「元芸人」、「元ゲーム実況プレイヤー」という肩書きを持ち、現在はSNSで数々のショートギャグ漫画を発表している2人の人気SNS漫画家にインタビュー。彼らが描くのは“4コマ風”だが、コマ数に縛られず、1コマ、3コマ、8コマなど、自由な形式で描いている。そこには、独特のネタ作りの方法や、見ている人を飽きさせないための工夫が込められているようだ。

【漫画】「りんごが…見える!?」“限定しりとり”ほか、SNSでいいね集まる小山コータローさんの“数コマ漫画”

■ネタによって最適なコマ数があるから、4コマにこだわらない

 「両手に乗るもの」という“しばり”を設けたしりとりに、互いにシュールなツッコミを入れていく8コマ漫画「限定しりとり」がTwitter上でたくさんのいいねを集めている。描いたのは元お笑い芸人の経歴を持つ小山コータローさん(@MG_kotaro)。元吉本興業東京NSC11期生で、芸人の世界に挫折した後はコントの脚本を書くなどしながら、約2年前からギャグ漫画を描き始めた。「限定しりとり」は芸人時代の漫才のネタをリメイクしたものだ。

 「もともと漫才のネタで作ったネタなので、テンポよく2人のターンが続いているんです。しりとりを “やってみます!”とか“やってみたら面白かったです!”などの反響が意外と多かったですね。自分としては“ワロタ”の感想がもらえればいいやって感じでしたけど、嬉しい誤算でしたね」(小山コータローさん)

 小山さんの作品は、1コマのものもあれば8コマのものもあり、4コマのフォーマットにとらわれていない。ネタを作るときはフラッシュ暗算のように脳内にいろいろなフレーズをランダムに連想して考えることもあるという。そうしたネタをスマホのメモにストックしておき、そこから漫画にするものを選んでいく。

 「“これなら4コマかな”“これは1コマだな”とネタを振り分ける感じですね。ネタによってそれぞれ最適なコマ数があると思うので、最初からコマ数を決めないでいたら、このようなスタイルになりました」(小山コータローさん)

 小山さんは自らの漫画を「心地よい違和感」と評する。「共感」が大事とされるSNSでは大当たりしにくい作風だが、共感系の作風は苦手な分野。そこで、ほぼ毎日のように新作の漫画を発表することで「分母を増やし、どこかで大当たりするのを願っている」のだという。

 「今後はとりあえずフォロワー10万人が目標です。もっと面白いものが描けるようになりたいです。みんなの憂鬱を少しでも和らげるような作品をたくさん残しておきたいですね」(小山コータローさん)

■RT数やいいね数は、絶対的な面白さの評価ではない

 プレイヤーが放った一言が頭から離れず、悶々と悩むモンスターの姿に感情移入してしまう3コマ作品『このセリフがずっと頭から離れないはぐれメタル』もTwitterで22.1万いいねを集める話題作だ。描いたのはゲーム実況出身の漫画家ジョンソンともゆきさん(@tomo_yuki2525)。元々ニコニコ動画でゲーム実況動画を投稿していたが、別のこともやってみたいという気持ちと、大喜利が好きだったことからギャグ漫画の世界へ足を踏み入れた。

 「この作品が支持されたのは、ゲーム系のネタで人気キャラということもあり、キャッチーだったのかなと。ゲーム実況者だった経験や自分の作品性、投稿のとき気を付けていることが全部噛み合っていました。作品づくりで心がけているのは、人間らしい部分を描くということ。弱かったり情けなかったり、でも可愛かったり優しかったり、そういったいろいろな人の感情の揺れに焦点を当てています」(ジョンソンともゆきさん)

 作品を発表するときは、飽きられないようにする工夫も忘れない。「以前はたまに投稿する1コマ漫画の評判が良かったんですが、今はたまに投稿する2~4コマ漫画の方が評判がいい。同じ形で投稿を続けていると、いつも見ている人が飽きてしまうんでしょうね。特に1コマ漫画は物語の発展を見せることができないので、読みやすい分、見慣れてしまう。常に一辺倒にならないことが重要だと思っていますし、意識しているところです」(ジョンソンともゆきさん)

 また「RT数やいいね数は絶対的な面白さの評価ではない」とも話す。「拡散したくなる理由は“引用RTで一言添えたい”というのが動機だったりして、面白さとは別なんですよね。純粋に面白い漫画を描いて投稿したいという方は、数字を気にしない方がいいと思います」(ジョンソンともゆきさん)

 実はジョンソンともゆきさんは、2019年5月に慢性骨髄性白血病と診断され、治療を続けながら精力的に活動を続けている。白血病の治療費の援助を求めるnoteの記事には、たくさんのファンからのメッセージが寄せられ、金額以上に気持ちが救われたという。

 「支援してくださった方にコンテンツで恩返しがしたいですし、自分が有名になって影響力が出て経済的にも余裕が出たら、全員を招待できるぐらいの大きいイベントを開催して、改めて感謝の気持ちを伝えたいです」(ジョンソンともゆきさん)