おかずは3品だけ、しかも卵焼き器1つで作るお弁当を紹介する『藤井弁当』。「お弁当はワンパターンでいい」というシンプルで手軽なお弁当本は、日々忙しいお母さんからお弁当初心者、男性まで、幅広い世代からラブコールが続出。2人の娘さんのため、15年間お弁当を作り続けた、著者で料理研究家の藤井恵さんに、秘伝のレシピを聞いた。

【写真】娘さんとバトルを繰り返した『鶏そぼろ弁当』のレシピとは? ほかにも3ステップで作れる“藤井弁当”の作業工程も

■少食の娘に作ったシンプルな味 15年続いた“鶏そぼろ弁当食べにくいバトル”の結果は?

 お子さんが生まれるまで、お弁当作りには縁がなかったという藤井さん。お弁当作りを始めとした育児と家事、仕事を両立させるため、 “卵焼き器1つで、おかずは3品のみ”の『藤井弁当』を編み出した。

 少食だった娘さんの幼稚園時代は、メインと野菜の2品、しかも好きなものしかお弁当に入れなかったと藤井さんは語る。
「幼稚園に入りたての頃は、お弁当を見るとお母さんを思い出して泣いてしまう子もいるらしいんです。お弁当はお守りみたいなものだから、好きなものだけでいいと思って。初めての場所でひとりでがんばっているのに、あえて食べられないものを入れる必要はない。そういうものは、機会を見つけて一緒に食べればいいと思っていました」

 娘さんが成長するにつれ、お弁当のおかずは卵焼きを加えた3品に。料理研究家として毎日家で働く藤井さんの姿を見ていたからか、2人の娘さんはお弁当に関してあれこれリクエストすることはなかったそう。
「唯一、下の娘とバトルが続いたのが“鶏そぼろ弁当”です。“食べにくい”と言われて、とろみをつけたり、間に挟んでみたり、いろいろと試行錯誤した結果、真ん中に入れて上にごはんをのせる形で落ち着きました(笑)」

 バトルが続いた鶏そぼろも、娘さんが好きなメニューだったからこそ。食べにくいから入れないのではなく、食べやすいようなんとか工夫した母の愛は、娘さんに届いていたに違いない。

【鶏そぼろ弁当レシピ】
◇材料(1人分)
鶏ひき肉…80g
(A)しょうゆ…大さじ1/2、砂糖…大さじ1/2、おろししょうが…小さじ1

◇作り方
(1)鶏ひき肉とAをよく混ぜる。
(2)卵焼き器に入れ、汁けがなくなるまで3~4分炒りつける。
(3)ごはんの上に鶏そぼろと、ゆでた絹さや、炒り卵をのせて完成。

■1ヵ月毎日違う味の卵焼きに挑戦 最終的にたどりついたのはおばあちゃんの味

 『藤井弁当』には、同じ素材でも味つけに様々なバリエーションが登場。その中でも、長女のお気に入りだったのはシンプルな“塩ゆでブロッコリー”だそう。
「最初のうちは、ブロッコリーは塩ゆでのものしか入れてなかったんです。そうしたら長女が、“塩ゆでブロッコリーはママの味”と言うようになりました。食べ物でお母さんを思い出せるっていいなと思いましたし、私自身もシンプルな塩味は気に入っています」

 また、一時期1ヵ月間毎日違った味の玉子焼きを作ってお弁当に入れたことがあるという藤井さん。
「最終的には、長女に“おばあちゃんの作る甘辛の卵焼きが一番好き”と言われて(笑)。それからはずっと甘辛の卵焼きのみを入れていました」

 試行錯誤した結果、味のバリエーションはそんなに必要ないという結論に到達。作り続けた味が母の味として定着し、一番の思い出になったようだ。

【甘辛卵焼きレシピ】
◇材料(1人分)
卵…1個、サラダ油…小さじ1/2
(A)水…大さじ1、砂糖…大さじ1/2、しょうゆ…小さじ1/3

◇作り方
(1)卵とAを混ぜておく。
(2)強めの中火にかけ、サラダ油小さじ1/4を薄くひく。卵液の半量を入れて全体に広げ、表面が乾いてきたら手前に巻く。
(3)もう一度サラダ油1/4を薄くひいて、残りの卵液を入れて広げ、表面が乾いてきたら手前に巻き、バットに取り出して冷ます。

 ちなみに、お弁当箱は冷ます手間が省けて、中身の傷みにくい“曲げわっぱ”がオススメとのこと。
「時間がない時は、冷ますのもひと手間かかりますよね。わっぱは、ごはんやおかずが蒸れにくく傷みにくいので、重宝します。私も、冷ます時間がなくて熱々のアイロンぐらいのお弁当を持たせたことがあります(笑)」

 15年お弁当を作り続けた藤井さんが生み出した、シンプルながらあたたかいお弁当。娘さんたちの母の味となった思い出のレシピが、今また多くの人に愛されている。