乃木坂46のや欅坂46のコンテンポラリーダンスをテーマにしたマンガ『ムラサキ』が話題だ。コロナウイルスの影響を受けて、舞台は相次いで中止。そんな中、太った女子高生がダンスのために“超人的なダイエット”に挑むマンガに人気が上がってきている。SNSでは「テンポめっちゃ良い!流石ダンス漫画!」「エネルギーに満ち満ちた漫画だ」など圧倒的支持が見られた。この漫画の作者で、自らもダンス経験者である厳男子さんに話を聞いた。

【漫画】「2か月で25キロ落とす」ダンスに狂った主人公の変貌ぶりとは?

■欅坂46のあの曲でも「湧き上がるエネルギーを全てこめる」憑依的ダンスとは

 コンテンポラリーダンスとは、既存の型にとらわれず、身体の感じるままに自由に動いて表現するダンスのこと。最近では、乃木坂46の「シンクロニシティ」や欅坂46の「黒い羊」などの楽曲でも使われている。このコンテンポラリーダンスをテーマにした漫画は珍しいが、厳男子さんは「自分自身の体験と、漫画で読んだことがなかったテーマだから」との理由で描き始めたという。

――ご自身は大学でダンスと出会われたそうですが、ダンス部で印象的だったことは?
【厳男子さん】母校の筑波大学はダンスの全国大会で毎年賞を受賞するような強豪大学だったのですが、女性の部員がほとんどでした(当時の話ですが学年によっては男性の部員は0人)。テーマの自由度の獲得のためや、男女のペアなどで構成する部分を創作したいなどの演出上の理由でほぼダンス素人の男性を助っ人に入れてコンテストに出場していたのですが(自分もその一人)、それでも上位入賞する集団での力技が驚きでした(笑)

――「ムラサキ」には、ぽっちゃり眼鏡女子からダイエットによって変身する主人公・ムラサキ、美術部に所属し、多くの生徒たちから注目される美少女・ソラ、彼女のストーカーをしている翔之助など、さまざまなキャラクターが登場します。それぞれのキャラクターの描き方の工夫、設定や見た目のこだわりについて教えてください。
【厳男子さん】一番意識していることは、そのキャラクターひとりひとりの最も輝いている個性の部分です。美しいのか、コミカルなのか、渋いのか、など各々のキャラクターが一番引き立つようにタッチやべタやトーンなどの配分を変えています。

■ダンスに魅せられた作者「1年で12kg痩せた経験しかありません」

――ムラサキは2か月で25kg減量したり、山道を登る訓練をしたりします。厳男子さんにも、このような肉体改造のご経験があるのでしょうか?
【厳男子さん】1年で12kg痩せた経験しかありません。大学の学園祭で男のストリップをやるためにめちゃくちゃ筋トレした経験が一度あります。

■作画の背景にある研究「ボディビルコンテストも観に行っている」

 ユーザーからのコメントを見ると、「シンプルに、絵が無茶苦茶上手いな!」「画力の高さと表現力の高さにハマってしまいました。マンガというより絵画見てる気分です」「動きの表現がすごい!! 一コマ一コマに心をつかまれました!」など、画力の高さを評価する声がとても多い。キャラクターの絵は一昔前の懐かしいタッチだが、人物の動きの表現や緻密な書き込み、さらに読みやすいコマ割り、テンポ感の良さなども人気の秘密となっているようだ。

――「ダンスを踊る登場人物たちの筋肉描写が凄まじい」と読者からも好評ですが、何を参考にして描かれていますか? 肉体を描く際に苦労していることは?
【厳男子さん】何でも参考にしています。過去に自分自身や友人の写真もたくさん撮りました。解剖学の本やDVDも持っています。ボディビルのコンテストも観に行きました。肉体を描くときに苦労するのは、伸びている筋内と縮んでいる筋内の質の描き分けです。

――1話を描くのにかかる時間は?
【厳男子さん】情報量が多い背景があるページだと1日1ページしか描けません。1話のページ数が決まってないのですが、大体1日1~2ページだと考えて各話のページ数で割っていただければなんとなくわかると思います。20ページなら2週間くらいですかね。

■研究オタクな作者 「コマ割りや台詞の位置、台詞の長さなど日々研究」――中学生の「ダンス必修化」が決まり、苦労している生徒も多いと思います。経験者の間に入っても、ダンスを楽しむコツを教えてください。
【厳男子さん】恥ずかしがらないこと、恥ずかしい気持ちをごまかすために笑いながらやらないこと、集中すること、真剣にやること。少なくともこれだけやれば、どんなに技術がなくても、ダンスで空気を変えることができます!

――スマホで読まれるマンガという点で、何か意識していることはありますか?
【厳男子さん】「ムラサキ」はPCでも紙でもタブレットでも読めるので、スマホに対して特別な配慮はありません。すべてに共通している工夫は、とにかく読みやすくすることです。コマ割りや台詞の位置、台詞の長さなど、できる限り読者にストレスを感じさせない工夫を日々研究しています。

――今後描いてみたい場所や、作品のジャンルを教えてください。
【厳男子さん】異国の風景は描いてみたいです。ドイツの城とか。作品ジャンルでは、バトルものです。