かつて20キロものダイエットに成功し、今もリバウンドはなし。46歳にして驚きの美脚を持つ久優子(ひさし・ゆうこ)さんは、ボディメンテナンスセラピスト・美脚トレーナーとして活躍している生き生きとした女性だ。だが、そんな彼女も過去には、離婚、借金、火事、子どもとの別離…など、大きな壁にぶち当たってきた。心身ともにさいなまれながらも、負けることなく這い上がってきた久さんに、その強さの秘密を聞いた。

【写真】「ホントに46歳⁉」脅威の美脚と、それを生み出すマッサージ法

■何不自由ない結婚生活に亀裂、待っていたのは借金と自宅の火災

 これまでに、リンパマッサージを基軸としたダイエット、美容・健康本を多数出版。7月には、新たな書籍『下半身からみるみるやせるおうちダイエットBOOK』(講談社)を発売したボディメンテナンスセラピスト・美脚トレーナーの久優子さん。マイナス20キロ以上のダイエットに成功した経験や、46歳になった現在もキープし続けている美脚を武器に、美容の悩みや身体の不調を抱える女性たちを救っている。

 今でこそ順風満帆な日々を送る久さんだが、天職といえるリンパマッサージに出会うまでは、まさに波乱万丈な人生だった。

 「23歳のときに11歳年上の方と結婚し、長男・長女にも恵まれ、何不自由なく幸せな結婚生活を送っていました。数年後、自営業だった夫の仕事がうまくいかなくなり、私も働き始めることに…。若くして結婚し、今まで家庭という小さな世界しか知らなかった私が外で働くようになり、承認欲求が芽生えだんだんと夫や姑との関係に亀裂が入っていきました。一番避けていた“子どもの前での喧嘩”も多くなり、お互いの我慢も限界に近づき、私は借金を背負ったまま離婚することになりました。別れてから一社会人として独立して仕事していますが、彼と過ごした日々に教えてもらったことが生かされている気がしていて、今ではとても感謝しているんです」

 とはいえ、幼い子どもを抱えたシングルマザーとしての生活は、決して甘くはなかった。企業の企画資料作成、芸能事務所で仕事、撮影モデルなどとにかく生活のためになんでもやった。だが、生きることで精一杯という毎日を、さらなる大打撃が襲う。

 「家が火事になってしまって、家財道具も住むところも、すべて失ったんです。燃え残ったものも煤だらけだし、臭いも酷くて使えたものじゃない。その時はお金もまったくなくて、いっそ子どもたちと3人で死んだ方がいいんじゃないかとすら考えました。その後、姑と子どもたちと私の4人で小さなマンションで暮らし始めたんですが、とにかく働き詰めで肉体も精神もボロボロでした。そして姑との同居で安らぐ時間もなく、パニック障害を起こし、うつ状態になってしまい、私だけ家を出たのです。その時の所持金は財布に入っていた3万8000円ほどだけだったのを覚えています」

 精神的に追い込まれ、地を這うようにして家を出たという久さん。その結果、子どもたちは元夫のもとに、会うことすら禁じられてしまったという。家族も、仕事さえ失う、まさにどん底状態。しかし、生きるために再び仕事に励むなかで、天職だと思えるリンパマッサージと出会うことができた。

 「私がダイエットに大成功したのはマッサージのおかげなんです。そのマッサージのおかげで、火事にあって疲れ果てたときも、離婚してつらかったときにも、元気に前向きになれました。私を救ってくれたのは“マッサージ”と言っても過言ではなかったのです」

 「ある時、今の恩師との出会いを通じ、リンパセラピストになる道が開けたのですが、独学でのマッサージでは知り得なかった体のメカニズムを知ることができました。それまで自分がなんとなくやってきたことに、答え合わせができて『このリンパ節に向かってマッサージしたから効いてたんだ!』『ここに静脈があるから即結果が出てたんだ!』と、合点がいくのもすごく楽しかったんです。もっと知りたい!という欲が自分を掻き立て、色々な分野を学ぶようになりました。運良く色々な先生方がマンツーマンで教えてくれたので、身につくのも早かったんです」

 さらに、リンパマッサージのみならず、整体や人体学など美容と健康に関するものにどんどんハマっていった。なぜ、そこまで魅了されたのだろうか?

 「それはやっぱり、私自身が効果を実感し続けてきたから。リンパマッサージは、単にむくみを取るためのものではなくて、身体に沿って不要なものを流し、整えていくものなんです。身体はすべて繋がっているので、気がつけば整骨やツボ、バランス学や人体学など、身体にとっていい施術をたくさん学びました。次から次へと恩師といえる人たちに出会い、教えてもらえたのは本当にラッキーでした。何人もいる恩師の“いいとこ取り”をしたのが、今の私のメソッドなんですよ」

 リンパマッサージというと、手や足、身体を流れるリンパに沿って撫でるように押していく、というのが一般的なイメージだろう。しかし、久さんの新刊ではリンパマッサージをベースにしているものの、ストレッチや生活習慣のアドバイスも合わせた、より効果的で長期的な習慣にしやすいダイエット方法を紹介している。痩せてキレイになるだけではなく、身体の不調自体を取り除いていくのが、久流のボディメンテナンスなのだ。

 「骨と筋肉も含めて、身体を“整える”ことが何よりも大切です。今までの本では、リンパはリンパ、小顔なら小顔とテーマを絞って紹介してきたんですけど、今回はもっと動きを持たせて、マッサージとストレッチの相乗効果を狙いました。その結果、とても取り組みやすくなったし、読む人の悩みにより応えられる本になった気がするんですよね。それはもしかしたら、自分が歳を重ねてきて、自分の身体とより向き合うことができるようになったせいなのかもしれません。健康的な美しさを求める以上、筋肉は無視できませんが、運動能力を上げるために“筋肉”を鍛えるわけではなく、ねじれた部分を元に戻す、自分の骨を支えるための“筋肉”を作るとか、そういう面での筋肉ケアの方法をご紹介しています」

■「運動は大っキライ」なのに? 46歳とは思えない美脚の秘訣

 実際、久さんが経営するサロンを訪れるのは、エステを受けるというより、身体を整えるために来る人たちがほとんどだという。確固たる信念のもと、美容と健康に向き合う久さんだが、彼女自身もそのおかげで若々しく、見るからに健康的。その美脚ぶりは、とても46歳とは思えないほどだ。聞けば、ストイックになりすぎない程度のこだわりがたくさんあるんだそう。

 「運動は大っキライなので、まったくしません(笑)。夏にSUP(スタンドアップパドルボード)だけはやるんですけど、日焼け止めも塗らないのでいつも真っ黒に焼けちゃって、よく怒られます(笑)。体型維持のためにやっていることといえば…緊張感を持つために、つねにミニスカートで脚を出すこと、発酵食品をたくさん摂ること。あと、身体が歪むことは意識してやらないこと。なんでも美味しく食べて、無理な運動をしすぎないこと、我慢をしないことが大切ですね」

 さまざまな出来事があった過去も、「当時はそれが当たり前だったので、『大変だったでしょう?』と言われても、私自身はよくわからないんですよ」と笑いながら話してくれた久さん。波乱の人生を生き抜いた強さは今、美と健康への探求心、そして彼女自身の内面の美しさへと昇華している。

 最後に、初心者にも始めやすいリンパマッサージの方法を教えてくれた。

 「お風呂に入ったときに、湯船の中で足首を回すことと、足指と足の裏をたくさん触ることから始めるのがいいと思います。足の裏にはツボもありますけど、とても細かいリンパ網があるんです。無理に押さなくていいので、しっかり押し指先からかかとに向かって撫でていくだけで足はかなりラクになりますよ。足は体の土台ですから! みなさんもぜひ、やってみてくださいね」

(文:川上きくえ)