1958年に産声をあげた「国産プラモデル」の歴史は60余年。その歴史を黎明期から支えているのがスケールモデル(※縮尺に基づいて忠実に再現した模型)だ。ここでは、歴史の“学び”を模型制作に生かす空探氏と、ウェザリングに情熱を注ぐマソ氏の“匠の技術”を紹介する。

【写真】トムキャット、ゼロ戦、スピットファイア…エース機をレジェンドモデラーが完璧再現

■歴史の“学び”は模型制作に生きている(空探氏)

 空探氏がプラモデルの魅力に目覚めたキッカケは、「中1の春に父親と見に行った映画『永遠のゼロ』」だったそう。元から特撮メカなどは好きだったが、『永遠のゼロ』を見た際、作中に登場する“実在”の飛行機や軍艦のカッコ良さに惹かれたのだという。

「その後、スケールモデルにより関心を持つようになったのは、YouTubeに投稿されていた飛行機や戦車の制作動画でした。当時は兵器の知識も無く、兵器の国籍やジャンルに関わらず手当り次第に見ていったのですが、『こんな兵器があるのか』『この塗装カッコイイな』と、知識を深めるうちにどんどんとのめり込んでいきました」

 そんな空探氏にとって思い入れ深い作品となっているのが、2018年制作の1/48 A-1H「スカイレイダー」。この作品は、ベトナム戦争中にスカイレイダーが『便器爆弾』(※「運べない物は無い戦闘機」と評価され、ノリで便器爆弾を搭載)を積載している様子を再現したもの。「兵器の歴史を学び、搭載武装の考察や実物写真を見てウェザリングを施したり、自分のスタイルや作風が確立した作品になりました」

 前述の通り、“歴史や戦史”を学ぶことはスケールモデル制作に役立っているという。「独学ながら、戦史や兵器、当時の文化などを調べながら制作することが多いと思います。それは、戦争の背景を知ることでより“説得力”のある作品に仕上げることができるからです」と空探氏は強調した。続けて、「スカイレイダーが良い例なのですが、戦争のどの時期にどのような武装を積載したのか、ということを大雑把に把握していたおかげで、積載武装の考察に大いに役立ちました」と笑顔で振り返った。

 戦史に詳しければ、ジオラマの構図や設定を考える際のヒントになると語る空探氏。「やはり、戦史や兵器などについて『ある程度勉強しておいて良かった』と思うことは制作中多々あって、今後もプラモ制作と並行して歴史の勉強もしたいと思います」

■プラモ制作は「めんどくさい」けど、完成した時の感動もひとしお(マソ氏)

 航空機の模型制作において、マソ氏が特に力を入れているのが“再現性のバランス感”なのだそう。それは、「航空機の汚れには必ず理由があると素人ながら考えているから」だという。

「ウェザリングだからといって全体を汚してしまっては、実機の再現性に欠けてしまい説得力がありません。しかし実機にあまりにも忠実だと模型的には面白くない…この表現のバランス感でよく悩んでいます」

 ジオラマ制作は“1枚絵でストーリーを表現”することが必要。だからこそ、ウェザリングなどの汚し表現が重要だとマソ氏は説明する。

「先程も言いましたが“汚れ”には様々な理由があります。それは飛行機そのものが原因だったり、人間によって生み出されるものもあったり原因は様々です。そのストーリーを作品に描き込むことで、作品は飛行機単品だけど様々なエピソードが想像できたらいいなと思っています」

 そしてもうひとつ、ジオラマ作品における撮影の重要性についてもマソ氏は語ってくれた。特に、写真を撮る際には日差しや太陽の方向を意識しているとのこと。「できるだけ順光で撮影できるようにしています。カメラは一眼レフカメラを使っていて、200mm程度で小さめにとってトリミングし、実機の雰囲気を出したいので写真編集アプリで少し調整、編集しています」

 とはいえ、こうした“こだわり”の作業を時に煩わしく感じることもあるようだ。けれど、「それでも完成した時の感動だけは譲れません」と話すマソ氏。「気づいたらもうすぐ20歳。プラモデルに触れて10年が経ちます。続けていたからこそ、こうしてインタビューも受けさせて頂けるようになりました。同年代モデラーはあまり多くありませんが(苦笑)、これからも長く続けていきたいと思います」