テレビ東京開局55周年特別企画として、スペシャルドラマ『アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂~』が同局系で来年放送されることが明らかになった。主人公となる“バカヤロー解散”などで知られる総理大臣・吉田茂を演じるのは、落語家としてはもちろん、俳優としても高く評価されている笑福亭鶴瓶。同局のドラマ初主演となる。吉田茂の右腕として、日本の独立復興のために奔走、アメリカから“従順ならざる唯一の日本人”と呼ばれた白洲次郎を、同局のドラマ初出演の生田斗真が演じる。

【写真】原案書影の吉田茂本人と確かに似ている

 来年は、戦後75年という節目の年だ。1945年、敗戦国となった日本は、アメリカを中心とした連合国軍に占領された。その後、日本はいかに敗戦から立ち直り、再び独立国として歩むことが出来たのか?

 「日本は絶対立ち直る」という信念のもと、マッカーサーを筆頭としたアメリカ相手に粘り強く交渉を続け、強力なリーダーシップで日本の独立、復興のために突き進んだのが、時の総理大臣・吉田茂だった。彼は日本の未来をどう見据え、何を想ったのか…?

 今回、麻生和子氏の『父 吉田茂』(新潮文庫)を原案に、戦後日本の独立に向け尽力する吉田茂と周囲の人物たちの戦いを、娘・和子の視線でドラマ化。「これは単なる歴史の昔話ではなく、今現在と地続きの、大いなる『決断』を巡る熱い人間ドラマです」と、中川順平チーフプロデューサー(テレビ東京)は語っている。

 主演の鶴瓶は、雰囲気、貫禄、笑顔といったビジュアルだけでなく、「人たらし」とも言われた性格に至るまで、限りなくリアルに吉田茂を演じ上げた。「ヨメさんにも吉田茂さんが降りてきたんじゃないかって言われました」と、鶴瓶。

 長ぜりふに、英語、標準語のイントネーションなど、「何重苦でしたし、周りに迷惑を掛けないように頑張りました」。そんな中、印象に残っていることに挙げたのは、講和条約を締結する演説の下読みをするシーン。

 「本当に『日本は独立するんだ』って気持ちになって声を出して泣きました。(吉田茂の)そこまでの過程や苦労を踏まえた上で、この“独立”という言葉を見たときに自然と涙が出た。しかもこのシーンでは斗真も涙目だったんです。『あ、泣いてるな』って思いながら読み始めたら、こちらも号泣したっていう。普段泣かないので演技で泣くのも珍しいんですが、その中で自然と涙が出てしまうというのは自分でも不思議でした」。

 このシーンについては、生田も「人のお芝居を見てここまで心震えたことがあっただろうかっていうくらい、感動して衝撃でした」と、述懐している。中川チーフプロデューサーも「劇中、吉田が日本の未来を憂い、感情があふれ出すシーンは、鶴瓶さんご自身の真摯(しんし)な願いと重なって見える気がしました。文字通り魂のこもった演技は、このドラマ最大の見どころの一つです」と、太鼓判を押す。

 「演じれば演じるほど吉田茂を理解」できたという鶴瓶。「吉田茂は年を取ると権力にしがみつくようになっていくんですけど、それによって晩年を汚すという部分が、人間味があって更に面白いなと。人間の業を思わせてくれるのがとても良いですね」。

 視聴者に向けては「『A-Studio』(TBS)では人の人生を掘り起こすんですけど、今度は人の人生を自分が演じるっていう…そして演じてみると、その人の人生がすごく面白いんですよね。あんな偉大で日本の土台を作った人ですから、“歴史”というより“事実”として見ていただきたいと思います」と、話していた。

 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK)で主人公・金栗四三の盟友・三島弥彦の熱演が記憶に新しい生田が演じる白洲次郎は、日本で初めてジーンズをはいたとも言われるファッションセンスと合わせ、「カッコいい日本人」の代名詞的人物。自らの信念を徹底して貫き、当時、圧倒的権力を持ったGHQに対しても一歩も怯まなかったと伝わる。

 生田は「日本に黒船が来航して、鎖国していた国が開国をして、100年もたたずに日本は戦争という戦乱の渦に巻き込まれていって潰れてしまった。もう一つの変わり目が、この時代。戦後、日本が独立をしてもう一度立ち上がって、平和な国として100年続けられるのか、継続する国になれるかということが作品のテーマとしてあるんですけど、世界の情勢とか国内の問題とかある中で、もう一度平和とか、日本という国のことを考える大きなきっかけになると思うし、見て下さった方々
に大きなメッセージとして届いてくれたらいいなと思います」と、コメントしている。