音楽家の坂本龍一が20日、都内で行われた映画賞『第1回 大島渚賞』記念上映会に登場。故・大島渚監督が手掛け、自身初の映画音楽を担当した映画『戦場のメリークリスマス』の思い出を語った。

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 1983年に公開された映画『戦場のメリークリスマス』は、音楽家としてではなく役者としてオファーがあり、最終的に、映画音楽を担当することになった逸話がある坂本。「『音楽は僕にやらせてください!』と言ったんですよね、まったく映画音楽の経験がないのに」と回顧。

 「子どもの時から映画は好きで映画音楽も好きだったのですが、『どうやって作るのか?』とまったくわからなかった。でも、作ることになって撮影が始まりました。3ヶ月くらいかかったかな、作るのに。南の島で撮影をしていて、たけしさんと大島さんたちが撮影をしているシーンを横目で見ていたのですが、インスピレーションはまったくわかなかったですね」と苦笑い。

 映画の撮影現場も人生初経験だったため「もう、それを楽しんでしまい…。もう、インスピレーションは(現場では)わかなくて。撮影が終わって日本に帰ってから…」と帰国してから本格的に映画音楽の制作に取り組んだと説明した。

 その後、大島監督さんと打ち合わせをすることになり、自身が映画のどこで音楽を付けたいか記したメモを渡すと、大島監督も同じメモがあったそうで「比べたらほとんど同じで。9割方。その瞬間、大島さんは『あっ、そのままやってくれ!』と。その後、『こういう方向で』『こんな感じで』とか何もありませんでした」と「勝手」という言葉を使いながら自由に音楽制作したと明かした。

 MCから「その後、自由に制作する体験はなかったのですか?」と問われと「二度となかったですね、完全にビギナーズラック」と笑わせながら「だから映画音楽って『こんなもんか』と思うじゃないですか、『やったー! この調子でやっていける』と思ったら、次の仕事を受けたら、ものすごい注文を受けて…。直しとか…。今も直し続けて40年ですか、コツコツ作っています」と『戦メリ』から苦労が続いていると伝えた。