月間8,100万人のアクティブユーザーを持つLINEが8月に追加した新機能『OpenChat(オープンチャット/通称:オプチャ)』。匿名かつ不特定多数のユーザーが「トークルーム」に集い、日々会話を繰り広げている。オープン当初は“出会い系”や“わいせつなワードや画像”の投稿が問題視され話題になった。あれから3カ月、様々な対策を講じてサービスの健全化を図ってきたLINE株式会社『OpenChat』担当者に、“今”と“これから”について話を聞いた。

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■不適切な利用による“無法地帯化”に疑問の声が噴出 サービスの機能制限を実施

 興味関心事やライフスタイルの話題で会話や情報交換を楽しむ場として8月に誕生した『OpenChat』。LINEのグループ機能を拡張する形で、匿名・不特定多数とグループトークを楽しむことができる機能だ。

 「LINEのコアバリューは友だちや家族などの親しい人とのコミュニケーションですが、昨今、LINEでコミュニケーションをとる人間関係の幅やシーンは多様化する傾向にあります。この傾向を受け、様々なシーンでもっと便利・快適にLINEを利用いただけるよう検討を重ね、この度、興味関心事やライフスタイルの共通点をベースにグループトークや情報交換を楽しめる『OpenChat』を提供開始する運びとなりました」(『OpenChat』担当者)

 先行、一般と段階的に公開されると、ドラマやスポーツ中継を実況・考察したり、芸能やスポーツのファン同士、同じ趣味のユーザーが交流、情報交換したりと、略称“オプチャ”として瞬く間にSNSで広がっていく。

 ところが、想定以上に利用者が増加したことで問題点が続出。「利用者の内、大多数の方は有用に楽しく使用されていますが、一方で、利用者数が増えると一定の割合で不適切な利用をする方もいました」(同上)。

 検索機能を使うと、禁止されている“出会い目的”や“わいせつな表現”などの不適切なトークルーム・投稿が可視化されることに。Twitterでも「煽り合いと荒らしが増えて会話すらままならない」「犯罪の温床にしかならん気がする」「予想通りの展開すぎる」など、“無法地帯状態”に疑問の声が噴出。その後、LINEは機能制限を実施するなど、様々な対応策を講じていくことに。

 「トピックスベースで会話を楽しんでいただくためには、自分が関連する・興味があるトピックスを話題としているトークルームを探す必要があります。本来、『OpenChat』に検索機能は必要な機能と考えておりましたが、一部の方の不適切な行為によって健全なユーザー体験が妨げになっている状況を鑑み、8月末より一時的な措置としての機能制限を実施していました」(同上)

 その他にも、「違反行為への取り締まり強化」「管理者によるNGワード登録機能」「トークルーム内のNGワード自動削除を追加」「未成年及び年齢認証を行っていないユーザーに対する一部利用制限」「不適切な投稿、重度な違反行為に対する措置」など対策の強化や機能改善を実施していく。

■古参ネットユーザーは懐古? ユーザー主体のルーム運営で心のよりどころにも一役

 その一方で、世代によっては「15年前くらいの匿名掲示板やmixiを見ている気分になる」「古き良きmixiとかGREEモバゲーとかの匂い」と懐古するユーザーも。“無法地帯化”を静観、見守りながらも自治を強化、活用方法を模索することに。

 「筋トレ」や「ダイエット」を励まし合うトークルームをはじめ、「同じ病気の人が集まり情報交換」「夫の愚痴を言う」など、家族や友人など近しい人にも相談しにくい悩みを話す場や、「結婚式などイベントの参加者専用」「勉強会などセミナーの質疑応答専用」などのクローズドなもの、「花火大会実行委員会専用」の業務用途など、トークルームの活用は多岐にわたる。

 検索機能の制限中はトークルームをSNSで拡散することで輪を広げているが、特に「子育てママ・パパ」の交流は多数。赤ちゃんの夜泣き中に集い励まし合うトークルームはTwitterで拡散され話題になった。SNS上でも投稿が減り孤独を感じやすい夜中に、同じ“夜泣き“の悩みを持つ親同士が交流しているそうだ。

 さらに、今年、関東で猛威を振るった台風の被災エリアでは、数百名規模のトークルームが複数立ち上がりTwitterで拡散。現在も延べ数千人が情報交換や心のよりどころとして集っているという。
 「台風で不安な思いをしている方同士が『OpenChat』で交流するトークルームやボランティアを募るトークルームも見られました。台風きっかけに立ち上がったトークルームは、台風が去った後もエリア情報(ゴミ拾いなど)や台風含めた気象情報などの情報交換に利用され続けています」(『OpenChat』担当者)

■管理者とともに自治を強化、匿名ネットコミュニティのアップデートなるか?

 そして現在は、10月17日より一部のユーザーから段階的に検索機能が再開。より不特定多数のユーザーが自由に参加しやすくなり、既存の問題点をはじめ様々な“抜け道”が生まれることも想像できる。どのように対応していくのだろうか。

 「トークルームには個々のトークルーム内でのトラブルを防ぐ努力を行う管理人がいて、『OpenChat』全般の安心安全な環境づくりはLINEが行っています。今後も、管理者と一緒に安心安全なサービスを作ってまいります」(『OpenChat』担当者)

 管理者は主にトークルームを開設したユーザーで、開設後に共同管理者に設定されたユーザーも含まれる。管理者たちは独自のルールを設定して参加者に必ず見てもらうなどの工夫をしていると言う。また、管理者同士が交流するグループも複数あり、活用方法・運営方法を議論し『OpenChat』のより良い使い方が日々模索されている。

 そして現在は、「管理人の運営により活発にコミュニケーションが行われる場合もあれば、管理人が介入せずともユーザー同士でモラルを形成し、運営がうまくいっているケースもあります」(同上)。

 最後に、これからの『OpenChat』の目指すべき姿について聞いた。
 「私たちの想像をはるかに超えた斬新な使われ方やアイデアなどがユーザーの皆様から泉のように湧き出てくることを望んでいます。一方で、私たちはそうした多様なニーズにお応えすべく、この生まれたばかりの『OpenChat』をみなさまと一緒に育て進化させることで、末長く多くの方に愛されるサービスになるよう、ご要望に耳を傾けながらより一層努力を続けてまいります」(同上)

 例えば書籍化・実写化がされた『電車男』を生んだ大型掲示板『2ちゃんねる』や、もはや情報インフラと化している『Twitter』に代表されるように、今までネット上で誕生してきたコミュニケーションツールの多くは、改善を重ねながらユーザー同士で独自のルールを生み出し、文化を育んできた。『OpenChat』もユーザー同士の自治が確立されていくことで新たな文化を育んでいくのだろうか。今後のサービスの発展に注目したい。