現在、11本のレギュラー番組を抱え、「バラエティ番組の帝王」の名をほしいままにする有吉弘行。『有吉ゼミ』や『有吉の壁』(ともに日本テレビ系)といったヒット番組をはじめ、NHKを含めた主要テレビ局すべてに冠番組を持っている。そんな有吉の“隣”に立ち、進行役やアシスタントを務めることは、ある意味“勝ち組の証”ともいえる。これまで有吉をそばで支えてきた女性たちの視点から、彼の功績を改めて考察する。

【写真】この笑顔に救われる…有吉の隣に立つ女・佐藤栞里「芸人みんな栞里ちゃんが大好き」

■ブレイク~転落 女性ウケしないリアクション&裸芸で復活

 有吉弘行の経歴を今一度振り返れば、森脇和成とともに猿岩石を結成し、1994年にデビュー(ちなみに1992年、高校在学中にオール阪神巨人・オール巨人に弟子入りしたが、1994年に正式に破門)。1996年、『進め!電波少年』(日本テレビ系)のヒッチハイク企画で大ブレイク、著書『猿岩石日記1・2』は累計250万部、シングル「白い雲のように」は113万枚を売り上げた。

 しかしその後、人気は急下降。地元の広島でローカルタレントとして活動していたが収入も少なく、人に蔑まれるのが苦痛でアルバイトもできずに、ただテレビを見る日々が続く。大ブレイク時の貯金を切り崩して生活しながら、漫画用具一式を購入して漫画家を志そうとしたり、局部を切り落として“オネエタレント”として再起を図ろうとしたり、自殺まで考えたという迷走時代、どん底時代を経験する。

 そんな有吉の転機となったのが、『内村プロデュース』(テレビ朝日系、2004年以降)。2004年、猿岩石を解散すると、同番組で「牛乳を口に含むも爆笑して吐き出す」的なリアクション芸をこなし、ふかわりょうらの陰に隠れながら地味に地上波に復帰。『リングの魂』(同)でも「芸能界柔道王選手権」に参戦しつつ、『アメトーーク!』(同)では、品川庄司・品川祐に「おしゃべりクソ野郎」とあだ名をつけ、一気に“毒舌”と“あだ名”で再ブレイクを果たすこととなった。

■女性タレントとの絡みがコアファンから一般ウケへ

 しかし、こうした毒舌や体を張ったリアクション芸は、かつて猿岩石の時に女性層から獲得していた“アイドル的人気”を完全に捨てることに。ターゲットを同世代の男性にシフトすると、徐々にお笑い好きの男性ファンの支持を得るようになった。

 そうしていく中で、ついに2010年に、当時人気絶頂のAKB48との番組『有吉AKB共和国』(TBS系)がスタートさせ、AKB48の神7・小嶋陽菜とともに司会を務めるに至る。以後、『有吉反省会』『有吉ゼミ』(ともに日本テレビ系)、『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)、『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ系)等々、各局でMCの仕事が激増していくのである。

 こじはるとの共演をきっかけに有吉は一般向けの笑いにも対応するようになり、各番組で女子アナや女性タレントとの絡みも一層多くなっていく。

■辛辣さの中にある“優しさ” イジられること、隣で成長できる“勝ち組”の席に

 有吉は2008年に『内村さまぁ~ず』で、「1個1個の仕事を大事にし、確実に仕留めていく」旨のアドバイスを内村にもらった。それが現在も心に刻まれ、共演する女性たちにもそれを伝えていく役割を自ら担ったかのように見える。

 元AKB48・SDN48で事務所の後輩でもある野呂佳代は、2013年に『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の「有吉先生のタレントマジ相談」に出演し、「パチンコ番組とパチンコの営業で食いつないでいる状況」を相談すると、有吉は「パチンコ番組、全力でやれバカ!」と一喝。それをきっかけに野呂は仕事に全力で臨むようになり、現在のプチブレイクともいえる状況になったことを「有吉さんのお陰」と感謝している。

 また、『有吉&ベッキーのクイズ80』(日本テレビ系)で共演したベッキーにしても、かつて『アメトーーク!』で有吉に「元気の押し売り」とあだ名をつけられていた。しかしその後、高い好感度を持っていたベッキーがまさかのスキャンダルでどん底に落ちた後、今では自虐ネタを繰り出すまでに回復しているのは、有吉との共演で培われた逞しさの発露といえるかもしれない。

 さらに、ある意味では“女版・有吉”ともいえる事務所の後輩・指原莉乃も、「有吉さんはすごい優しいんです。面白くないアイドルとかにも、ちゃんと厳しく言いつつも『まあ、そういうもんだろ』ってわかってくれてるっていうか。そういう意味では、有吉さんかな。優しさランキング1位」と有吉をリスペクトするコメントをしている。

 そして今一番、有吉の“隣の女”が似合う『有吉の壁』(日本テレビ系)で共演する佐藤栞里の場合、有吉にスパルタ式で育てられたというよりは、ニコニコしている佐藤を有吉がひたすら見守る形だ。それが功を奏したのか、佐藤はMCとしてすでにひと皮剥けている感もあり、同番組に出演するパンサー・向井慧にも『あちこちオードリー』(テレビ東京系)共演した際、「『有吉の壁』に出ている芸人はみんな栞里ちゃんのこと好きなんですよ。街でボケるんですけど、うまくいかなくてスタッフさんにもウケないときもある。でも、栞里ちゃんだけはニコニコこっちを見てくれている。それで、どれだけみんなが救われてるか」と絶賛されている。佐藤の才能を見抜いた有吉の直感の賜物といえるかもしれない。

■かつて苦難を救った先輩たちへ バラエティ&後輩を通して“恩返し”

 こうしてみると、むちゃぶりや毒舌に弱いアイドルや女子アナにとっては、有吉は自分の価値を高めてくれるありがたい存在。普段は清楚でおとなしいイメージのある女性でも、有吉と絡むことによって番組をきちんと回せる力があるように見えるし、実際に鍛えられているのである。

 まだ何もわからない若い時期に突如として大ブレイクし、急転直下どん底を経験、そこから這い上がって今のポジションを得る。そんな芸能界の厳しい紆余曲折を身を持って体験・体現している有吉だからこそ、共演する女性たちも安心して身をゆだねられるのかもしれない。

 また有吉にしても、自らが再ブレイクして輝いている自覚があるからこそ、隣の女性タレントをも光らせて見せる。『有吉の壁』で若手(と中堅)芸人を使いこなす有吉の姿は、かつてどん底の有吉を使い続けたウッチャンナンチャンやさまぁ~ずの姿ともどこか重なり、芸能界に“恩返し”をしているようにも見える。

 バラエティ番組のアシスタントや進行役といえば、女性タレントにとっては花形のポジション。そして今や有吉弘行の“隣の女”のポジションは、女性タレントにおける最高の「立ち位置」といえるのかもしれない。