俳優の松田龍平が27日、東京・渋谷のNHK放送局で行われたスペシャルドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~A Stranger in Shanghai』の取材会に参加。日本を代表する小説家・芥川龍之介を演じるにあたり、「ウィキペディアを見ました」と赤裸々に役作りについて明かした。

【写真】ダンディ感溢れる…”芥川龍之介”ポーズをする松田龍平

 ドラマを観た感想について松田は「見応えあって満足しています」と笑顔で「ステキな経験をさせていただいた。100年前の上海にタイムスリップしたような気持ちで、やらせてもらいました」と口にした。

 勝田夏子制作統括は松田の起用理由について「芥川龍之介は文豪で日本文学の代名詞と言える方。やれる方は限られると思うんです」と芥川について語り「29歳の、ある若さを持ち、かつ文豪としての風格もある。かつ、紀行文を読んでいると1人の青年が初めて海外に行った目線と同時に、知的な目でいろいろなことをフラットに観察している視点もあった。そういう、いい意味でのフラットさ距離感が松田さんの特性とマッチしている」と説明した。

 という話となったが、当の松田は芥川の印象について「そうですねぇ…」としばらく悩み「あまり馴染みがなかった…」と言葉を選んでぽつり。また、考え込むと「だから、今回はウィキペディアをたくさん見ました。芥川のことを知ろうと思って…。ホントに、それぐらいです」と正直過ぎる告白をしながら「恥ずかしいですけど…」と大照れしていた。それでも最後は「芥川の人生の中でも、ほんの短い旅の話なんですけど、その短い、それでいて濃厚な上海の旅を演じることができたのは僕にとって大きな収穫だった、と今はポジティブに考えています」と噛みしめるように語っていた。

 同スペシャルドラマは海外向けに発信する作品で、国内に先駆けて英語字幕で放送する。さらに撮影監督に、映画『十三人の刺客』で第34回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞するなど、日本映画界をけん引するカメラマン・北信康氏を迎え、ほぼ全編を上海で撮影。NHKとしては異例の作品となっている。

 物語の舞台は今からおよそ100年前、1921(大正10)年、29歳の芥川龍之介は大阪毎日新聞の特派員として上海に渡った。子どものころから「西遊記」などの古典に親しんだ芥川にとって、そこは憧れの理想郷のはずだった。だが、当時の中国は動乱のさなか。清朝を倒した革命は、やがて軍閥の割拠という混乱に至り、西欧諸国や日本が上海の租界をわがもの顔で支配し、民衆は壮絶な貧困にあえいでいた。

 理想と現実のギャップに絶望すら覚えながらも、芥川の知性は巨龍・中国の精神世界へと分け入っていく。そこで出会うのは、革命に生きる男たちと、時代をしたたかに生き抜く妓楼の女たちだった…。

 本作は、芥川龍之介の「上海游記」ほかを原案に、“芥川特派員”が克明に活写した1920年代の中国を8Kの圧倒的映像美で鮮やかによみがえらせ、芥川の小説世界と、当時の中国の現実を交錯させながら、20世紀史に刻まれた日中の精神的交流をドラマ化。世界に向けて発信する。

■放送予定
(海外向け)NHKワールド JAPAN(40分×2本・前後編)
12月28日(土)・29日(日)
前8:10~/後2:10~/後7:10~/深2:10~

(国内向け)BS8K・BS4K・総合テレビ
12月30日(月)
後9:00~