戦後70年にあたる2015年に初公開された塚本晋也監督の『野火』。構想から20年の歳月をかけ完成させ、2014年にヴェネチア映画祭メインコンペティション部門出品、翌年に全国83館で劇場公開され、その後も、製作当初から「『野火』を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場にて、毎年アンコール上映を重ねてきた。戦後75年を迎えた今年も終戦記念日を中心に、東京・渋谷のユーロスペースほか全国で上映される。

【動画】映画『野火』予告編

 初公開時、塚本監督が「今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません」と述べていたのだが、さらに時が進んだ今、引き続きスクリーンを通して戦争を体感することで、自分なりの解釈や思いを巡らせる機会を設けることはとても重要なこと。

 今年は全国32館の劇場で上映が決定(7月10日現在)。初年度ぶりの上映となる劇場もある。メイン館であるユーロスペースと、池袋の新文芸座の2館で、塚本監督のトークイベントを実施するほか、東京都外の劇場とはオンラインでつないでリモートトークも実施予定(一部劇場を除く)。アンコール上映劇場、各劇場のリモートトーク実施の有無、日時等詳細は劇場HP、『野火』オフィシャルサイト・SNSにて随時発表する。

■塚本監督からのコメント

 戦後70年に公開した『野火』。今年で6年目の上映になりますが、毎年終戦記念日を中心に多くの劇場で上映してくださっています。今年は戦後75年。他界された大林宣彦監督が言い残されたように、戦後70年のときに感じた世の中への不安はますます大きくなっていくばかりです。大林監督によると、今はすでに戦前かもしれないのです。

 ぜひ『野火』を劇場の臨場感で体験していただき、ひとりひとりが戦争という極限の虚無に近づかないよう、これからのことを考えていただけたら、と思います。

塚本晋也

■ストーリー

 第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて野戦病院行きを余儀なくされる。しかし負傷兵だらけで食料も困窮している最中、少ない食料しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否される。そしてはてしない原野を彷徨うことになるのだった。空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものは…

※塚本晋也監督の「塚」の字は点ありの旧字体