NHK連続テレビ小説『なつぞら』(2019年)で、“なっちゃん”と“天陽くん”を演じた広瀬すずと吉沢亮。切ない恋模様を展開したこの爽やか朝ドラコンビが、映画『一度死んでみた』(3月20日公開)では、まったく違う関係性で再共演を果たした。朝ドラ中の映画撮影は、彼らにどんな効果をもたらしたのか? 当代きっての美男美女という二人のパブリックイメージについても語った。

【写真】ニーハイで膝立て…ファンキーな大胆衣装で反抗する広瀬すず

■パブリックイメージとはかけ離れた役、意外な共感も?

――広瀬さんは、父親のことが大嫌いで、いまだ反抗期を引きずっているデスメタルバンドのボーカル・七瀬。吉沢さんは、存在感がなさすぎで“ゴースト”と呼ばれる社員・松岡という、かなりデフォルメされたキャラクターを演じましたね。

【広瀬すず】衣装も派手で言動も特徴的な役だったので、現場に入れば(役が自然に)下りてくるだろうなと思ったんです。最初は、父親役の堤真一さんがどんな感じで演じられるのか想像できなかったので、歌の準備などはしましたが、役作りについてはまずは現場に入ってから感じようという思いでした。

【吉沢亮】「おー、お前いたのか!」というセリフもそうですが、もはや影が薄いという存在自体がネタになっているような役。実はキャラが立っているので、台本を読んだときは面白いなと思いました。

――それぞれパブリックイメージとはかけ離れた役のように感じましたが、似ている部分や共感できるところはありましたか?

【吉沢亮】松岡は、ライブハウスにいても、興味がないバンドが演奏しているときはYouTubeを見ちゃう人。でも、僕もそういうことをしそうです(笑)。あとは、基本的にテンションは常にローなのですが、たまにハイになる瞬間がある部分は、僕も似ているところがあります。

■朝ドラでの“違和感”を払しょく、「時間を長く共有できたのは大きかった」

――NHK連続テレビ小説『なつぞら』の“なっちゃん”と“天陽くん”とはまったく違う関係性でしたが、戸惑いなどはなかったのですか?

【吉沢亮】実は、朝ドラの撮影で間が空いたときに、この映画の撮影があって。そのあと、また朝ドラに戻るというスケジュールだったんです。なっちゃんと天陽は、小さい頃からの知り合いで心が通じ合っているという役でしたが、朝ドラ撮影の序盤では、それほど一緒のシーンが多くなくて。設定ではずっと一緒にいる役だったけど、なんとなく違和感があったんです。でも、この映画の撮影が間に入り、二人でいる時間も長かったおかげで、その後の朝ドラの撮影では二人の関係性を築きやすかったです。

【広瀬すず】そこは想像でやるのと、実際に一緒にいた時間を経験するのとでは、違いが出ると思うんですよね。この映画で時間を長く共有できたのは、すごく大きかったです。

【吉沢亮】ガッツリと一緒に芝居をしたのは、天陽となっちゃんよりも、七瀬と松岡の方が先でしたからね。

【広瀬すず】『なつぞら』ファンの方からすると、「天陽くんのあの思い、返して!」と言われてしまうかもしれないです(笑)。

――朝ドラ、映画、朝ドラという撮影の流れだと、より映画とドラマの違いを感じたのでは?

【広瀬すず】朝ドラはリハーサル日があって、ある程度決まった中で進めていくことが大切になっていくのですが、この映画は現場でお互い色々な意見を出しあって試行錯誤しながらチャレンジする時間がありました。時間軸が極端に違いましたね。

【吉沢亮】朝ドラは、セリフを間違えない限りワンテイクで進むことも多いんですが、この作品はシーンごとに色々と試したいというのが監督のお考えで。チャレンジが多いぶん大変なのですが、楽しかったです。

――吉沢さんは“国宝級イケメン”と言われ、美男子のイメージが定着しています。松岡みたいな役はやりづらかったりしませんか?

【吉沢亮】逆にこういう役の方が、肩に力を入れずにできるのでやりやすいし、安心します(笑)。二枚目の役や少女漫画のキャラクターは、どうしても力が入ってしまって難しい。キラキラスマイルにはどこか心の抵抗があるし(笑)、エンジンをもう一つ背負ってやっている感じ。ボケっとした役の方が、実際の自分に近いんだと思います。

――広瀬さんも、美少女という印象が強いように思いますが。

【広瀬すず】でも、正統派美少女の役ってほとんどやったことないんです。『ちはやふる』は美少女という設定でしたが、どちらかというとスポコン系に走ってしまっていて(笑)。『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』でも「ブス」って言われていたし、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』もそう。だから、正統派ラブストーリーを始めてやったときは、どこかよそ行きで大変でした。ボロが出そうで…(笑)。

――「イケメン」「美少女」というパブリックイメージは、意外とお芝居をするうえで厄介なものだと感じていますか?

【吉沢亮】ない方がいいかもしれません。僕はもはやネタにしちゃっていますから(笑)。

【広瀬すず】吉沢くんが、「イケメンですよね」という声を否定しているところを見たことがありません(笑)。まあ、否定されても「えー!」って思っちゃうし、本当にイケメンですし(笑)。

■家族や仕事で遠慮することも…「言わなければ伝わらない」

――本作はテンポも良く痛快な作品なのですが、ところどころでグサッとくるセリフやシーンが出てきます。

【広瀬すず】家族にも、周りの人にも、後回しにせずに伝えたいことをしっかり伝えておくべきだなと思いました。思春期って、こじらせてしまった感情で相手に思いを伝えられないことがよくあると思うんです。でも、人生なにがあるかわからないですから、思ったことはきちんと伝えた方がいいと強く感じました。

――広瀬さんは、普段から伝えられていますか?

【広瀬すず】親とはわりと友だちみたいに話をするので、心にあることはしっかり伝えていると思います。

【吉沢亮】僕も、言葉にして伝えることの大切さは感じました。家族はもちろんですが、仕事でも、遠慮して言えないことってあるんです。でも、ちゃんと言わなければ伝わりませんし、これからはしっかりと伝えようと思います。

(写真:田中達晃/Pash 文:磯部正和)