昭和を代表する小説家・松本清張の短編推理小説集『黒い画集』の1編「証言」を原作とする単発ドラマ『黒い画集~証言~』が、NHK・BSプレミアムで5月9日(後9:00~10:29)に放送される。

【写真】『砂の器』は映画化されても名作に

 1909年(明治42年)生まれの清張は、41歳で小説家デビュー。その2年後の1953年『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞する。『点と線』『砂の器』などの名作を生み出し、社会派推理小説ブームを起こした。1992年(平成4年)に亡くなった後も、清張作品を原作とするドラマや映画が数多く制作されてきた。

 令和の時代に入り、『黒い画集~証言~』では、物語の舞台を現代に置き換え、大胆かつ斬新な解釈で映像化されることに。なんと、原作で描かれる男の悲哀と滑稽さのエッセンスはそのままに、主人公の不倫相手を女性から男性に変更して、バイセクシャルや偽装結婚といった現代的世相を取り入れ、さらに耐える妻の思いもよらない逆襲までを鮮烈に描く。

 主人公・貞一郎役で主演するのは、谷原章介。妻・幸子役に西田尚美。不倫相手の智久を浅香航大が演じる。

 貞一郎は、幸子と結婚後、金沢にある妻の実家・石野クリニックを継いでいた。実直な仕事ぶりが評判の医師だが、3年前から妻に隠れて付き合う相手がいた。しかも密会を重ねるその相手は、美大生の青年・智久。ある日、殺人事件を捜査する刑事が貞一郎を訪ねて来る。

 殺人容疑で逮捕された杉山という男が、事件発生時に貞一郎と会っていたとアリバイを主張しているという。じつはその日、貞一郎は恋人の智久との密会を楽しんでいて、杉山と偶然顔を合わせたがそしらぬふりをしていた。だが智久との関係がバレ、家庭も仕事も失ってしまうと精神的に追い詰められた貞一郎は、その日に杉山とは会っていないと偽証してしまう。

 一見、幸せな家庭生活を営む男が足を踏み入れた、若い相手との甘美な不倫関係。ささやかな快楽を求め、思わず“偽証”してしまったがゆえ、人生の歯車が狂っていく男の姿に、誰もがこの上もない恐怖を感じるラブサスペンス。平穏な日常から転落していく男は、思いもしなかった恐ろしい“代償”を払うことに…。すべての真実が白日の下にさらされた時、はたして男は何を決断するのか? そして、妻の夫への答えとは?