『機動戦士ガンダム』シリーズの“生みの親”富野由悠季監督は、これまでに多くのガンダム作品を手掛けてきた。どの作品も多くのファンを持ち、とりわけ主役機の人気は絶大だ。一方で、実はその存在があまり認知されていない機体もある。そこで今回、“もっと評価されるべき“主役機を制作したエグチヒロカズさんとNikkeさんのガンプラ作品を紹介。制作時の思いや富野ガンダムの魅力について聞いた。

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■知名度の低い『リング・オブ・ガンダム』を知ってほしい(エグチヒロカズ)

 全身白ボディのガンダム『アムロの遺産』を制作した理由についてエグチさんは、「富野由悠季監督が手掛けたガンダム30周年記念ショートフィルム『リング・オブ・ガンダム』に登場したガンダムなのに、一向にキット化される雰囲気が感じられなかったから」だと笑顔で答えてくれた。そこには「富野ガンダムは作らねば!という謎の使命感」が大きかったとも。

 ショートフィルム『リング・オブ・ガンダム』は「ゆうに1クール分はあるであろうストーリーを僅か5分に纏めたような作品」のため、ガンダム慣れしたエグチさんにとっても、初見では何がなんだかサッパリだったようだ。とはいえ、「何故か面白く何度も見てしまう不思議な作品」であり、立体化への野望を温めていたようだ。

 そして今回、悲願の立体化にあたってエグチさんは、「富野ガンダム作品なのに『リング・オブ・ガンダム』の知名度は圧倒的に低いです。世間に対してこういうガンダムが出ている作品があるんだぞ、と多少なりとも知名度アップに寄与したい」という思いで制作したのだという。その他にも、「コンセプトデザインをされたイラストレーター・あきまん(安田朗)さんの描くイラストのような筋肉質な体型をメカデザイン的に立体に落とし込む狙いがありました」と説明した。

 最近では再現度の高い完成品があり、それらで満たされている部分もあると話すエグチさん。しかし、「富野ガンダムに対しては最大公約数より自分の想い描くイメージを大切にし、できれば大改造やスクラッチなどせず、少ない手間で理想形に辿り着けると嬉しいです」と富野ガンダムへの尽きない思いを語ってくれた。

■ガンプラは、その人の“趣味”や“生き方”が現れる「立体キャンバス」(Nikke)

 1991年に公開された映画『機動戦士ガンダムF91』は、当時人気だったフォーミュラカーも元ネタになっており、「実物のレーシングカーのように派手なマーキングをさせたいなと考えて制作した」と説明するNikkeさん。

 中でも“こだわった”のはマーキングで、F91を制作したサナリィ(海軍戦略研究所)のロゴマークを肩に貼ってしっかりと自己主張。それは、「この時代はMS開発のライバルであるアナハイムとサナリィがバチバチやっていたハズ」という推測のもと、「これからの小型MSはサナリィの時代だぞ」というアピールを込めたのだそう。

 一番表現したかったモノについて聞くと、「F91という自分の好きなガンダムのカッコ良さを伝えたいのと、ただ伝えるだけじゃなくて見た人の“記憶に残るようなモノ”を作る事を目指しました」と力説。他のガンダム作品の主役機に比べ、知名度や人気で負けている点も刺激になったようだ。

 そうした思いを込めた本作は鮮やかなカラーリングが印象的。その点については本人も納得の出来栄えになったと語る。

「今回、オリジナルのカラーリングがバシっとハマってとても嬉しかったです。学生時代、美術の時間も色をつける時が一番好きでした。その延長線にガンプラがある気がします。色々な方が言っていますが、ガンプラってその人の趣味とか生き方がまざまざと現れる“立体キャンバス”なんだと思います」

(C)創通・サンライズ