ドラマ、アニメなどで物語を盛り上げるのは、主人公と互いの実力を高めあうライバルの存在。ガンダムの世界にも、量産型の機体にカスタムを施し、連邦軍を苦しめた名機が存在する。ガンプラモデラーのえぬせ(@nseman)さん、ろろ(@roro_ru_0625)さんも、それぞれ「グフカスタム」「シャア専用ザクII」というライバルたちを制作。モデラーを魅了する“好敵手”たちの魅力とは?

【写真】「怯えろ! すくめ! モビルスーツの性能を生かせぬまま死んでいけ!!」圧倒的迫力でガンダムに立ちはだかるグフカスタム

■グフカスタムに出会わなければ全く違う人生を送っていた(えぬせ)

――ガンプラの魅力にはまったきっかけはどのキットですか?

【えぬせ】思い出に残っているのは、HGの『グフカスタム』でしょうか。『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の第10話「震える山(前編)」でのグフカスタムの活躍に完全にヤラれてしまい、すぐにキットを買ってもらいました。

――確かに、量産型ガンタンクを撃破し、ガンダムを窮地に追い込んだ上、パイロットのノリスの「怯えろ! すくめ! MSの性能を生かせぬまま死んでいけ!!」は名セリフとして語られています。

【えぬせ】そうなんです。これがきっかけで、ガンプラを含むガンダムというコンテンツにのめり込んでいくことになるほど私にとっては衝撃的でした。コイツに出会っていなければ全く違う人生を送っていたと思いますし、私の道を踏み外させた悪いヤツです(笑)。

――昨秋に、食玩のGフレーム版「グフカスタム」を制作、発表されました。「グフカスタム」は、これまでHGなどでも発売されていますが、何か違いを感じましたか?

【えぬせ】HGなどで発売されているグフカスタムのキットはどれも出来がいいです。ただ、グフカスタムへの思い入れの強さからか、これまでに発売されたキットは個人的にどれもしっくりきていませんでした。
 Gフレーム版は全身がガッシリとしたプロポーションで、「自分がイメージするグフカスタム」にドンピシャでした。なので「グフカスタムを作るのは、これで最後にするぞ」という心持ちで制作しました。

――制作する際、特にこだわったポイントはどこですか?

【えぬせ】もとが食玩のせいか、全体的にディテールが眠たくなっているので、それらをシャキッとさせることを意識して表面処理をしました。特に塗装済みの部分は親の仇のように塗膜が厚いので、リペイントする際はここを念入りに処理してあげると仕上がりが良くなります。ただ、素材がABSなので溶剤やリムーバーを使うとプラ地が溶けてしまったので、ひたすらヤスリがけするしかなかったのがツラかったです。
 あと、共通フレームに外装を被せる構造のため、全体的にプロポーションががっしりとして力強いことと、ケレン味のあるディテールアレンジが気に入っています。ポーズも決めやすいのもいいですね。

――制作し終えて改めて感じる、好敵手「グフカスタム」の魅力はどんなところだと思いますか?

【えぬせ】やはり、単騎で主人公の部隊+量産型ガンタンク部隊を圧倒した実力でしょうか。加えて自身は撃破されるものの、本来の目的である「巡洋艦の脱出の障害となる、ガンタンクの撃破」を達成したところ。単純に敵を倒すだけが勝利ではない点を教えてもらいました。

■量産型とは違う“特別感”が魅力(ろろ)

――高校卒業以来10年ぶりのガンプラ制作で「シャア専用 ザクII」を手にされたとのことでしたが、どのようなストーリーをイメージし、制作されましたか?

【ろろ】実は、10年ぶりということで当初、ストーリーやそのMSが持つ背景、情景までをイメージする余裕はありませんでした。ところが、制作を進めていき、塗装が出来る段階にもなるとこの「ザクII」に”考え”を付け加える余裕が出来ておりました。

――完成形が見えて、その先の物語がイメージできたんですね。

【ろろ】仕上げ時にイメージしたのは「地球に降り立ち、左遷された後のシャア」です。その後ズゴックを使って、再びアムロの前に姿を現すわけですが、それまでの空白の間をイメージしました。
 これは僕の妄想ですが、ガルマの死に関わったシャアはきっと左遷先の部隊にて蔑まれていたのではないかと考えました。そうすると機体のメンテナンスや大切なバックアップもおざなりになり、どんどんと機体は傷んでいく。しかしそれでもシャアにはこれまで全てをかけて進めてきた目的(ザビ家への復讐)があります。シャアはその時何を思うか。おそらく復讐の行く末を見据えていたのではないでしょうか?そんなシャアの心情を聞いてみたいものです。
 もっとも、ガルマ謀殺~ジャブロー復帰までの間のストーリーは諸説さまざまあるので、左遷後にザクを使用して地上戦を行っていたのかどうか分からないのですが、そこも含めて僕の妄想です。

――傷んでいく機体からシャアの立場を表現されたんですね。ウェザリング(汚し加工)も見事に表現されています。

【ろろ】ウェザリングに関しては、正直勉強中です。ガンプラのウェザリング仕上げの作例はもちろん、戦車や飛行機のプラモデルの塗装手法などを調べながら”おっかなびっくり”進めていたんです。でも綺麗目仕上げとはまた違った楽しさ、奥深さを感じられてとても楽しい工程だと思いました。

――今作のこだわりをお教えください。

【ろろ】ザクIIには“重量感”と“力強さ”を組み合わせた雄々しさが必要不可欠と僕は考えていて、自身の思う理想的なバランスを実現することにこだわりました。ザクIIだけではありませんが、MSを作る際、最も重視しているのは完成した際に綺麗に立ち姿が決まるかどうか。重複しますが、そのバランスを実現させるために、この調整には最初から最後まで苦労しました。

――制作し終えて改めて感じる、好敵手「シャア専用 ザクII」の魅力はどんなところだと思いますか?

【ろろ】“特別感”ですかね。角が付いてたり、赤かったり、まさかの3倍速かったり。量産型とは違う魅力が詰め込まれています。