乃木坂46卒業予定の白石麻衣をはじめ、アイドルを卒業し、ソロや女優に転身するタレントは少なくない。しかし、その中で花を咲かせる者は数少なく、人気グループの中心メンバーでも卒業した途端に姿を消す者もいるほどだ。そんな中、川栄李奈は“元アイドル”の高い壁を乗り越え、女優として大成した代表格といえるだろう。卒業以来オファーが絶えず、川栄が見事に“アイドル脱却”を果たせた理由とは。小川美智瑠マネージャーに聞いた。

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■最初は不安だった川栄担当、過酷すぎるスケジュールにも「彼女の性格の良さに救われた」

――川栄さんをご担当されてどれくらいですか?

【小川美智瑠】約2年半ですね。入社2年目で担当になったので、当時の私は車での送迎も初めてで、ドラマや映画の現場経験も少なかったんです。もちろんAKB時代をテレビで見ていて、どんな人なんだろう…って最初はとても不安でした。でも、楽屋で初めて挨拶したとき、メイク中だったのにわざわざ立って、こっちを向いて挨拶してくれたんですよ。それは凄く嬉しかったですね。

――テレビで見ていた印象とは違いましたか?

【小川美智瑠】すでに有名人だったので近寄りがたいかもと思っていたんですが、すごく良い子でした(笑)。それから色んな現場を経験して、家族よりも長い時間一緒にいたので、周りからも「仲良いね」と言われることが増えました。基本的に、川栄は“お姉さん”気質なところがあるんですが、気取らないし、よく笑うし、私にはいたずらもするし、眠くなると甘えてくる可愛い一面もあります(笑)。共演者の方ともすぐ仲良くなるので、“愛されキャラ”なんだと思います。

――川栄さんとのエピソードで印象に残っていることはありますか?

【小川美智瑠】映画の撮影で1ヵ月、広島に滞在していたことがあったんです。ちょうど休みの日に2人で観光に出掛けて、そのあと映画を観に行こうと。お互い観たい映画もあったので調べてみたら、その映画館は10キロ先にあって、映画の開始時間は3時間後。行き方を調べていたら川栄が「歩けるよ」って(笑)。もうびっくりしましたけど、途中寄り道しながら2時間半歩いて映画観て(笑)。それは凄く印象に残っていますね。

――本当に仲良しですね。

【小川美智瑠】一時期は、早朝に家を出て深夜に帰ってくるのが続いて、体力的にかなりしんどい時期もありました。仕事が立て込み、映画とドラマを掛け持ちして、舞台稽古も同時にあって、台本も覚えなきゃいけない。そんなハードな時でも川栄は「昨日寝れた?大丈夫?」って私に声をかけてくれるんですよ。私よりも絶対疲れているはずなのに私を気遣ってくれる。体力面がどんなに辛くても彼女の性格に精神面で救われました。だから私も、「彼女のために頑張ろう」って、より思えたんだと思います。

――過去のインタビューでは、川栄さんは「私は気が強いんです」と話されていました。そういった面を感じる時はありますか?

【小川美智瑠】気が強いというわけではなく、芯が強いんだと思います。仕事で悔しい想いをしたとき、帰りの車でふと涙を流しているときがあって。人前では見せないんですが、内に秘めた強くて熱い想いを持っている。どんな仕事に対しても、1つ1つ真面目に向き合って、どれだけ忙しくてもすべてに全力で臨んでいますね。

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――周囲に気遣いが出来るのは元々の性格からでしょうか?

【小川美智瑠】性格もあると思いますし、AKB時代の経験もあると思います。自分の為にどれだけのスタッフが動いているのかをきちんと理解している。以前CMの現場で、スケジュールよりも早く撮影が進んでいたので、川栄を早く帰してあげるために昼休憩を削ってそのまま撮影を続けるという選択肢が出たんです。でも、川栄は「私は大丈夫だけど、スタッフさんは疲れてるよね?休憩しなくて大丈夫?」って聞いてくるんですよね。私だったら早く帰れるって喜ぶと思うんですが、周りのスタッフさんのことを優先的に考えてる。その気遣いや優しさもすごいと思います。

――そういったところに、継続してオファーが殺到している理由があるのでしょうか?

【小川美智瑠】まず本人のスタンスとしてあるのは、常に“謙虚で低姿勢”であるということ。どんなにお芝居が評価されても絶対調子に乗らない。いつも危機感を持って、「調子に乗ったら私なんかすぐ消える」と言っています。あとは、スタッフさんや周りの方々への気遣いもすごいですね。現場に入ると全てのスタッフさんに一通り挨拶して、帰る時も、来た時と同じように全員に挨拶して帰る。スタッフルームにも自らドアを開けて顔を出しますし、事務所に来たときも、フロアを一周して挨拶するんですよ。

――もともと社交的で明るい性格なんですか?

【小川美智瑠】いえ、前は人見知りだったんです。暗いとかではなく、自分から話しかけるタイプではなかった。でも『A-Studio』(TBS系)のサブMCをやらせて頂いてから変わった気がします。MCの笑福亭鶴瓶さんが、出演者やその家族、友人の方々と気さくに話をされる姿を近くで見ていて、彼女なりに感じるものがあったんだと思います。そこから少し、人見知りを克服できたような気がしますね。

――ヒットドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)では生徒の中でも最年長でした。川栄さんから積極的にコミュニケーションを取っていたのですか?

【小川美智瑠】そうですね。自分から年下の子に声をかけたり、一緒にご飯に行ったり。前室でもなるべく周りの子と話すようにしていましたね。自分が先頭に立ってというよりは、後ろでみんなを見ていて、他の生徒から頼られる存在だったような気がします。

■「ワンシーンでもやる覚悟」で掴んだauのCM“織ちゃん”が転機に、結婚後の変化は?

――「女優一本」を覚悟してAKB48卒業後、仕事選びは慎重に?

【小川美智瑠】そういうわけではなくて、基本的に頂いたお仕事はお応えするというスタンスでずっとやっています。もちろん、スケジュールでNGになることはあるんですが、まずは全ての仕事をフラットにみて、彼女が際立つもの、存在感のあるものであればワンシーンの映画でもやらせて頂く。「こういう仕事はやらない」と決める事もないですし、本人から「この仕事はやりません」と言われたこともないです。

――その1つ1つ真摯に向き合う姿勢が、結果的に“アイドル脱却”に繋がったのでしょうか?

【小川美智瑠】auのCMに起用して頂いたのは大きかったと思います。主演舞台『あずみ』や朝ドラ『とと姉ちゃん』(NHK)での演技を高く評価してもらっていた中で、CMにも声をかけて頂いた。織ちゃんのインパクトも強かったですし、他の出演者の方々が超一流の皆さんだったので、その中で出演させて頂いたのは本当に大きかった。そこからCMやドラマ、衆院選ポスターの仕事も頂くようになって、さらに多くの方に知ってもらえたと思います。

――昨年には、結婚・出産と環境の変化がありました。仕事に対しての変化もありますか?

【小川美智瑠】いえ、何か特別に心境や方向性の変化というのはないですね。芯の強い子ですから、今まで通り、頂いた仕事や求められたものに対して真摯にやっていく。多くの人に愛される女優になって欲しいですし、目標は女優として賞をとること。だからこれからも、パワーアップした彼女を全力でサポートしていきたいです。


 インタビュー中、川栄李奈を語る小川さんの表情はとても楽しそうだった。「どんな時も味方でいたい」。彼女の才能に惚れその才能を信じ、彼女の言葉に何度も助けられたと語る。しかし、その優しさに一番助けられたのは川栄だったのかもしれない。最後に、「今年もいろんな川栄が見られますよ」と匂わせた小川マネージャー。去年大きな環境の変化があった川栄だが、早速さらなる進化を見せてくれることに期待したい。


(取材・文=山本圭介)