女優の松下奈緒が主演、木村佳乃が共演を務めるフジテレビ系『アライブ がん専門医のカルテ』(毎週木曜 後10:00)。日本で初めてがんを専門に扱う腫瘍内科を舞台に描くこの物語では、徹底的に“がん治療”におけるリアリティーある描写を追求している。国民病ともいえる“がん”を扱うからこそ、チーフ監督を務める髙野舞氏は「視聴者の方には、がん患者さん、そのご家族も含まれることに意識を向けています。個人によって病気によって症状はそれぞれ異なりますが、現実を目の当たりにされてきた方々が、嘘っぽく感じてしまわぬよう出来るだけ丁寧にリアルに表現することに努めました」と語っている。

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 同ドラマは腫瘍内科医の恩田心(おんだ・こころ/松下)と消化器外科医の梶山薫(かじやま・かおる/木村)の女性医師2人がタッグを組み、“がん”に立ち向かっていくメディカル・ヒューマン・ストーリー。その医療描写については視聴者から「今までになくリアル」「緻密な再現に感動した」「闘病中だが知らないことがあって役に立った」と反響も多く寄せられている。

 第1話では特殊メークによって副作用を表現。腹膜がんと診断された患者・村井恵子(石野真子)が恋人である山本忠司(田口トモロヲ)からプロポーズを受け指輪をはめてもらうシーンではその爪が黒く変色している。これは恵子が受けた抗がん剤治療によるもので爪の先といった細部までこだわる姿勢はこのドラマをある種、象徴するものでもある。

 このほかにも第1話では『CVポート』をつけた患者・殿山俊樹(石田明)が登場。抗がん剤治療は継続して行い、毎回点滴の注射をしなければならないため、血管がもろくなって注射が難しくなったり、薬液が漏れて皮膚に炎症を起こしたりするリスクもある。CVポートは埋め込み式の点滴の管で、点滴を接続するための小さなポンプ(ポート)がついており、これらをすべて体内(皮膚の下と血管の中)に埋め込む。ポートの部分を体の外から針で刺すだけで点滴ができるようになる。

■入院患者だけでなく通院患者やがんとの付き合い方にもスポット

 今まで映像作品における“がん患者”は“抗がん剤治療をすると副作用に苦しみ、長期入院をする”というように描かれることが多かったが、同ドラマには抗がん剤治療を通院で行うがん患者や長くがんと向き合う人々も数多く登場している。

 第2話で抗がん剤治療を始めた患者・日ノ原徹(寺脇康文)に、長年治療を続けている患者・赤城紀子(ふせえり)が「口内炎ができやすくなるから氷を口に含むといいよ」とアドバイスをするシーンがある。むくみ対策に脚には着圧ソックス、末梢神経のしびれ対策に手先を冷やすために氷をいれた鍋掴みをつけながら治療を受ける。

 全身がんの患者、高坂民代(高畑淳子)。近年、副作用をおさえるための薬、管理するための治療方法が進み、抗がん剤治療は基本的には通院で行うことが多い。とはいえ、さまざまな副作用、精神的な負担を抱えながら、生活と治療の両立に努めている。そういった見た目ではわからないが、周囲からの配慮を必要とする人のための“ヘルプマーク”を身につける患者が増えており、民代も、かばんにヘルプマークをつけている。

 「がんを題材にするという上で、様々なご意見があることは覚悟して演出に臨みました」と高野氏。リアルを追求することで「見るのがつらいと感じる方もいらっしゃると思いますが、今や他人事ではないがんという病を扱う以上、極力忠実に描きたいと思って取り組んでいます」と信念を持って臨んでいる。

 同ドラマで腫瘍内科監修を務めるひとりでもあるのががん研有明病院の小野麻紀子先生。「医療ドラマの作成に真摯に取り組まれています」と印象を語り、「制作スタッフの皆さんが非常に熱心で、そのチームワークは、医療現場にも通ずるものがあり、興味深く拝見しています。化学療法室や病室での撮影では、ちょっとした所作にも注意を配り、リアルに描こうとする姿勢に感心しています」と述べる。

 「がんで苦しんでいる人は案外多いのに、それが社会に浸透していないと思います。最近では芸能人の方で打ち明ける方も多くなってきましたが、一般的には言い出せない方も少なくありません。この作品を通して、がん患者の方の考えていることや抱えている不安、がん医療についてなどを共有して、オープンにしやすい社会になればいいなと思います。オンコロ先生と薫先生との行く末や医療過誤をめぐるミステリー風のストーリーもお楽しみ頂きながら、社会全体で、がん患者さんやがん医療への理解が深まることを期待しています」とコメントを寄せている。