“詳しすぎるマラソン解説”で人気の増田明美(56)。きょう26日、大阪市内で開催され、カンテレ・フジテレビ系で生中継される『第39回大阪国際女子マラソン』(正午~後2:55)の解説陣にも名を連ねる。きょうはどんな選手の小ネタを披露してくれるのか。東京2020オリンピック、マラソン女子日本代表の最後の1枠を争うレースの行方とともに、増田の名解説も楽しみだ。

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 増田は、1984年ロス五輪で初の正式種目となった女子マラソンに出場し、80年代の女子マラソン界をけん引。92年に引退後は、スポーツジャーナリストに転身。マラソンや駅伝の解説者、講演、イベント、テレビ・ラジオ番組の出演など多方面で活躍している。

 マラソンや駅伝の解説で心がけているのは、「選手である前に人なんだ、ということ。レースに挑んでいる人はどんな人なのか、なぜ速く走れるのか、選手の人となりがわかるような情報をレース中、ひとつ、ふたつ出していきたい、と思っています」。

 そのために、独自取材のための労を惜しまず、選手やコーチ、時には選手の家族とも食事して、ネタ集めに余念がない。その原点をさかのぼると、2016年に83歳で亡くなった永六輔さんとの出会いが大きかったという。永さんは、「上を向いて歩こう」をはじめ多くのヒット曲の作詞や、ベストセラーとなった『大往生』の作者として知られ、亡くなる直前までラジオパーソナリティーを続け、マルチに活躍した。

 「競技を引退してから、永六輔さんとお会いする機会に恵まれて。永さんがおっしゃっていたのは、マラソン中継が好きなんだけど、独走になるとなんかつまんなくなるって。独走になったら俳句の一句でも詠んだらどうですかって。つまり、視聴者を飽きさせないよう工夫したほうがいい、ということを教えていただいて。それからですね」

 実際、解説中に俳句を詠んだことがあるという。「自分で詠んだ句ではないんですけどね。クイーンズ駅伝(全日本実業団対抗女子駅伝競走大会)という宮城の松島をスタートして仙台にゴールする、奥のほそみちの逆コースの駅伝で、芭蕉の句を紹介したことがあります。〈あやめ草(ぐさ)足に結(むすば)ん草鞋(わらじ)の緒〉ってね。よし、出発するぞ、という句がぴったりだな、と思ったタイミングがあったので」

 2000年シドニー五輪で高橋尚子選手が金メダルをとったレースの解説では、スタート前の取材で仕入れた、高橋選手が詠んだ短歌〈タンポポの綿毛のようにフワフワと42キロの旅に出る〉を、35キロ付近でサングラスをはずしてスパートをかけた場面で紹介し、大きな話題となった。

 「Qちゃん(高橋選手)の短歌が紹介できたのも、飽きさせないってことを教えていただいた永さんのおかげだと思っています。実は、2020年東京五輪、マラソン女子日本代表に内定している鈴木亜由子さんのおばあさまが趣味で短歌を嗜んでいて、レース中ずっと紹介していられるくらい短歌を預かっているんですよ(笑)。本番で紹介できたらいいな、と思っているんですけど、解説者はまだ決まっていないんです(笑)」。

 さらに、増田のマラソン解説は、2017年前期連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)のナレーションを経験したことで、「寄り添えるようになった」と進化。

 「朝ドラのナレーションはとても勉強になりました。ヒロインをはじめいろんな登場人物たちに寄り添うような語りを教えてもらいました。自分がいかに競技者だったかに気付かされました。特にマラソンは個人競技でしょう。我を押し通してゴールする。強くならなくてはいけない、負けちゃいけない、という生き方をしてきたから。

 ですが、ドラマ制作の世界をのぞかせてもらって、脚本の岡田惠和さんも、プロデューサーの方々も、何より有村架純さんはじめ俳優さんたちの心のひだの多さはすごいですね。この人はどういう気持ちなのかと、常に想像力を働かせながら台本と向き合って、役をとおしていろんな人の気持ちを理解しようとする生き方をされているから、やさしくなれるんでしょうね。私に足りないものが本当にたくさんあるなというのがわかって、すごく学びました」

 『大阪国際女子マラソン』では、増田の選手に寄り添った解説にも注目だ。