日本独自のスポーツとして昭和27年に誕生したボートレース。今では韓国でも開催されているが、男女が対等に競う世界でも珍しい競技だ。タレントの徳光和夫や坂上忍、島崎和歌子などもボートレース好きを公言している。競馬に比べると規模は小さい印象だが、実は6年連続売上・利用者数ともに右肩上がり。「美女・イケメン揃い」と若手レーサーのルックスや肉体美も話題になっており、中でも実力・人気ともに注目なのが大山千広選手だ。去年、弱冠23歳にして5600万を超える賞金女王となった彼女に競技の魅力を聞いた。

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■“おじさんスポーツ”に変化の兆し?10年で売上倍増の背景に“1割”女子レーサーの飛躍

 2010年度における全体売上は8,000憶円台まで落ち込んだが、2015年度には1兆円台に回復し、今年度は1兆6,000億の売上が見込まれるなど着実に人気を伸ばしてきているボートレース。その背景は、スマホを利用したネット投票の存在が大きいだろうが、5年前にはイケメンボートレーサー写真集『ボートレーサー男子』が発売されるなど、女性人気も徐々に高まってきている。また、近年は渡辺直美や田中圭などを起用したCMによるイメージアップの効果もあってか、“おじさん”ばかりだった会場に若者が見られるようになり、ナイターレース場にはデートスポットとして利用するファンも増えたという。

 また、女子レーサーの飛躍も新たなファン層を拡大させている。女子レースの全体売上は2009年度の504億から、2018年度は1365億円にまで成長しているのだ。“水上の格闘技”とも呼ばれ、最高時速80キロに達する競技だが、体力差のある男女が同じスタートラインに並び、その速さを競う。それこそが、ボートレースの最大の魅力だと大山選手は語る。「女子だけのレースもたくさんあるけど、男女が一緒に走るのが魅力。そういう競技ってあまりないので。女子が男子に勝てる競技でもあるので、夢もあって女性ファンにもすごく刺激にもなるんじゃないかと思います」

 ボートレースにおいて幼少期からやっていたというレーサーはおらず、脱サラ・元保育士・元モデルなど経歴は様々。選手生命も長いことから、70代の選手が大会を制することもある。しかし、約1600人のボートレーサーのうち、女子はわずか200人程度。その中で、男子レーサーと張り合い活躍できる女子レーサーは更に限られる。

 昭和60年のデビュー直後から類まれな才能を発揮し、生涯獲得賞金が10億に達した日高逸子選手は、「私がデビューした頃は、女子選手なんて技術もまだまだだったし“邪魔者”ぐらいに見られていたんです。今の女子戦人気は、昔だったら考えられない」と語っている。体力や筋力で劣る女子レーサーが男子レーサーを凌ぐ勢いを発揮しだしたのは、最近のことだという。

 出待ちしてくれるファンや花束の数に驚くことも多いという大山選手は、近年の女子レーサー人気は、日高選手のような先輩方の功績だと話す。「最初は、男子の中で1人で走られていた鵜飼菜穂子さん。そして、寺田千恵さんや遠藤エミさんが男子の中でも戦えるようになり、影響力のあるレースをされて、女子レーサーの立ち位置が変わってきたというお話を聞いています。そういった先輩方のすごい苦労があって、やっと女子が注目してもらえるようになったときに私が選手になれたのでありがたいですね」

■目指すは前人未到のSG優勝、男子顔負けの美女ルーキー筆頭でさらなる人気加速なるか

 大山選手は、ボートレースオールスターの出場選手を決めるファン投票で、昨年多くの男子トップレーサーを抑え4位を獲得。若くして最高グレードであるSGレースに出場を果たすも、その実力の差に落胆したという。「やはりトップの男子レーサーたちと比べたら、ボートの返し方、体の使い方とか見ている場所とか、それが全く違うので、進入角度やスピードが圧倒的に足りないことを痛感しました」

 逆に女子の強みを聞いてみると、「男子は動体視力、反射神経、筋力などが圧倒的に女子より勝っていますが、女子が有利なのは体重ですね。4キロそこそこの違いがありますので、ボートという分野では4キロのハンデを技量で埋めるのは大変なんです。同時にそれだけ男子の技量が高いということでもありますが」とのこと。

 そんな彼女の夢は、70年近くのボートレースの歴史の中で女子初となるSG優勝。そのために、練習では常に自分より強いと思う選手に一緒に走ってもらい、こてんぱんにされることで自分の弱点を見つめ直しているという。誰も成し遂げたことのない“女子初のSG覇者”となれば、更なる話題を呼ぶことは間違いない。

 大山選手は、何よりも同性ファンに「かっこいい」と声をかけられることが嬉しいと話す。「今まではあまり考えたことなかったんですけど、最近メディアの方に取り上げていただく機会が増えて、ちょっとずつ自分にも出来ることあるのかなと思うようになって。私が発信したことで女性のファンが増えたらいいなと思うようになりました。皆さんの応援は競技に対するモチベーションにもつながりますから」

 “美女アスリート”としても注目されている大山選手。すでに多くの“おじさん”の心を鷲掴みにしているが、弱冠23歳にして賞金女王の座に上り詰め、どんなに大きな舞台を経験しても「まだまだ」「課題が見つかっただけ」と話す真摯な姿勢からも、年々勢いが増すボートレース人気を一層加速させる存在となりそうだ。