「僕は胸を張って“テレビタレント”だと言いたい」
テレビ離れが叫ばれて久しいが、30年以上変わることなく“テレビを愛し続けてきた男”が勝俣州和だ。前回は、大物芸人と分け隔てなく共演出来るという“免罪符”を如何に勝ち取ったのかを聞いた。後編では同時代を共に生き、各々が天下を取った、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンとの初共演の秘話“邂逅の刻”を聞く。それぞれの大物との距離感や想いに微妙な差異があり、非常に興味深い。

【貴重写真あり】実はアイドルだった…勝俣が所属した伝説のグループCHA-CHA

■とんねるずとの共演時に誕生、今に続くフォーマット“泣きの1回”は勝俣から始まった

――今回は、改めてウッチャンナンチャンさん、とんねるずさん、ダウンタウンさんという同時代を共に生き、天下を取った芸人さんの印象を聞きしたいです。とんねるずさんとの初共演は?
【勝俣州和】一番最初は『ねるとん紅鯨団』の芸能人大会でしたね。その時に同じ女の子を取り合って、“てんどん”(※同じボケを数回続けることで笑いを産む手法)みたいなことを僕と見栄晴くんでやったんですよ。僕と見栄晴くんは欽ちゃん(萩本欽一)のところで散々鍛えられたので普通に出来たんですね。それを総合演出のテリ―伊藤さんやとんねるずが買ってくれて。

――まさか、元アイドルが“てんどん”を完璧にこなすとは当時は思っていなかったでしょうね(笑)。
【勝俣州和】その後に『生ダラ』のゲストに呼ばれて、とんねるずとボウリング対決をしたんです。で、たまたま僕の最後の一投で勝ったんですよ。そしたら、とんねるずが「もう一回!」って言ってきて。でも、僕は「頼み方というものがあるんじゃないですか? 僕はおじいちゃんとおばあちゃんに厳しく礼儀作法を習ってきたので」って。そしたら、とんねるずがいきなり土下座をしたんですよ(笑)。そこから“泣きの1回”というパターンが誕生して。

――今に繋がるゲーム形式のコンテンツに必要不可欠な“泣きの1回”って勝俣さんから始まったんですか!
【勝俣州和】そうなんですよ。まぁ…とんねるずが土下座をしてきたときはビックリしましたけどね。周りのスタッフもギョッとしていたし(笑)。

■“即興コント”一発でウンナンの冠レギュラーを獲得「アドリブは欽ちゃんに散々鍛えられた」

――では、ウッチャンナンチャンさんとの出会いは? 勝俣さんは『ウリナリ』などでも重要なポジションを担っていましたが。
【勝俣州和】ウンナンとの最初の出会いは、実はドラマだったんです。ウンナンがドラマをやっていて、そこにキャスティングしてもらった時に初めて色々話して。彼らとは同じ年なので共通の話題も多くて、僕もお笑いが大好きだったから笑いの話も合って。その後、ウンナンがフジテレビのゴールデンでバラエティが決まったとき、僕がちょうどCHA-CHA解散直後だったのかな? その番組に呼んでもらって即興コントをやったんです。そうしたらディレクターの片岡飛鳥さんが来週からレギュラーで出てくれと。「え!? そんな簡単にレギュラーってなれるものなんですか?」って、こっちが驚いちゃって。そこからですね、ウンナンとは。

――1回のゲストでレギュラー勝ち取るってとんでもないですよ。
【勝俣州和】ほぼ、アドリブのコントでしたけど、これも欽ちゃんのところで散々そういったことはやってきたので。

――ここでも週5日、1日12時間の特訓が活きてくる(笑)。
【勝俣州和】そうそう(笑)。ウンナンとの即興は本当に楽しくてね。会話のキャッチボールも異常なくらいの速さでしたからね、彼らは。でも、そこにしっかりと返すことが出来れば最高に嬉しいし楽しい。「こんな面白い遊びが出来るんだ!」って歓喜して。毎週収録に行くのが楽しみでしょうがなかったですね(しみじみ)。

■初の『ダウンタウンDX』、“門番”山崎方正からの挑発を受け奮起!?

――ダウンタウンさんとの共演はとんねるずさん、ウンナンさんよりは若干後になるんですか?
【勝俣州和】いえ、“共演”という意味では実は早いんですよ。ダウンタウンに関しては、僕がとにかく大好きで。CHA-CHA時代に大阪に行ったとき、彼らの番組を観てメチャクチャ面白くて大ファンになって。もちろん『夢で逢えたら』も観ていた。で、CHA-CHAでラジオ番組をやっていた時に、ディレクターからゲストの要望を聞かれた際に「ダウンタウンで!」と即答したら絶句されて。当時はまだ東京に本格進出もしていなかったので、まだまだ全国的に知られていなかったんですね。でも強引に出演してもらって、その時に浜田さんからメチャクチャ突っ込まれたんですよ。それで「うわー、やっぱりメチャクチャ面白い!」って確信して。で、その後はダウンタウンが出ている大阪ローカル番組を全部録画して送ってもらって。

――ただの大ファンじゃないですか(笑)。
【勝俣州和】大ファンですよ!「彼らのことをもっと知りたい!」って。ただ、全国ネットのレギュラー番組に出演するのは一番遅かったですね。初めては(ダウンタウン)『DX』だったと思いますけど、スタジオに入る前に、その時共演者だった山崎方正(現・月亭方正)に「やっとここまで辿り着きましたね…」って言われて。

――かまされましたね~。お手並み拝見させてもらいましょうと(笑)。
【勝俣州和】え!? って(笑)。まぁ、でも当時の山崎方正は“門番”みたいな役割でしたからね。ただ、僕もそれまでに沢山の現場を経験してきたので、フリートークでダウンタウンの2人から話を振られてもしっかり返すことが出来て、スタジオの受けも良かった。対して山崎方正くんは、ダウンタウンからの振りをことごとく外して全く受けずで(笑)。本番中にチラッと方正くんの顔を見たらずっと下向いてうなだれてましたねぇ。

――まるで敗戦投手のような悲壮感を漂わせて(笑)。
【勝俣州和】大丈夫かなこの人? 門番なのに…とは思いましたねぇ(遠い目)。

■勝俣が考える“落ちていくタレント”の共通項「現場で文句を言いだしたら間違いなく落ちる」

――大御所から若手まで様々なタレントと絡んできた勝俣さんですけど、その経験から“売れるタレントの共通項”ってあるんですか?
【勝俣州和】誰が売れるかというのは、実力はもちろんタイミング的な面も左右するので、一概には言えないですけど、ちょっと売れたタレントが、そこからさらに売れていくのか、落ちていくのかの差はハッキリしてますね。

――その差とは?
【勝俣州和】現場で文句を言いだしたら間違いなく落ちていきます。「これ何待ち?」とか「弁当一種類しかないの?」とかを周りにスタッフがいる中、現場で言い出したらどんどん落ちていきます。やっぱり、ちゃんと上で残っている人って真面目なんですよ。あと優しい! 僕なんかじゃ太刀打ちできない位の気配りが出来ますからね。で、その気配りをこれ見よがしにアピールもしない。これはトップを張り続けているタレントさんの共通項ですね。

――確かに、天下を取ったタレントさんって、直接的というよりも内面から滲む優しさを感じますね。
【勝俣州和】でしょ? あともう1つ、落ちていくタレントのパターンを教えましょうか?

――ぜひ(笑)。
【勝俣州和】後輩に自分の“良い人エピソード”を言わせるタレントは確実に落ちていきます!

(一同爆笑)

――「やめろや~」とか言いながらも、まんざらでもない顔して言わせている風景をたまに見かけます(笑)。
【勝俣州和】お亡くなりになった後なら良いんですけど、現在進行形で欲しがるのはよくない! 例えば、僕はテレビで欽ちゃんの良い話は一切しませんから。無茶ぶりされてひどい目にあった話しかしない(笑)。良い話は山ほどありますけど、それはやっぱり亡くなった後に話します。ただ、お葬式で泣きながら話すのもちょっと違うかなぁ~とも思いますけどね。

■勝俣州和=テレビ界のみそ汁「高級な“おかず”にはなれないけど…」

――結局、勝俣さんを形容する際、どんな肩書が正しいんですかね? 元はアイドルで芸人的なポジションも取りつつ、朝の情報番組にも出演する。ご自身はどのような名称が座りがいいですか?
【勝俣州和】自分のことを“芸人”という認識はないんですね。僕は自分のことを“テレビタレント”だと思っているし、そこに誇りも持っている。前に中居くんに言われて「なるほど!」と思ったのは、「勝俣さんは、勝俣さんというジャンルを作りましたよね」って。あと、水道橋博士なんかは「テレビ界のみそ汁だ」って(笑)。

――凄く良い表現ですね。
【勝俣州和】メインはおかずなんだと。たけしさん、さんまさん、とんねるずやウンナン、ダウンタウンは高級なステーキやハンバーグなんです。で、視聴者の皆さんがライスを持ちながら、どの番組(おかず)を見ようか?と。でも、合間に絶対に必要なのはみそ汁なんだよって。

――しっかり出汁から取った上質なみそ汁が用意されているからこそ、おかずも進むと。
【勝俣州和】やっぱり普通のタレントさんなら豪華なおかずを目指すじゃないですか? 「凄いみそ汁を目指すぞ!」って奴はそうそういないでしょ?(笑)。だから、“みそ汁”の立ち位置は僕の独壇場なんです。