新型コロナウイルスの感染拡大防止による外出自粛により、「演劇」「音楽」「映画」が存続困難な状況が発生していることを受け、3団体が22日、衆議院第一議員会館で『文化芸術復興基金』の創設を目指し、関係省庁に対して統一要望書や署名を提出。出席した女優の渡辺えりは、記者会見で自身の考えを語った。

【写真】スガナミユウ、諏訪敦彦らも要望書を提出

 渡辺は「演劇もミニシアターも、全部そうですけど、人材育成がすごい(大事)。ものを作るときに多くのスタッフが必要で、それを育ててきたのがライブハウス、ミニシアター、演劇なんですね」と説明。人材育成をさくらんぼに例えて「(育成する時の田畑はすごく手間がかかる。その木を育てて、一緒に収穫して実を食べる感覚で、手を取り合って、支え合って頑張っていきたい」と前を見据えた。

 また会見前の囲み取材で渡辺は、先月23日に新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった女優の岡江久美子さんに言及。中止になった舞台『有頂天作家』で、岡江さんの長女・大和田美帆と共演予定だったといい、その舞台のゲネプロに「(岡江さんが)来てくださってたんです。それで『面白かった』って」としみじみ回顧。訃報を聞いて「びっくりしちゃいました。石で叩かれたかと思いました。本当にショックでした」と驚きを隠せなかったと明かした。

 今回、統一要望書を提出したのは、『演劇緊急支援プロジェクト』(演劇)、『SaveOurSpace』(音楽)、『SAVE the CINEMA』(映画)の3団体。これら3団体は、プロジェクト『#WeNeedCulture』を立ち上げ、同基金の創設を提案。「コロナ時の補填のみならず、コロナ終息後の復興支援の土台として強く要請していくつもりです」としている。

 この日は、3団体を代表して日劇作家協会の会長を務める渡辺が統一要望書を提出。文化庁の代表者に対し、「演劇、ミニシアター、ライブハウスの人たちが一丸となって、熱い思いを込めて要望書を送らせていただきたい。ぜひお読みいただきたいと思います」と力強く伝えた。併せて3団体の各要望書も提出した。

 記者会見で、諏訪敦彦監督は、今回要望した基金に創設ついて「具体的な回答にはいかなかったが、言葉の端々に何かが動いていくのではないかという機運を感じた。要望している『文化芸術復興基金』は国費が拠出されることが大きなポイント。そのことについて明確な回答は得られなかった」と関係省庁とのやり取りを振り返った。また「国として、文化を大事にしていく。そういった姿勢でこの国のことを考えるのであれば、具体的に金額として示してほしいと印象を持った。ぜひ求め続けていきたい」と語った。

 要望書では、文化庁と文部科学省に対し「自粛要請が解除された後も、安全・安心を最優先する結果、長期間にわたって経済面でも影響を受ける」と強調。「活動の存続を維持するため、文化芸術団体が公演や上映、ライブなどを行うことに伴う売上減少・経費増大に対して補填することなどを目的とした『文化芸術復興基金』を創設してください」と訴えている。

 そのほか、経済産業省には「現状の持続化給付金は、文化芸術活動を存続させるためには極めて不十分」とし「給付の継続(再度の給付)、運用の柔軟化を求めます。あわせて、固定費にかかる支出に対する給付型の支援も求めます」と切望。最後、厚生労働省に対し「雇用調整助成金は、申請してから支給までに時間がかかっており、また支給が認められる件数、割合も極めて少ないという問題があります」と指摘。「雇用調整助成金が早期に支給されるよう運用の是正と、各種制度においてフリーランスも対象とするよう制度の是正、柔軟化を求めます」とした。