自分らしさや好きなものを貫くことが思うようにできず、苦しむ人も多いなかで、SNSではあえて”自分の好きなものへの思いを貫くこと”の大事さを訴える2つのアカウントが反響を呼んでいる。1人目は、「ドラクエ」との出会いや思いを描いた漫画を投稿し、2.2万件ものいいねを集めて話題となったかずささん。「ドラクエ」のおかげで自信も与えてもらえたという。

【漫画】「女だてらにゲームなんて」と言われ…ドラクエ好き作者が伝える”好きなものを貫くこと”

■「おかしな風潮や偏見はちゃんと変えられる」 『ドラクエ』がそんな気持ちにさせてくれた

 漫画には、喘息がひどくて学校に通うのも大変だったかずささんの幼少期の姿が描かれている。ある日のこと、「息子が受験だから」と、親戚の叔母さんがファミコン本体とたくさんのゲームソフトを譲ってくれたのがゲームとの出会い。そこからファミコンに夢中になり、なかでも「ドラゴンクエスト2」は最高に面白いと感じた。

「主人公は白兵戦なのに敵が複数出てくるので、城から出た途端にとても心細くなる感じや、仲間を集めるのに結構やきもきする展開があるから、仲間にできたときにとても嬉しい感じ。そういった感情を『ロールプレイ』で楽しめるのが、小説と違って面白かった。そして、とても難易度が高かったことも、思い出に残る要因です」

 ゲームの虜になったかずささんだが、学校で男子生徒たちがドラクエについて話しているところに、「面白いよねドラクエ!」と会話に加わろうとしたら、「ドラクエ女!入ってくんなや!」と”女子だから”という理由で仲間に入れてもらえなかった。さらに、そのことを母親に伝えると、「女だてらにゲームなんかするからやん」と言われてしまい、それからはゲームを一人でこっそりと楽しむようになっていく。

 そんな中、「ドラゴンクエスト4」と出会ったことが大きな転機となる。このゲームでは主人公のキャラクターを男性・女性の両方から選ぶことができたため、「勇者が女の子でもいいんだ」「女の子が大きな化け物を倒してもいいんだ」と感じ、かずささんの抱えていたモヤモヤはスッと晴れていった。

「おかしな風潮や、よく分からない偏見は、ちゃんと変えられる。好きなものをちゃんと好きでいていいんだと思わせてくれたのが『ドラクエ』でした。私は家にこもりがちで本ばかり読んでいたので、物語はもともと好きだったのですが、お金を貯めて買い物ができたり、遠くへ旅をして苦労をしたりなど、リアルではできないトライアンドエラーができるのは、小説とは違う面白さがありました。以前やっていた『PlayStation4』のCM『できないことができるって、最高だ』という言葉に、すべてが集約されていると思います」

 2人目は、ロリータファッションをこよなく愛し、世の中の不条理に対する的確なツッコミが話題を呼んでいるTwitterアカウント「うさぎのみみちゃん」。ロリータへの偏見に対する思いや、世の中の不条理な出来事などについても言及している。

「ロリータというと『頭の中お花畑』とか『お菓子を食べて生きてるんでしょ』などとマイナスなイメージを持たれがちです。私たちと話すとき、人は一気に偏差値を落とした言葉を投げかけてくる。“軽んじてもいい存在”と思われているのかもしれません。でも、私たちは服装が皆とは違うというだけ。好きな服が派手だっただけで、同じように難しいことも考えるし、同じ土俵で生きているんだぞと、ロリータ服を着る人々の思想や生き方を伝えたかったんです」

 Twitteには、ロリータファッションのことばかりではなく、うさぎのみみちゃん自身の子ども時代のエピソードの投稿も見られる。思春期の頃は、周囲から求められる自分を“演じる”ことが何よりもつらかったという。

「『普通だね』と言われる自分をとにかく演じていました。転校を機にいじめられるようになって、『ここで輪から外れたら、小学生の時よりもずっと苦しいかもしれない』と怖くなって…。大して好きじゃないものを『好き』と言って、校則を守る“いい子”をしていた。それでもずーっと服は好きで、ロリータ服が大好きでした。でも、『好きなものは胸を張って好き』とはどうしても言えなかった。子どもの思考の中で、がんじがらめに縛られていましたね」

 これからの展望について聞いたところ、うさぎのみみちゃんの言葉からはとても強い決意が感じられた。

「この世の中では『若いから』『女だから』と主語を大きくして、他人を非難しがちです。ロリータ服を好む人たちでさえ、『ロリータ服を着ているから○○しなきゃ』と無意識にカテゴライズしてしまっている。でも、自分が納得できるなら『私は好き』と言えばいいし、納得できないなら『私は嫌』と言えばいい。苦しみ悩んだときに何を選択するか、決めるのは自分だし、自分が納得していればそれでいいんです。大切なのは『私は私』であること。それを胸に、自分の描きたいことを好きなように発信していきたいです」