平成元年6月に亡くなった昭和を代表する歌手・美空ひばりさんの30年ぶりとなる“新曲”「あれから」が、令和元年12月18日にCD化されることが決定した。故人の歌声を人工知能(AI)によって蘇らせ、新曲としてCDリリースされるのは世界初の試みとなる。

【写真】美空ひばり新曲「あれから 」(AI 歌唱)ジャケット

 新曲「あれから」は、9月29日に放送された『NHKスペシャル AIでよみがえる美空ひばり』内の企画で生まれた楽曲。作詞とプロデュースは、ひばりさん生前最後のシングル「川の流れのように」(平成元年1月発売)を手がけた作詞家・秋元康氏が担当した。

 『NHKスペシャル』では過去の膨大なひばりさんの音声データから、ヤマハが開発を進めている最新の人工知能(AI)技術によって現代にひばりさんの声を蘇らせ、“AI美空ひばり”として新曲を歌唱し、人の心を揺さぶらせることができるのかという試みに挑戦した。

 曲中にはせりふもある楽曲を制作するにあたり、秋元氏は「演歌ではなく現代風のメロディーにしたかった」と話し、膨大な数のデモテープから選曲。サビの「あれからどうしていましたか?」と問いかけるフレーズは聴く者の心に染み入り、さらに「お久しぶりです。あなたのことをずっと見ていましたよ」「私の分までまだまだ頑張って」というせりふは、令和の時代に不死鳥・美空ひばりが蘇ったかのよう。

 番組が放送されるやいなや、SNS上ではそのAI技術と楽曲のクオリティーを絶賛する声が広がり、番組の再放送や楽曲のCD化の要望が相次いだ。その反響の大きさから、11月12日放送の音楽番組『うたコン』でも生披露され、NHKホールからAI美空ひばりの歌声が全国に届けられた。14日には『第70回NHK紅白歌合戦』の出場者発表会見で「美空ひばり、紅白で復活」企画も発表となり、令和初の紅白のステージに美空ひばりが登場することも明らかになった。

 当初は番組の企画として制作されたことから、「あれから」CD化の予定はなかったが、視聴者やファンの要望に後押しされ、老舗レコード会社・日本コロムビアが秋元氏や関係者に働きかけ、没後30年の節目に音源化にこぎつけた。番組で放送された「あれから」は、今月27日にデジタル先行配信。12月18日発売のCDシングルには新バージョンも追加収録する。

 秋元氏は「『あれから』という歌に多くの方々から大きな反響をいただいたと聞いて嬉しく思います。もう一度会いたいというみなさんの思いを、一夜だけの夢として企画したものですが、『あれから』は、美空ひばりさんが僕たちにくださった『これから』なのかもしれません」とのコメントを寄せた。

■加藤和也氏(株式会社ひばりプロダクション代表取締役社長)コメント
このたび「あれから」が商品化されるとのことで、多くの人に美空ひばりの新曲という形で聞いて もらえることは感慨もひとしおです。
美空ひばりはこの世には戻りませんが 、最先端の技術で、ここまで空いた隙間の時間を埋めてもらえるAIの素晴らしい側面を感じさせていただきました 。

■秋元康氏(プロデューサー)コメント
「A.I.によって、美空ひばりさんが甦ったら、どんな歌を歌って欲しいですか?」
そんなNHKスペシャルのスタッフからの質問から始まった企画でした。
もし、今、美空ひばりさんに新曲を書くとしたら、何をテーマに書くだろう?
わくわくしながら考えました。
美空ひばりさんが亡くなってから30年。
当時、30歳の若造だった僕も還暦になりました。
そこには、30年の「あれから」があります。
その募った思いを「あれから」という歌に込めました。
「あれから」という歌に多くの方々から大きな反響をいただいたと聞いて嬉しく思います。
もう一度会いたいというみなさんの思いを、一夜だけの夢として企画したものですが、「あれから」は、美空ひばりさんが僕たちにくださった「これから」なのかもしれません。