今年、40周年を迎えたガンプラがこれほど愛され、進化を続けている要因としてモデラーたちの“指標”となる模型誌の存在は大きい。中でも、模型誌『月刊ホビージャパン』が開催する「全日本オラザク選手権」は、多くのモデラーたちにとっての目標となっている。ここでは、第13回「オラザク選手権」で大賞に輝いたTakuya氏(@STYLE_S_Takuya)と、第22回で大賞を受賞したmat氏(@Matmat825)の二人に、ガンプラに“リアリティ”を付与するポイントを聞いた。

【写真】力作揃いの「オラザク大賞」 伝説のガンダム“フルハッチオープン”も

■旧キットのプロポーションが再評価されている(mat)

第22回『全日本オラザク選手権』で大賞を受賞したmat氏に、“ガンダムフルハッチオープン”を制作した意図を聞いた。

 「三十数年前に『月刊ホビージャパン』から『HOW TO BUILD GUNDAM 2』という伝説の別冊が発売されまして、その表紙の作例がガンダムフルハッチオープンだったんです。それを見たときの衝撃が凄まじかったんですが、当時小学生の自分に作れるわけもなく、その後はすっかり忘れていたんです。そして時は流れ、一昨年前、たまたま作り始めた旧キット1/60ガンダムを作ってるうちに当時受けた衝撃を思い出し、今ならフルハッチにできるんじゃないか?と、制作に至りました」

 完成品のベースとなっている旧キットを使用した理由については、お手本のガンダムフルハッチオープンの作例が旧キットを使っていたからだという。今年40周年の節目を迎えたガンプラの進化は目覚ましいが、いまだに旧キットの人気は高い。その理由についてmat氏は、「数年前から旧キットのプロポーションの良さが再評価される動きがある」と語った。

 実際、手にしてみると現代のキットにはない“色っぽさ”があちこちにある。しかもポイントを押さえれば、少しの加工でびっくりするくらい良い感じになるのだそう。

 「手を加える余地が少なくなってきた現代のキットとは対象的な楽しみが旧キットにはあると思います。そんなところも人気の理由の1つかなと思います」

 とはいえ、40年前の旧キットを改修していくうえで苦労するポイントはあるのだという。特に「足の裏を平らにするのが大変」だと教えてくれた。旧キットは接着剤を使用するモナカ割りなのでどうしても足裏の中央にパーティングラインが出てしまう。ヤスってもヤスってもなかなか平坦にならないのだが、「ロボは足裏を地面にぴったりつかせることで“重量感”を演出する必要があります」と強調するmat氏。こうした旧キットの課題を一つずつ攻略していくのも、醍醐味であり楽しさだと笑顔で語った。

■目指したのは“まだ誰も見たことのない造形”(Takuya)

 ガンプラ直撃世代のTakuya氏は大人になってガンプラ復帰した際、模型誌で見た『オラザク選手権』のレベルの高さに衝撃を受けたと語る。そして、自分も「受賞してみたい」という欲求にかられたのが『ガンプラ選手権』への参加理由だという。

 「個人の解釈としては、当コンテストは『オラ(私)のザク』、すなわち誰も見たことの無いモビルスーツを造る“自己表現の場”だと考えています」

 そして、その想いを具現化したのが、オリジナル機体・グライファーなだという。本作の制作では感性による“自己表現”を大切にし、『誰も見たことの無いもの』『あっと驚かせるもの』『人の記憶に残るもの』、この3点を念頭に置いていたようだ。

 また技術面については、「独自デザインという事もあり“造形”にこだわっています」と解説。「作品を見てもらえば分かるように3次元曲面を多用しています。複雑な曲面造形も見せ場ですが、頭頂から足先まで、肩から手の指先までのS字ラインが綺麗に繋がる様にし、力強さと美しさを両立させた点もポイント」だと教えてくれた。

 そして、ガンプラにおいては「アクションポーズよりも素で立っているポーズがカッコイイかどうかを重要視している」と力説。続けて、「自分で言うのも何ですが、拳に力がこもっている様に見える事と、接地した両足の力強い踏ん張り感で表現できているかと思います」と語った。

 奇しくも前述のmat氏と同じく、足裏が地面にしっかりと接地する重要性を話してくれてTakuya氏。二人の『オラザク選手権』大賞者が語った“共通項”は、ガンプラ制作における大きなヒントになるのではないだろうか。

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