今年40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』において、シリーズ全体を通じて1,2を争う人気を誇るのがシャア・アズナブルだ。「シャア専用ザク」「百式」「サザビー」など、彼が搭乗したモビルスーツもどれも人気なのだが、モデラー・えーちん(@joukoko4)氏は、そのひとつ「シャア専用ズゴック」を“妄想創作”。自分らしく創造したガンプラなら、見た人に「笑われてもいい…」そう達観できる理由とは。

【ガンプラ】ガ…、ガソリンで動くズゴックだと!? 「百式」「サザビー」などシャアの搭乗機を一挙公開!

■“シャア風”のヘルメットで仲間を元気づける、35歳・独身のお調子者がパイロット

――このズゴックに乗っているパイロットは「“シャアの真似をしているオジサン”」とのことですが、テーマやストーリーを教えてください。  

【えーちん】大枠のテーマはありますが、設定を深く考えてはいません(苦笑)。というのも、見ていただいた方に自由にストーリーを考えてほしいからです。とはいえ、なんとなくの設定はあります。乗っている機体は、ズゴック型のモビルワーカーサイズとして作り始めました。

――モビルワーカーという名前や頭部のコクピットを見て、富野由悠季監督のアニメ『戦闘メカ ザブングル』を連想しました。

【えーちん】おっしゃる通り、『ザブングル』のオマージュ要素も盛り込んでいます。キットは1/100を1/35の設定に変更しました。戦地で働く土木作業機という設定で、搭乗員はシャアをリスペクトしている中年パイロット。ヘルメットにツノを付け、アイマスクはサングラスにしたり“シャアの真似”をしています。それ以外のストーリーは、見て頂いた方それぞれに頭の中で物語を広げてもらえたら嬉しいですね。

――この作品を作るキッカケは?   

【えーちん】キッカケは雑誌のコンペでした。インパクトのある作品を作りたくて色々と案を出した末にこの方向でやってみようと。元々、『ザブングル』の作中で躍動するウォーカーマシンが大好きだったので、その影響は大きかったと思います。

――なるほど、背中を見るとモビルスーツとも違った動力のように見えます…。

【えーちん】すみません、そこも深く考えていなくて(笑)。背中のバックパックにはハーレーのエンジンを載せているので、ガソリンエンジン…ですかね。現実には有り得ないでしょうけど、『ザブングル』も動力源はガソリンだったので、そこはご容赦いただけたら…(苦笑)。ガンプラを作る際は深く設定を考えて、「ここから動力軸を伝わせて…」とか考えるのも楽しいのですが、私は自分なりの“妄想”模型も楽しんでいます。

――このシャアの真似をしているオジサンが興味深いです(笑)。

【えーちん】作りながら考えていたのは、お調子者でおっちょこちょい、今年で35歳の独り者、女好きで人情深い、でも前線に駆り出されても必ず戻ってくる、そしてシャア風のヘルメットをかぶるのは仲間を明るく元気づける為…。そんな事を考えて作っていると楽しいんですよね、模型って。

■作品を見て「笑わせた」「笑われた」、どちらでもいい

――このズゴックはどういった活動をするためのものですか?

【えーちん】考えていたのは戦闘も出来る作業機です。ユンボみたいな左手を使って木を倒して運んだり、土のうを積んだり。アタッチメントで手先をバケットに替えたり出来たら役立つでしょうね。右手はズゴックのままアイアンネイルにしました。

――この作品で使用したキットは?

【えーちん】MG 1/100シャア専用ズゴックです。付け足したパーツは戦車のエンジンハッチやバイクのエンジン、『ザブングル』のパーツもいくつか使いました。

――制作で苦労した点を教えてください。

【えーちん】コックピット回りですかね。頭をくり抜いて窓にしたのですが、数ヵ所折れました(笑)。その窓部分はパカっと開く様に作ったので、それもしんどかったですね。あと、左手のクローはプラ板を組んで作りました。

――では、この作品でこだわった表現は?

【えーちん】戦闘機や車、トラクターみたいに「自分でも乗れそう!乗りたい!」って感じて貰えたらなって。あと、作業機らしいツヤとか汚れ、質感を気にして作りました。

――こうした独自性のある作品を作る原動力はなんですか?

【えーちん】そうですね、見て頂いてクスっと笑顔になって貰えたらって思いながら作っています。真っ当なガンプラ作りもしていますが、創作系の方が夢中になって作れるんです。粘土作りも好きなので、頭の中で描いたモノを表現するのが好きなのかもしれません。だから自分なりの作品ができたなら、結果的に「笑わせた」でも「笑われた」でもどちらでもいいんです。

――えーちんさんが考える「ガンダム」という作品が持つ力とは?

【えーちん】私はファーストガンダム世代なので幼少期に見たザクの1つ目に心奪われました。その後、続々と登場するジオン軍のモビルスーツ達に夢中になったのをよく憶えています。なので、旧キットを作っているとなんとも幸せな気持ちになるんですよね。ゼータ世代、ダブルゼータ世代、後々のガンダム世代全て、初めて見た作品が自分の中の「ガンダム」になるのかも知れません。各世代それぞれに“最高のガンダム”作品があるからこそ、40年にわたって愛され続けているのだと思います。

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