3rdアルバム『CEREMONY』が大ヒット中のKing Gnu、アルバム『Travelers』を引っ提げ、3月から初のアリーナツアーを開催するOfficial髭男dismなどのブレイクより、大きな盛り上がりを見せているバンドシーン。その要因は優れた楽曲と魅力的なライブパフォーマンスだが、これらのバンドの躍進の背景の1つにあるのが“タイアップ”だ。特にドラマ主題歌からのヒットがブレイクを後押しするケースが増加しており、今クールでも女王蜂、flumpoolなどの楽曲が徐々に注目を集めている。

【全身ショット】紅白初出場!黒スーツでビシッときめるOfficial髭男dism

■音楽シーンで改めて見直されるドラマタイアップのチカラ

 ここ数年における“タイアップ”の成功例といえば、やはり新海誠作品とRADWIMPSだ。記録的ヒットとなった『君の名は。』(主題歌「夢灯籠」「前前前世」「スパークル」「なんでもないや」)に続き、昨年公開された『天気の子』(主題歌「風たちの声」「祝祭feat.三浦透子」「グランドエスケープ feat.三浦透子」「大丈夫」「愛にできることはまだあるかい」)でも再びタッグを組んだ両者。映画の世界観やストーリーと強くリンクした楽曲によって、映像と音楽の新たな表現を切り開いた。それが双方のヒットにつながったことに疑問の余地はないだろう。

 King Gnu、Official髭男dismもまた、映像作品とのタイアップでブレイクのきっかけを掴んだ。King Gnuの代表曲「白日」は、日本テレビ系 土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』主題歌。気鋭の弁護士の黒川拓(坂口健太郎)が、科学者の秋保恭一郎(藤木直人)、ジャーナリストの有馬聡子(市川実日子)らと協力しながら、冤罪事件を解き明かしていくドラマのストーリー、そして、悲しみと希望というアンビバレンツな感情を表現した「白日」が見事にリンクし、相乗効果を生み出した。「白日」はストリーミングサービスを中心にヒットし、再生数は1億超え。大きく知名度を上げ、年末にはNHK紅白歌合戦への初出場も果たした。

 ヒゲダンの愛称で親しまれているOfficial髭男dism は、『コンフィデンスマンJP』と魅力的なコラボレーションを繰り広げた。映画『コンフィデンスマンJP-ロマンス編-』の主題歌として制作された「Pretender」は、悪徳な方法で大金を稼ぐ人間を騙し、財産を奪おうとする詐欺師たちの活躍を描く映画と寄り添いながら、ピアノポップバンドとしてのヒゲダンの魅力を幅広い層にアピール。「白日」と同様、ストリーミングサービスで圧倒的な強さを見せ、一気にブレイクを果たした。新作映画『コンフィデンスマンJPプリンセス編』(5月1日公開)でも主題歌「Laughter」を提供。こちらも話題を集めそうだ。

■女王蜂、flumpoolなど、今クールでも“ドラマ×バンド”が化学反応

 今クールでも、“ドラマ×バンド”の魅力的な化学反応が生まれている。Official髭男dismはTBSドラマ『恋はつづくよどこまでも』に主題歌「I LOVE...」を提供。純粋で一生懸命な新米ナース・七瀬(上白石)容姿端麗、頭脳明晰のドSドクター・天堂浬(佐藤健)の恋愛を描いたドラマをポップにして切ない楽曲で盛り上げている。

 日本テレビ系ドラマ『知らなくていいコト』の主題歌は、flumpool「素晴らしき嘘」。吉高由里子が演じる週刊誌の記者を主人公にしたウソと真実を巡るドラマのストーリーを汲み取った、エモーショナルなロックナンバーだ。flumpoolの山村隆太は「人と人が共に生きていく中で、「真実」とは一体何なのか? ドラマと共にその答えを探していきたいと思っています」とコメント。ドラマの世界観とバンドの楽曲を有機的に結びつけていることが伺える。

 また、フジテレビ系ドラマ『10の秘密』のオープニングテーマ「BL」(女王蜂)も話題だ。一人娘を必死で育ててきたシングルファーザー(向井理)が事件に巻き込まれ、関わってきた人たちの秘密が徐々に明らかになるというストーリーと、危うさ、妖しさ、美しさが一体となった「BL」はまさにベストマッチ。最新のR&B、ヒップホップを取り入れたディープなサウンドも、「10の秘密」のスタイリッシュな世界観をさらに際立たせている。

 ストーリーやメッセージを汲み取った歌詞、映像の雰囲気や登場人物の関係性を想起させるサウンドを含め、現在のドラマ主題歌は、ドラマの物語やコンセプトと強く結びついているものが目立つ。既存の楽曲を提供するのではなく、ドラマサイドの意向を反映させてオーダーメイドしつつ、アーティスト(バンド)としての個性をアピールするためには、高度な音楽性とバランス感覚が必要。そんな楽曲を制作するのは簡単ではないが、King Gnuの「白日」、ヒゲダンの「Pretender」に象徴されるように、ドラマと楽曲が上手くハマったときの拡散力はきわめて強い。今後も“ドラマとバンド”のコラボレーションから新たなヒットが生まれることになるはず。タイアップの文化は20年代以降も有効だと断言したい。