HG(ハイグレード)、MG(マスターグレード)でガンダムコンテンツを楽しむ人が多いなか、モデラーのえぬせさん(@nseman)は、それらのシリーズ以外に、ハイクオリティーな食玩「Gフレーム」をベースにした作品を制作。「え、食玩なの!?」「Gフレームってこんなかっこよくなるの?」という反響を得るほど、ハイクオリティーな作品を発表している。なかでも、同氏にとっても思い入れの深い作品だという「グフカスタム」について、話を聞いた。

【写真】食玩とは思えない圧倒的クオリティ えぬせ氏作「フルアーマーガンダム & ジム」

■グフカスタムに出会っていなければ全く違う人生を送っていた

――ガンプラと出会った原体験を教えてください。

「5歳くらいの時に、父親が買ってきてくれた元祖SDガンダム『F・A・Pガンダム(フルアーマーパーフェクトガンダム)』が最初だったと思います。父親が仕事から帰ってきてから『一緒に作ろう』と言われていたのに、箱を開けてみて『コレひとりでも作れるんじゃないか?』と思い、父親を待たずに作り始めてしまった記憶があります」(えぬせ氏/以下同)

――その後、ガンプラの魅力にはまったきっかけはどのキットですか?

「はっきりと『コイツ!』ってのはないのですが、思い出に残っているのは、HGの『グフカスタム』でしょうか。『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の第10話『震える山(前編)』でのグフカスタムの活躍に完全にヤラれてしまい、すぐにキットを買ってもらいました」

――確かに、量産型ガンタンクを撃破し、ガンダムを窮地に追い込んだ上、パイロットのノリスの「怯えろ! すくめ! MSの性能を生かせぬまま死んでいけ!!」は名セリフとして語られています。

「そうなんです。これがきっかけで、ガンプラを含むガンダムというコンテンツにのめり込んでいくことになるほど私にとっては衝撃的でした。コイツに出会っていなければ全く違う人生を送っていたと思いますし、私の道を踏み外させた悪いヤツです(笑)」

――その後、「グフカスタム」が食玩の「Gフレーム」となって発売されるわけですが、Gフレームとの出会いはどのようなものだったのですか?

「『Gフレーム』が発売された当初、いくつか買ってみたんですが、そんなに印象がなく『小型モビルスーツの素体に使えるかも?』くらいの感想しかありませんでした。ところが昨夏、所属サークルの定例の飲み会で、メンバーがGフレームの陸戦型ガンダムにウェザリング(汚れや風化を加えた塗装技法)を施したものを見せてくれて、『成形色のまま汚すだけで見栄えするじゃん…』と思い自分でもちょっと手を加えてみたくなったことです。結果として、小加工では気が済まず、全身に渡る表面処理と全塗装まですることになったのですが…(笑)」

■手を加えれば加えるほど高くなる完成度

――昨秋に、Gフレーム版の「グフカスタム」を制作、発表されました。「グフカスタム」は、これまでHGなどでも発売されていますが、何か違いを感じましたか?

「HGなどで発売されているグフカスタムのキットはどれも出来がいいです。ただ、グフカスタムへの思い入れの強さからか、これまでに発売されたキットは個人的にどれもしっくりきていませんでした。
 Gフレーム版は全身がガッシリとしたプロポーションで、『自分がイメージするグフカスタム』にドンピシャでした。なので『グフカスタムを作るのは、これで最後にするぞ』という心持ちで制作しました」

――制作する際、特にこだわったポイントはどこですか?

「もとが食玩のせいか、全体的にディテールが眠たくなっているので、それらをシャキッとさせることを意識して表面処理をしました。特に塗装済みの部分は親の仇のように塗膜が厚いので、リペイントする際はここを念入りに処理してあげると仕上がりが良くなります。ただ、素材がABSなので溶剤やリムーバーを使うとプラ地が溶けてしまったので、ひたすらヤスリがけするしかなかったのがツラかったです」

――ツラい経験があるからこそのクオリティーの高さなんですね。グフカスタム以外にも、ジムやフルアーマー・ガンダムなど「Gフレーム」の作品を作られていますが、その魅力はどんなところでしょうか?

「共通フレームに外装を被せる構造のため、全体的にプロポーションががっしりとして力強いことと、ケレン味のあるディテールアレンジが気に入っています。ポーズも決めやすいのもいいですね。それと、一般的な1/144スケールよりも若干小さくて、手のひらに収まるサイズ感も好きです。
 また、もともとの出来がいいので、ヤスリがけや塗装で手を加えてあげると完成度がぐんぐん上がるのが作っていて楽しいポイントです。実際、展示会で直に見てもらった方々に、『え、食玩なの!?』『Gフレームってこんなかっこよくなるの?』みたいな感想をもらえたのはテンションが上がりましたね」

――Gフレームや、HG、MGなどのガンプラ、さらにスケールモデルとさまざまな作品を残しているえぬせさんですが、モデラーとして今後の目標をお聞かせください。

「ジャンルを問わず、自分が今作りたいものを作るってことが、モチベーション維持もできるし、何より楽しい。その分、製作が止まってしまっている作品も多いです(笑)。最近はそういった数年寝かせてしまったキットを最後まで完成させることも楽しんでいます。あまり大きな目標はないんですが、あえて言うならば『模型の上手い兄ちゃん(おっさん)』でありたいですね」