NHK総合で22日に放送される『ストーリーズ「あのとき、タクシーに乗って~緊急事態宣言の東京~」』(後10:45~11:15)は、新型コロナウイルスの緊急事態宣言によって外出自粛が続いた期間、それでもやむを得ず外出しなければならない人たちを記録したドキュメンタリー。タクシードライバーたちの協力のもと、感染リスクを抑えた“非接触”の撮影手法で、コロナ禍の東京で暮らす人々のリアルな日常を切り取った。

【写真】タクシーの車内にカメラを設置する様子

 外出自粛で乗客が激減し赤字が続く一方で、電車やバスに比べて不特定多数との接触を避けられるため、国や自治体からの“稼働要請”もあり、消毒や台数の制限など対策を講じて必死に営業を続けているタクシー業界。

 病院に向かう医療従事者、持病・障害のある人たち、自力では買い物に行けない高齢者、そして出勤を強いられるサラリーマン…。こうした「自粛」のひと言では片づけられない人々の生活を支えているのがタクシーだ。

 今回の取材に協力したタクシードライバーは4人。この苦境の中でもお客さんを戦略的につかまえ、指名も多い敏腕ドライバー。母の介護のため転職し、タクシーの稼ぎだけで実母、義母、妻、高校生の息子を養う50代のドライバー。俳優と兼業のドライバー。乗客がいない時は車内で熱唱、若手の面倒見が良いベテランドライバー。

 担当ディレクターは「タクシードライバーの皆さんは、収入が半減し感染リスクとも隣り合わせのなか必死に走り続けていました。印象的だったのは、そんな苦境に立ちながらもドライバーさんたちが底抜けに明るく前向きなことでした。その秘けつとは一体何なのか…。お客さんとのやりとりを記録していくうちにタクシードライバー特有の“ある哲学”が見えてきました。それこそが、この大変な日常を生き抜くヒントにもなるのではないかと感じています」と、コメントしている。

 今回は、ふだんの取材や撮影を“自粛”して、感染拡大が続く都内を走るタクシー車内に固定カメラを設置し、乗客とドライバーの会話を収録。聞こえてくるのは、古い慣習にとらわれた職場への怒りや、疑心暗鬼からヒビが入った人間関係の悩み、生きがいの喪失と“不要不急”の判断の難しさ、そして、そんな中でも営まれる日常の中のささやかな幸せや希望など。固定カメラだから偶然とらえられたコロナ禍でのリアルなドライバー同士の会話も。

 見ず知らずの人々が数分だけまじわるタクシーの車内は、まさに一期一会。緊急事態宣言の東京で、人々はどんな思いを抱いて生きていたか、その一部を垣間見ることができる。