、本当に気遣いのできる素敵な方たちばかりなんです。堺さんと駒役の門脇麦さん、伊呂波太夫役の尾野真千子さんとご一緒できたことも本当に光栄です。特に堺さんは僕の両親が若い頃に夢中になったグループサウンズのスターで、その後もずっと第一線で活躍されている方なので、「うわぁ~、堺さんだ」と恐れ多かったですね。なかなか言葉にするのが難しいのですが、現場にいる堺さんは、全身の力がほどよく抜けていて、何をしているというわけでもないのに、ひきつけられる。やさしくて、サービス精神もあって、時に他の人が思いつかないような言動をして、本当にかっこいい方だと思いました。

――アドリブで「トメ吉」と呼んだように、ですか?

【濱津】堺さんも僕のことを知っていてくれたみたいで、いきなり「トメ吉」と呼んだんです。『カメラを止めるな!』に起きた奇跡がまだ続いている気がします。

――トメ吉の今後の見どころは?

【濱津】今後、駒ちゃんの丸薬づくりを手伝います。撮影が再開されてから、新型コロナウイルス感染予防と拡大防止に細心の注意を払いながら、全力を尽くして撮影しているスタッフ・キャストの思いが伝わってくれたらいいですね。

■第23回「義輝、夏の終わりに」
※台風10号の特設ニュースにより放送延期になりました。

 将軍・義輝(向井理)の文を手に信長(染谷将太)のもとに向かった光秀(長谷川博己)。しかし肝心の信長は美濃攻めに苦戦しており、話どころではなかった。代りに取り次ぎを任された藤吉郎(佐々木蔵之介)から、京で三好長慶の子らによる義輝暗殺計画の噂があると聞く。しかも裏で糸を引いているのが松永久秀(吉田鋼太郎)であると知り、衝撃を受ける光秀。すぐに大和の松永のもとを訪ね、その真意を問いただすも、松永は「義輝はもはや将軍の器ではない、このままでは世が治らないので、殺しはしないが追放するつもりである」と告げる。