NHKで放送が始まった2020年大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。主演の長谷川博己演じる明智光秀とともに、本作のもう一人の主人公ともいえるのが、門脇麦演じる戦災孤児の少女・駒だ。第1回は、駒の口から「麒麟がくる」というタイトルの意味が語られ、その後、光秀が「麒麟は来ない」と否定する、印象的な幕開けとなった。駒のオレンジ色の衣装も印象的だったが、「長谷川さんもグリーンやブルーのお着物ですし、皆さん衣装が鮮やか。あの時代は実際に鮮やかな色の着物を着ていたようです。最初、抵抗があったとしても3週観ていただけたら慣れます」と、話していた。

【写真】第3回「美濃の国」(2月2日放送)場面写真

 主人公の光秀は、織田信長の家臣として乱世を駆け抜け、後に戦国最大のミステリー、本能寺の変を引き起こす男。しかし、彼の前半生には謎が多く、裏切り者といった印象が強い武将だった。『麒麟がくる』ではこれまであまり描かれることがなかった若き光秀の青春期の成長が描かれる。

 若き光秀が、生まれ育った美濃から初めて旅に出て、京で出会った娘が駒だ。名医を探していた光秀がたどり着いた望月東庵のもとで助手をつとめている。駒も東庵もドラマオリジナルのキャラクター。特に駒は、戦が続き、日々の生活に苦しむ庶民の代表ともいえる存在。歴史に名を残す英傑たちだけでなく、名前は残っていないが間違いなく存在した庶民の目線からも戦国時代を描く本作の「もう一本の柱を担えることをうれしく思います」と、門脇もやりがいに燃えている。

 「駒は、視聴者の方に一番近い目線で、光秀を見ている存在。新しい戦国の大河ドラマ、新しい光秀像、新しい信長像を描くために、駒が存在していると思います。駒の暮らしを描くことで、この時代の人々の様子をさらに一歩踏み込んで描くことができる。それが光秀の物語にも、大河ドラマにも新しいものを吹き込むことになると思います」

 駒は、3歳の時に戦火に巻き込まれたところを「大きな手」の人に助けられたが、両親を亡くしてしまう。泣き止まない駒に、その「大きな手」の人が語って聞かせたのが、「麒麟」の話だった。「いつか戦は終わる。戦のない世の中になる。そういう世を作れる人がきっと出てくる。その人は、麒麟を連れてくる。麒麟というのは穏やかな国にやってくる不思議ないきものだ。それを呼べる人が必ず現れる。麒麟が来る世の中を…。だから、もう少しのしんぼうだ」と。

 両親を亡くした駒を引き取って育てたのが、堺正章が演じる医師の望月東庵だ。 「堺さんと、もうひとり岡村隆史さん(三河出身の農民・菊丸役)の3人がオリジナルキャラクターで、一緒のシーンも多いのですが、堺さんは『我々はオリジナルキャラクターなので、ちゃんとしないと途中でいなくなってしまうこともあり得るから、一緒に頑張りましょう』とよくおっしゃっています(笑)」。

 穏やかそうな撮影現場には、すでに“麒麟”が降臨(!?)。連れて来たとすれば、光秀役の長谷川にほかならない。

 「長谷川さんはいろんな選択肢を考え、最善のものを選んでいる側面と、直感で飛躍する瞬発力を持っている方だと思います。ピュアで繊細なのに、現場の真ん中でどっしりみんなを支えていらっしゃって、その長谷川さんの姿が、光秀にすごくぴったりな感じがします」

 門脇自身は「監督からも『駒は常に、明るく』と言われているので、明るく前向きなお芝居を心がけています。その裏に隠された悲しみや背負ってきたものまで表現できたらいいな、と思って演じています。駒に共感してか、私も現場で明るく、いつもよりテンションを一段高く保っていられる気がします」。

 第1回で、光秀が「おまじない?」かと思った薬の名を言うシーンもあったが、実はアウトドアが好きで、最近野草も勉強し始めたという。「せりふにある薬草のことを知っていたり、聞いたことがないな、と思って調べると、昔の呼び名であることがわかったり。あそこに生えている草だな、ってつながるので、覚えやすい(笑)。いい趣味もっていてよかったです」。

 駒が光秀に「麒麟」について語ったほか、菊丸は「鉄砲」が堺で買えるという情報を光秀にもたらす。東庵はかつて“高貴”な人たちを診ていたようで、光秀が知らない世界をいろいろ知っていそうだ。

 「きっと戦国時代にも情報戦があって、情報は一番の武器だったと思う。歴史上に名前は残っていないけれど、誰かが誰かに情報を伝えて、それが歴史を動かすことにつながっていたかもしれない。そういう部分の面白さを描くために、オリジナルキャラクターが点在しているんだと思うし、そういう目線で見ていただけたら、このドラマをより楽しんでいただけるんじゃないかと思います」。

■第3回「美濃の国」

 夫を亡くした帰蝶(川口春奈)は明智荘を訪ね、光秀や駒らと束の間の気の置けないひと時を過ごし、笑顔を取り戻す。一方、道三(本木雅弘)は、より操りやすい土岐頼芸(尾美としのり)を美濃の新しい守護として擁立しようとする。内心、道三のことを嫌う頼芸は、高政に自分が実の父親であるかのようにほのめかす。