デビュー20周年のアニバーサリーイヤーを文字通り駆け抜けている倉木麻衣。その締め括りとして12月25日には初のシングルコレクション『Mai Kuraki Single Collection ~Chance for you~』を発売する。大きな節目を迎え、ライブでは新たなチャレンジも始めている倉木。20年というひとまずのゴールと同時に新たなスタート地点に立った今の心境、これからの夢を語ってもらった。

【撮り下ろし写真】20年経っても変わらぬ“透明感”放つ倉木麻衣

◆全国ツアーでは“音楽をやってきて良かった”と実感できた

 デビューシングル「Love, Day After Tomorrow」(1999年)から20年。アニバーサリーイヤーを迎えた倉木麻衣は今年、これまでのキャリアを振り返ると同時に、現在の最新スタイルを提示する充実した活動を続けている。

 8月から10月にかけて全国ツアー『20th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2019 “Let’s GOAL!~薔薇色の人生~”』を開催。ファイナルの東京国際フォーラム ホールA(10月26日)では、往年のヒット曲から最新アルバム『Let’s GOAL!~薔薇色の人生~』収録曲まで、20年を網羅する楽曲を披露。サックス、ギター、ストリングスなどをフィーチャーした“楽器とのコラボコーナー”も実現し、幅広い表現を見せつけた。

「“夢を持ってがんばっているみなさんに元気をお届けしたい”という思いを持って全国を回らせていただきました。初挑戦の楽器とのセッションでは新しい世界観をお見せすることができたと思いますし、みなさんの笑顔を見て、“音楽をやってきて良かった”と実感できる瞬間がたくさんあって。まさに“薔薇色”の時間を過ごさせていただきました。オープニングの映像では、20年前、16歳のときに撮影した「Love, Day After Tomorrow」のMVを再現。20年の軌跡を感じていただきながら、いまの倉木麻衣をお届けできたんじゃないかなと思いますね」

◆「デビュー当時は“すごい鼻声。何とかして解消したい”と思っていた」

 12月25日には、初のシングルコレクション『Mai Kuraki Single Collection ~Chance for you~』をリリース。CD4枚組となる本作は、RYAN SMYTH(ビヨンセ、Green Day、DREAMS COME TRUEなど)、TED JENSEN(ノラ・ジョーンズ、マドンナ、Coldplay、米津玄師など)、CHRIS GEHRINGER(Jay-Z、レディー・ガガ、リアーナなど)、RANDY MERRILL(アデル、ティラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、リアム・ギャラガーなど)という世界最高峰のエンジニアがマスタリングを担当。既存のシングルを集めただけではなく、気鋭のエンジニアの手によってアップデートされたサウンドを堪能できる。

「4人のエンジニアの方にリマスタリングしていただくのは初めての挑戦だったんですが、それぞれに個性的な音になっているし、オリジナルとは違ったサウンドを楽しんでいただけると思います。デビュー当初の曲は、10代の頃の自分の声が鮮明に聴こえてくるんですよ。初めて自分の歌声を聴いたとき、“すごい鼻声。何とかして解消したい”と思ったことを思い出しました(笑)。幅広いジャンルの楽曲にトライすることで、少しずつボーカルの幅が広がってきたことも改めて感じましたね」

◆「『名探偵コナン』とのコラボだからこそ生まれた曲がたくさんある」

 本作にはもちろん、「Secret of my heart」(TVアニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ)、「渡月橋 ~君 想ふ~」(映画『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』主題歌)など、「名探偵コナン」関連の楽曲も収録。“倉木麻衣×名探偵コナン”のコラボレーションについて彼女は、「『コナン』の楽曲を担当させていただくことで、私自身も成長させてもらっています」と語る。

「『名探偵コナン』の曲を最初に歌わせてもらったのは、「Secret~」。デビュー前からお小遣いをためて単行本を集めていたので、主題歌を歌えることがすごく嬉しかったし、“これで運を使い果たしたかも”と思いました(笑)。「Secret~」は、コナン君と蘭ちゃんのことをイメージしながら、私なりに“こういうメッセージが合うんじゃないか”と思うことを歌詞に書かせてもらって。コナン君は(作品のなかで)どんどん成長しているし、私自身もそれを楽しみながら制作させてもらってます。『名探偵コナン』とのコラボだからこそ生まれた曲がたくさんあるし、この作品を通して、海外に向けて日本の文化の良さを発信できているのも嬉しいですね」

◆いまやアジアでもっとも知られている日本人アーティストに

 倉木麻衣が初めて海外(台湾)でライブを行ったのは2007年。2010年代に入ってからも、ほぼ毎年のようにアジア各国での公演を継続し、昨年、中国最大の音楽アワード「第25回CHINESE TOP10 MUSIC AWARDS」で「アジア風雲歌手賞」を受賞するなど、いまやアジアでもっとも知られている日本人アーティストとなった。海外のファンに対する思いも年々大きくなっているようだ。

「デビュー当初からアジアの方からファンレターをいただいて、“ぜひこちらでライブをやってください”という声も届いていて。日本での活動だけで精一杯だったし、なかなかタイミングが合わなかったんですけど、2007年に念願が叶い、初めて台湾でライブを開催しました。毎回、すごく熱い気持ちで応援してくれるし、ライブでも一緒に日本語で歌ってくれて。中国ではライブ中に座席から立つことができないことが多いんですが、前のめりになって声援を送ってくれるんですよ。ペンライトで“Mai-K”の文字を描いてくれたり、海外に行くたびに感動をもらっています」

◆これからやってみたいことは、“場所とのコラボ”

「MOTTAINAI運動」で知られる環境保護活動家ワンガリ・マータイ氏との交流をきっかけに、カンボジアに寺子屋を建てるプロジェクトを立ち上げるなど、ボランティア活動にも積極的に取り組んでいる倉木。20年に渡って音楽シーンの第一線で活躍している彼女の活動の中心には、“思いを共有したい”というモチベーションがあるという。

「音楽の聴かれ方、楽しみ方は広がってきていますが、私にとって大事なのはやっぱりライブ。そのときの気持ちを乗せて歌を届けることで、聴いてくれる方の心にダイレクトに響くと思うんですよね。ボランティアの現場でも、みなさんの笑顔を見て、お話をさせてもらうことで、気持ちを共有することできて。根本はつながっているんだなと思いますね。これからやってみたいことは、“場所とのコラボ”。テーマパークや水族館などでライブが実現できれば、また新しい世界観をお見せできると思っています」

文/森朋之、撮影/草刈雅之