作家の古井由吉(ふるい・よしきち)さんの訃報を受け、芥川賞も受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹が、追悼コメントを発表した。

【写真】芥川賞選考委員を務めていた古井由吉さん

 又吉は「古井先生の作品に触れたのは、二十代の頃、『杳子・妻隠』という文庫本を手にしたのが最初でした。そこに書かれた言葉を目で追っていくと、一つ一つの文章が生きているように膨らみ、比喩ではなく実際に脳が揺れるような感覚がありました。あのような読書体験は初めてでした」と回想。

 また、「私にとって『山躁賦』は師のような小説です。『やすらい花』、『蜩の声』は何も読める気がしない夜に何度も読み返した作品です。最近も『この道』を読んだばかりでした」と古井さんの作品の思い出を振り返り、「お会いするたびに古井先生は気さくに声を掛けてくださいました。その優しさと作品にどれほど励まされたことでしょうか。感謝してもしきれません」と悼んだ。

 「内向の世代」の作家として知られた古井さんは、『杳子』での芥川賞のほか、多数の文学賞を受賞。芥川賞選考委員を務めるなど、日本の文学界の振興を担ってきた。また、又吉の文才をいち早く見出したといわれている。