とにかく手軽に食べて、明日のために早く寝たい──。会社員として忙しく働くなかで考案された「楽・安い・ヘルシー・おいしい・見た目」なレシピを、ほのぼのした写真とイラストでわかりやすく解説する「#おえかきレシピ」がインスタグラムで共感を呼んでいる。老若男女問わず誰でも真似しやすい、肩の力の抜けたレシピを投稿する思いを聞いた。

【画像】洗い物ゼロやレンジだけ…ケーキやキッシュ、パスタも!見たまま作れる簡単レシピ

◆自炊の愛おしい味を覚えてから料理が楽しくなった

──もちさんのお料理の環境を教えてください。

【もちさん】 会社の寮に住んでいて、水場やキッチンは共用。部屋にあるのは冷蔵庫、炊飯器、オーブンレンジだけです。「#おえかきレシピ」で紹介しているお料理も、この3つの道具だけで作っています。

──「千切りできないゆとりOL」と自己紹介されていますが、もともと料理は?

【もちさん】 まったくしなかったです。大学時代からひとり暮らしをしていましたが、1人分だったらコンビニで買ったほうが早いし、スーパーで半額になっているお惣菜の方が安上がり。ということで、お料理をする必要性も感じていませんでした。

──自炊するようになったのは?

【もちさん】 今の寮生活を始めてからです。もともと限られた環境のなかでできることを研究することが好きで、自炊にもハマっていった感じです。あとはやっぱり食べることが好きです(笑)。コンビニの整った味もすごく美味しいけれど、作るたびにちょっとずつ違う自炊の愛おしい味を覚えてから料理が楽しくなりました。

──仕事で忙しい日々のなか、自炊が面倒くさいなと思うことは?

【もちさん】 本当は食べること以外、あまり好きじゃないんです(笑)。買い出しや下ごしらえ、後片付けも。その面倒なところを最小限まで手抜きして、楽しいと思えることに集中できる今の自炊スタイルを確立してからは、面倒だなと思うこともなくなりました。

──「#おえかきレシピ」でルールにしていることはありますか?

【もちさん】 食材の数はあまり増やさないこと。できれば1、2品の食材でできるようなレシピにしています。それか具沢山のスープやオムレツなど、冷蔵庫に余っている食材を全部入れてできるような料理。いずれにしても手間がかかるレシピは載せません。というか作れないんです(笑)。

──レシピはどのように組み立てているんですか?

【もちさん】 週1回スーパーに買い出しに行く時は特にレシピを考えず、主にそのときに安くなっている旬の食材を買います。そこからいろんなレシピサイトを見て、今ある食材に合う王道の味付けを探し、さらにそのレシピをうちにある道具や調味料でいかに簡単に再現できるかをトライしてみます。

◆私のレシピは肩の力が抜けたものばかり、「いかにわかりやすく伝えるか」を工夫

──王道の味付け、つまり毎日食べても飽きない味ということでしょうか?

【もちさん】 そうですね。私は料理家ではないですし、三ツ星レストランのような味を目指しているわけではないんです。むしろ明日作ったら、また違う味になってしまうような家庭料理。それを簡単に作る方法を、いかにわかりやすく伝えるか、ということを一番に考えています。

──1枚の写真とイラストによる解説もわかりやすいですね。

【もちさん】 やっぱりお料理を美味しそうに見せたいので、白い器を選んでいます。というか洗い物をあまりしたくないので、最小限の食器しか持ってないんですが(笑)、シンプルで飽きないデザインなので、どんなお料理にも合うんです。

──お料理が苦手だったもちさんが、レシピを投稿するようになったきっかけは?

【もちさん】 社会人として成長したかったからです。2年前の新入社員の頃、自分がなかなか会社に貢献できないモヤモヤを感じていました。特にSNS関連の部署ではなかったのですが、「人に伝える技術」を磨くことで新しい視点を得られるのではないかと思って「#おえかきレシピ」を始めた、というのが経緯です。

──意外にもお料理とは関係のないところからのスタートだったんですね。

【もちさん】 はい。だから私のレシピは肩の力が抜けたものばかり。むしろ「いかにわかりやすく伝えるか」という工夫に時間をかけています。そのおかげで会社でも普段関われないようなプロモーション関連の会議に参加させてもらえるようになったりと、最初の目標は達成できたかなと思ってます。

──今やフォロワーも11万人超え。どこが共感を呼んでいると思っていますか?

【もちさん】 私もいろんな方のインスタグラムを見るんですが、数年前は「インスタ映え」じゃないですけれど、背伸びをした投稿が人気だったと思うんですね。だけど今はあまり誇張しすぎないもの、自分の生活にも取り入れられるようなものが共感を呼んでいるような気がします。

──「憧れ」よりも「等身大」な投稿?

【もちさん】 そうですね。フォロワーさんとの信頼関係を築く上で、投稿者の「正直さ」はすごく大切だと思います。だから私も画像を変にイジってキレイに見せすぎたり、「極上レストランの味です」みたいな大げさな表現はしないで、味や作った感想にしても、自分の感じた正直な気持ちを伝えるようにしています。

──この「#おえかきレシピ」を特にどんな方に届けたいですか?

【もちさん】 「これをやらなきゃお料理とは言えない」など、自炊に何かしらハードルを感じている方に少しでも解放された気持ちになってもらいたいなと思ってます。「こんなのでも自炊って言えるんだったら、今日はコンビニじゃなくて家で作ってみようかな」という方が1人でも増えたらうれしいですね。

(文/児玉澄子)