俳優の佐藤浩市、渡辺謙が4日、東京・外国特派員協会で行なわれた映画『Fukushima 50』(6日公開)の記者会見に出席し、東日本大震災を題材に扱った同作への思いを口にした。

【写真】他、渡辺謙、若松節朗監督らも出席

 東日本大震災により発生した原発事故の現場に残った名もなき作業員たちは、世界のメディアから“Fukushima 50”(フクシマフィフティ)と呼ばれていた。世界中が見守っていた現場で何が起きていたのか。東日本全体へ危機が迫る中、死を覚悟して残った職員たちの知られざる“真実”が描かれる同作。佐藤は、原子炉から最も近い中央制御室を指揮する1・2号機当直長の伊崎利夫さん、渡辺は、福島第一原発所長だった吉田昌郎さん(故人)を演じる。

 無事に完成を迎え、ひと足早く試写会が実施された。客席から温かい拍手で迎えられた佐藤だが、記者からファンに向けたメッセージを求められると「最初は、まだ早いんじゃないかと。痛みも含め、被災された方々の思いを考えると、まだ映画化するのは早いのではないかと思いました」と葛藤した胸の内を告白した。

 それでも「実際に映画を作り、福島で試写会をやったとき、映像として苦しいシーンもあったけど、現地の方が監督に『ありがとうございました』と声を掛けてくれた。そういうことだなと。僕はまだ早いと思ったけど、逆に言うとギリギリだったのかもしれない」と振り返る。そして、「人間は、痛みを忘れることで次にトライできる。ただ風化してはいけないこと、それをもう一回、自分たちが見直す意味では、ギリギリだったのかもしれない。痛みを次の世代に語り継ぐためにも、このときに観てもらう。そういうことだと思います」と丁寧に言葉を紡いだ。

 渡辺も「一言で申し上げるのは難しい。この映画を作って、いよいよ公開というときに社会情勢がこういう風になりました。ただ、我々は常に未来を予見できるわけではない。でもある種、国難とも言える岐路に立たされたときに我々は何をチョイスして、何に向かっていくべきなのか。この映画を通して、一つのヒントを得られるのではないか。そういう意味でも非常に大事な検証材料でもありますし、未来に向かう大きなステップになる映画だと思っています」と話した。

 また、海外メディアから「企画・制作中に日本政府、東京電力からプレッシャーや抵抗はあったか」との質問には、若松節朗監督が「僕の所には何も来なかったです。政府の圧力はないかと思います。現に総理、元総理や政治家もこの映画をご覧になってます。いまだに何もないですから」と明るい口調で答えていた。