今月8日に日本公開を迎え、週末動員&興行収入ランキングで、2週連続1位のヒットを飛ばしている『ターミネーター:ニュー・フェイト』(公開中)。『ターミネーター2』の世界を踏襲しながらも、過去作を遥かに凌ぐ迫力とスピード感で進化した本作。中でも、70歳を超えて再び、ターミネーターT-800を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーの健在ぶりは、「ターミネーター」シリーズをリアルタイムで観てきたファンには感慨深いものがある。

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 オーストリアで生まれ、ボディビルディングの世界チャンピオンになった後、アメリカに移住し俳優に転身。俳優としてのキャリアを築けたのは『ターミネーター』のおかげだったと、コメントしている。

 肉体を生かした迫力のアクションが話題を呼んだ『コナン・ザ・グレート』(82年)、『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』(84年)の後、「ジェームズ・キャメロンが来て『ターミネーターを演じてほしい』と頼まれた。その瞬間から、僕の人生は変わり、それから『コマンドー』『プレデター』『トゥルーライズ』という、80~90年代のアクション映画のジャンルを作り上げたんだ。その意味で『ターミネーター』は僕にとって重要な作品なのさ」。

 『ターミネーター』(1984年、日本公開は85年)ではサラ・コナーを抹殺するため、『ターミネーター2』(1991年)ではサラの息子ジョン・コナーを守るために未来からやって来たT-800を演じた。『ターミネーター2』のエンディングでは自ら溶鉱炉に入り、消滅。正統な続編である『ニュー・フェイト』のT-800は、その後送り込まれた別のターミネーターだ。

 「T-800は、最も恐ろしい悪役トップ10の一人であるのと同時に、最もヒロイックなキャラクターのトップ10にも入るだろう。キャメロンのような人だけが、そういうキャラクターを創造できるんだ。その彼が今作にまた関わり、リンダ(・ハミルトン)が戻ってきたことはとても幸せなことだ。そして、ティム・ミラーは、完璧で、素晴らしい作品に仕上げた」。

 『ニュー・フェイト』では、シリーズの生みの親で、映像の革命児として常にハリウッドをリードし続けるジェームズ・キャメロンが製作に復帰し、リンダがサラ・コナー役で28年ぶりに出演。『デッドプール』のブッ飛んだ脚本と演出で一躍高い評価を得たティム・ミラーが監督を務めた。

 そして、シュワルツェネッガーが演じるT-800は、ミッション完遂後も未来の世界には戻らずに、カールと名乗って、カーテン屋「Carl’s Draperies(カールのカーテン屋)」を営みながら、人間社会で暮らし続け、ある女性とその息子の良き夫、良き父親になっていたという設定に。

 「ストーリーの変遷が素晴らしいですよね。1作目はただの殺戮マシーン。2作目ではプログラミングを変えた、という設定で殺戮マシーンと戦った。そして、新作のT-800は人間の行動を長期間学んだ状態。自分が機械であることを認識しているが、長い間、人間と一緒にいたために人間らしくなっているんです。半分機械で半分人間。そうやって変化し、発展してきたことがとても面白いし、演技という観点からはやりがいがあって、楽しかったです」

 それにしても、なぜカーテン屋だったのか。来日時に行ったインタビューで、シュワルツェネッガー本人が次のように明かしていた。

 「ジェームズ・キャメロンと今回のT-800について話し合った時、私が提案したことなんです。T-800といえば、パワフル全開、機械だけにハードなイメージでしたが、今回、人間らしくなっているところを表すために、極端に違う一面を出そう、と。それにはフェミニンなイメージがいいのではないか、と提案し、カーテンのデコレーターになりました。カーテンの色味や模様、美しさについて語ることができるT-800になりました」。

 女性と一緒に暮らすことで、彼女から多くを学んでいたT-800。そんな予備知識を得て、もう一度劇場で本作を見直したら、新たな発見があるかもしれない。