女優の上白石萌音が、“手紙に寄り添う”ラジオパーソナリティーを演じるラジオドラマ『仮想郵便局』がNHK・FMで29日(後10:00~10:50)に全国放送される(鹿児島県では今月11日に先行放送)。

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 鹿児島では2018年頃から「宛名のない手紙」を受けつける仮想の郵便局の“開局”が広がっている。NHK鹿児島放送局では、この仮想郵便局をモチーフに、視聴者公募でよせられた手紙をもとに、戦後75年のこの夏だからこその物語を制作。鹿児島出身の上白石が、主人公のラジオパーソナリティー・前園ことりを演じる。

 脚本を担当した詩森ろば氏による物語は、長年の夢だった地元ラジオ局に就職し、人気番組のパーソナリティーを担当することになったことりが、ある一通の手紙と“出逢う”ことからはじまる。

 ことりが担当する人気番組とは、宛名のない手紙同士をマッチングさせ、まるで問答歌のようにする『仮想郵便局』という名の番組。念願の仕事のはずなのに、まったくうまくいかず落ち込むことりに、ある日、一通の手紙が手渡される。それは、「終戦直前に特攻隊員として飛び立ち、戻ってこなかった恋人に宛てた女性の手紙」だった。

 鮮烈すぎるその手紙に返すべき言葉を探すうち、ことりは、1945年に迷いこむ。ちっぽけなものだと思いこみ、ないことにしてきた気持ちに、なかったことにされた気持ちに向き合うことり。手紙に寄り添い、ことりが読み上げた「返信」とは…。

 第二次世界大戦末期、鹿児島には多くの陸海軍基地が設けられ、各地の飛行場から連日、特攻機が南の空へと飛び立った。

 上白石は「地元・鹿児島が舞台の作品に出られることがすごくうれしいですし、戦後75年という大切な年に、みんなで考えられるような作品になっていますので、ぜひたくさんの人に届いてほしいなと思います」と、コメント。75年前の戦争を題材に取り入れながらも、「ふるさとへの愛や、恋人への愛、家族への愛、職場の中での相手を思いやる気持ち、他人のことばを思いやる愛…いろんな愛でできた、とても優しくてあたたかい、考えさせられる作品です」と、アピールしている。

 ほかに、北村有起哉、富田靖子、柄本時生などが出演。

 ラジオ局のディレクター・橋口雄介役を演じた北村は、収録時を振り返って、「終戦75年目ということで、こんなことがあったんだなぁっていう題材で、僕自身知らなかったので、正直つらい気持ちになってしまって、ちゃんと立て直して朗読しないと流されちゃうくらい、感情があふれてしまいました」。

 ことりが巡り会う青年将校・森一馬役の柄本も「戦争に向かう方の役をやらせていただいたのですが、感覚が今の現代とはちょっと違うんじゃないのかなと思っています。そこを聞いていただけたらうれしいです。本当に優しいお話なので、なんだか…泣けると思います」と、話している。