新型コロナウイルスの影響で「おうち時間」への注目が高まったこともあり、現在、ふりかけ業界が好調だ。「のりたま」などで知られる丸美屋食品は“20期連続増収”を達成し、ふりかけ・釜めし商品群は過去最高売上を記録中。「ゆかり」で知られる三島食品は、2月からの新作「うめこ」が予想外の売上を記録中。ふりかけを姉妹に見立てた「ゆかり姉妹」など、大胆なプロモーションでも度々話題となる三島食品の広報部に聞いた。

【写真】「ゆかりとうめこ」だけじゃない 2女は「かおり」3女は?

■マツコの知らない世界で注目浴びた「ゆかり三姉妹」に新たなオンナ「うめこ」登場

 赤しそふりかけ「ゆかり」といえば、ごはんのお供でありながら漬け物のように箸休めの役割も担う、 1970年の発売以来、愛され続け、もはや日本のソウル・フードといえる逸品だ。その「ゆかり」の後、1984年に“青じそふりかけ”の「かおり」、 2018年に「あかり料理素材シリーズ-ピリ辛たらこ-」が「あかり」として再デビューして三姉妹となっていたのは知る人ぞ知るところ。そして2020年2月には、「料理素材シリーズ-カリカリ梅-」の「うめこ」が誕生。すると、「ゆかり」が三姉妹であったことも含め、「4番目の妹登場!」「今度は『○○り』じゃない!」と、ツイッターを中心に話題となった。

 「そもそも『ゆかり』や『かおり』も、最初から三姉妹シリーズを狙った商品戦略ではありません。この展開は、『あかり』が出たときの顧客の『まるで姉妹!?』というツイートに、『ゆかりしか知らなかった!』『姉妹でなく三姉妹だったなんて!』と共感された方々が連鎖的な投稿を発信してくださったことの副産物なんです」(広報担当)

 生活者に親しみやすく、記憶に残りやすい商品名を付けるという商品開発コンセプトと、バラエティ番組『マツコの知らない世界』での紹介、そしてこのたびの外出自粛によって、自炊の機会が増えたことが、ふりかけ自体の需要とともに三姉妹の再認識と新加入である「うめこ」の人気上昇を後押しした。

■コロナの影響で外食事業、給食事業は大打撃 「家庭用ふりかけ」は伸びる

 新型コロナウイルス感染拡大防止によるリモートワークや臨時休校などにより、外食や給食が減り、自炊する家庭が増えた。三島食品は、業務用商品も販売しており『学校給食や外食産業への商品売上が減少している』という。だが、その赤字を相殺するように、ごはんのお供である家庭用ふりかけの売り上げが、例年にない盛り上がりを見せている。

 「今年になって、家庭用商品の売上は110%前後と増加しています。ただ、この実績は新型コロナウイルスだけではなく、昨年からネットで話題になっていた『ふりかけ三姉妹効果』で商品導入が増加し、リピーターによる返り受注も追い風となっているからなんです。さらに今年の2月に発売になった『うめこ』が三姉妹の妹であり、『ゆかりたちは四姉妹?』と言った更なる話題が拡散し、売上は増加の一途となりました。家庭内飲食とこれらの話題が同調したのも、私たちメーカーにとっては嬉しい誤算といえますね」(広報担当)

■四女の名前が「うめこ」であって「○○り」でないワケ

 世の中で販売されるふりかけや混ぜご飯の素がどんどんバージョンアップし、レストランの料理メニューのようなラインナップが陳列されている昨今。そのなかでシンプルな素材かつ渋めのパッケージという路線を守り続けてきた「ゆかり」ならではの商品戦略が、「うめこ」の発売を成功に導いた。

 「四女の知名度が上がり、『名前は「○○り」縛りじゃないの?』とツッコミをたくさん頂きました。名前っぽくすることは考えていましたが「り」つながりに固執することはありませんでした。ご購入されなくても話題として人と人がつながるきっかけにしていただければそれはそれで楽しいことが起きるかも?と自社も楽しみながら名づけしました」(広報担当)

 もちろん商品のヒットには、消費者を納得させる美味しさがある。日本の伝統的風味である赤しその「ゆかり」。青しそが鮮やかな「かおり」。かなり大人向けの辛さで、パスタにかけるだけで一品成立してしまう「あかり」。従来の粉末ではなく、あえて食感を楽しめるようにザクザクなフレークにした「うめこ」。どれもがひとつの素材を活かした商品だからこそ、さまざまな食材と掛け合わせることができるのだ。実際、海外では調味料としての使われ方をしているという統計も出ている。

 「日本では相変わらずご飯のお供としての認識が強いですが、徐々に調味料としての用途が広がり始めています。これは、海外でFURIKAKEが塩やコショウのように調味料として売れ始めているところに起点があります。今では「ゆかり」のシリーズも、パスタ、サラダ、和え物、パン粉の代わりとして焼き魚の衣に、カリフォルニアロールのような巻きずしの裏巻きにと、日本人からすると目から鱗の使用用途でブレイクし始めているんです。そして今、日本でも同様にごはん以外での使用用途が広がり始めています」(広報担当)

 食品業界は、コロナに伴う休校、外出制限の影響で打撃を受けている。三島食品も企業向けの卸売が中止になるなど、打撃を受けているが、普段からユニークな戦略を打っていたこと、海外にも販路を広げて商品展開をしていたことが功を奏した。ゴールデンウィーク中も「緊急事態宣言」は31日まで延期されたり、景気悪化の話題が多いが、独自路線を貫く日本企業の発想力に今後も期待したい。