トップモデラーが組み上げる超絶クオリティのガンプラ。その“匠の技術”に目を奪われがちだが、モデラーたちに必要とされるのは、空間を演出するそれぞれの“世界観”だ。そこで今回、爆氏(@KNtDsyJXFiTb0EJ)の「シャアザク」ジオラマと、山田良太氏(@puramo_ryota)の「フルハッチオープン」を紹介。モデラーたちの“妄想”と“研究”から生まれた逸品を見てほしい。

【if設定】小説版ではアムロとセイラは恋人!? 爆弾ボディを披露するセイラにドキッ!ガンダム名場面をもう一度…!!

■連邦との戦力差や悲劇的な結末からジオン贔屓になった(爆)

 今回のジオラマでは、“恐怖の対象”としてザクを演出した爆氏。ガンダムワールドにおいてザクがこれだけ長く愛される理由を聞くと、「私にとってザクは、旧日本軍のゼロ戦の姿が重なります。連邦とジオンにおける圧倒的な物量差・戦力差という側面、結末が悲劇である点も、判官贔屓なのかジオン軍を応援したくなる要因です」と語った。

 つまり、本作品から感じる“悲壮感”や“恐怖”といったものは、「戦争の悲劇性や残酷さ」を表現したものなのだそう。

 「その点は私も意識している部分です。というのも、私のモデラーとしての技術や精度は人並み以下だと自覚しています。ただ、ガンダムやガンプラを愛している皆さんの『こんなジオラマを見たいだろうな』という思いを形にして出せるのが、私の“強み”といえます」

 一方で、こうしたジオラマ制作において「壁」を感じる場面もあるという。爆氏はその点について「筋彫りができません。キレイなガンプラを作れません。本当に無理です(苦笑)」と笑った。そんな「壁」があるからこそ、自身の“強み”を生かしているのだそう。

 実際、今は常時3つほどジオラマを制作しているという爆氏。複数のジオラマを平行して制作することで、煮詰まった際の気分転換にもなるという。さらに、こうしたジオラマ制作から“気づき”もあるようだ。

 「これまでは、ガンプラは単純に“ジオラマの題材”の1つとして捉えていました。しかし、これ程作り続けているということは、無意識下で“好き”が溢れているからだと思います(笑)」 

■伝説の模型誌表紙「フルハッチオープン」を現代に復活(山田良太)

 モデラーの山田良太氏が『月刊モデルグラフィックス』2018年3月号の400号記念のガンダム特集の1つとして制作した「全身ジオラマ、ガンダムフルハッチオープン」。本作について山田氏は、「2ヵ月ほどかけて制作をしました。子どもの頃から模型誌ファンでしたし、まさか憧れの“フルハッチオープン”を作ることになるとは思いませんでした」と振り返った。

 1982年5月、ガンプラブームの真っ只中に発売された模型誌『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙を飾ったガンダムの“フルハッチオープン”は、当時インパクト絶大だった。伝説の作品を作るにあたって、どのような苦労があったのか?

 「編集部からのお題は『もしお台場にあった1/1ガンダムがフルハッチオープンしたら』というものでした。そこからイメージを膨らませて、各所のハッチの開き方や、内部メカがメンテナンス時にどういう動きをして、どうやってメカニックが整備をするのか…、見る人が“妄想”して楽しめるものにしようと思いました」

 イメージソースは前述の『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙とし、他にも色々と過去のイラストや雑誌掲載の作例なども研究した山田氏。過去の作例を勉強しながら「本当に沢山の方が使われてるモチーフだなとあらため感じた」のだそう。また、表紙意外にも参考にしたのがOVA『機動戦士ガンダム0083』の劇中シーンだという。

 「ジムキャノンIIがハッチを強制開放するシーンがあって、その時の効果音の『ガバァ』って音が感じられそうな…音が資料というのも変な話ですが(苦笑)。あとは実際の戦闘機のメンテナンスシーンなどの画像も探して参考にしました」

 音さえも資料として作品に落とし込む“匠の技術”。トップモデラーの真骨頂を本作から感じ取ってほしい。

(C)創通・サンライズ