レギュラー番組7本を抱え、年間出演本数は約400本に上るハライチ・澤部佑。「明るく人なつっこい」「坊主でかわいい」など好感度が高い“陽”キャラのイメージがあるが、小学校から同級生である相方・岩井に学生時代の暗黒期や根暗な一面を暴露されたことにより、「本当は暗い」「腹黒い」との真逆キャラも浸透しつつあるようだ。しかし、“陰”の部分が暴かれたことにより、逆にイジられたり、キレ芸や毒舌で切り返したりと、むしろ芸人としての幅が広がったとも言える。“陰と陽”の両方を手にした澤部のさらなる可能性とは。

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■各局でレギュラー番組、年間出演本数は約400本 俳優業もこなすマルチ人気

 2015年からほぼ毎年、年間約400本のテレビ番組に出演している澤部。レギュラー番組だけ見ても、『日本人のおなまえっ! 』(NHK総合)、『初耳学』(TBS系)、『相葉マナブ』(テレビ朝日系)、『なりゆき街道旅』(フジテレビ系)、『欅って書けない?』(テレビ東京)など、同局で芋づる式に複数番組起用というのはよくあるが、澤部の場合は各局で引っ張りだこなのだ。

 さらには、好感度が重視されるCMでも、菅田将暉とともに「花王メンズビオレ」(2016年~)、広瀬すずと「ポケモンカードゲーム」に出演。今年3月には、高視聴率を記録したドラマ『テセウスの船』(TBS系)の最終回にもワンシーンながら突如登場し、「最後の最後に澤部に全部持ってかれた」と、SNSでもかなり話題になった。このように、特に清潔感が求められるNHKをはじめ、カラーが異なる各局で重宝されていることに加えて、CMやドラマにもキャスティングされているころからも、澤部のマルチさが伺える。
 
■リアルではイメージ真逆の陰キャ 同級生・岩井が次々暴露「モブキャラ」「暗黒」

 大活躍のバラエティ番組やCMでは明るいキャラクターを存分に発揮している印象の澤部だが、ブラックな一面が公になりつつある。『あちこちオードリー』(テレビ東京系)では、オードリー・若林正恭が「最近、番組でよくキレるようになった」と指摘。岩井からは、タクシーに乗った際に、岩井だと気づかずに過去に乗せた芸能人について話し始めた運転手が「新垣結衣はカワイイ、千原ジュニアは礼儀正しい」と話をするも、「その中で最悪の芸能人がハライチの澤部」と言っていたというエピソードも披露。どうやら普段の澤部は暗黒どころか漆黒のようなのだ。

 こうした澤部の“陰”キャラの根源は、少年時代にさかのぼる。同番組内で、中学時代は「人気者だった」と話す澤部に対し、岩井は「モブキャラだった」と一刀両断。高校は別々の2人だが、とうとう澤部は、高校時代について「いじめられてるに近い状態になって……」「暗黒時代に陥った」とカミングアウト。それに対し岩井は「本当のお前は高校時代のお前」と言い放つ場面もあった。

 また、「おうちが好き」と公言しながら、ラジオ『ハライチのターン!』(TBSラジオ)などでは、休みの前日から個室ビデオ店に向かい、「12時間パックとか平気で延々と見る」「(行きつけの個室ビデオ店)3店舗ぐらいを“実家”と呼んでいます」など、筋金入りの引きこもり癖を告白。SNSでも、岩井はTwitterもインスタグラムもやっているが、澤部はどちらもやっておらず、やはりプライベートな時間を他人に侵されたくない内向きな傾向が見て取れるのである。

■それぞれで求められるキャラに 陰陽両面で視聴者の人気を獲得

 ただ、今までの澤部を支えてきたのは“陽キャラ”であり、好感度の高さであることは間違いない。『日本人のおなまえっ!』(NHK総合)では、古舘伊知郎や宮崎美子といったベテランを相手に軽いボケを挟んで和ませたり、『なりゆき街道旅』(フジテレビ系)では名産品を食しては「うま街道~」の決めゼリフをまったりと叫び、視聴者もゆるく流し見できるような雰囲気を醸し出すなど、基本的にお茶の間では“かわいらしいゆるキャラ芸人”としての地位を獲得している。

 しかし“夜の澤部”は、こうした“愛され坊主”のキャラから一変。『ゴッドタン』(テレビ東京系)のライブイベント『マジ歌ライブ2020』では、暴走する岩井を「もうやめろよ! 腐りすぎだぞ! 敵だらけになるぞ!」となだめるストッパー役なのだが、岩井が同期のサンシャイン池崎のマネをすると「(サンシャイン池崎は)面白くない!」「くそが!」と毒づくなど、“毒澤部”と審査員の芸人に恐れられている。

 また、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)でも、若林や平成ノブシコブシ・吉村崇らにいじり倒され、キレ芸を見せることが多くなっている。SNSでも「最近すぐキレる澤部」などのコメントが目立つが、「収録でキレやすい澤部好きすぎる笑」、「澤部の対立構造が気持ちいい」など、視聴者にはおおむね好感触の様子。それぞれの番組に合ったキャラクターを使い分け、視聴者にも受け入れられているからこそ、これまで以上にどんな番組にも対応できる、制作側が“使いやすい”芸人になってきているのではないだろうか。

■“いい人”からの解放…… 岩井の“澤部=陰キャ”いじりの真意とは

 そんなハライチは、2009年の『M-1グランプリ』で決勝進出を果たし、ブレイクのきっかけに。 “愛され坊主”キャラがウケた澤部がバラエティ出演本数で芸能界トップクラスに躍り出た一方で、ボケの岩井勇気は長らく“じゃない方”として扱われてきた。しかし近年、岩井のラジオをはじめとした各メディアでの毒づきっぷり・腐りっぷりの裏にあるトークや文章の面白さが注目され、エッセイ『僕の人生には事件が起きない』もヒットするなど話題となる。『ゴッドタン』をはじめ、現在は多くのバラエティ番組に出演し、“腐り芸人”を超える活躍を見せはじめている。

 こうした岩井のブレイクに引っ張られ、ラジオ『ハライチのターン!』や『あちこちオードリー』などのバラエティ番組における澤部ד陰キャ”いじりが世間にも浸透。これまでの“いい人”キャラだけでなく、澤部本来の“陰”の部分をメディアで活かせるようになった。一見、岩井が澤部のイメージを下げているかのような“陰キャ”いじりも、実は澤部を“いい人”から解放することによって“陰・陽”のバランスを生み出そうという、岩井ならではのポジティブな戦略である可能性があり、ひょっとしたら澤部に対する岩井の優しさですらあるのかもしれない。

 岩井は澤部について「あいつには何もない」と語り、「自分がないからスタッフさんに言われたことを100%できる。ほかの人はみんな“自分”を入れたくなるけど、あいつにはそれがない」と分析している。となれば、今回“陰キャラ”が加わった澤部は、自分の意見やプライドを持たない特性を活かして、陰から陽、光から影までのキャラをフルに発揮できるようになったともいえるのではないか。ひと皮むけた!?澤部佑は、求められるキャラクターを使い分けることによって、ますます活躍の場を広げ、さらなる無双っぷりを見せることになるのかもしれない。