“独自路線”で異彩を放つテレビ東京が、また驚きのプロジェクトを始動させた。クリエイターがさまざまな作品を手軽に投稿できるメディアプラットホーム「note」とコラボし、実験的な連続ドラマ『知らない人んち(仮)~あなたのアイデア、来週放送されます!~』を11月4日より放送。これは、1つのお題から、noteでアイデアを募った「一般クリエイター編」と「プロの作家編」、2つの物語を毎週同時制作・放送するという、まさに異例の取り組みだ。プロデュースを手がける太田勇氏(演出も兼務)と合田知弘氏に、規格外の連ドラを成立させる“からくり”について聞いた。

【写真】“自撮り棒”を片手に…YouTuber役の筧美和子らキャスト

◆「note」に結集するクリエイターの熱量を活かしたい

 連続ドラマ 『知らない人んち(仮)~あなたのアイデア、来週放送されます!~』(11月4日より毎週月曜24:12~/テレビ東京ほか)は、今年8月に資本業務提携を発表したテレビ東京と「note」を運営するピースオブケイクが、第1弾連動番組として手がけるもの。「シナリオコンクール」として、1つの作品単位で脚本を公募するケースはこれまでにもあったと思うが、寄せられた個々のアイデアを元に脚本を制作し、それを連ドラとして毎週放送するというのは、他に類を見ない挑戦といえるだろう。

「今年4月に、幻冬舎×テレビ東京×noteで『#コミックエッセイ大賞』という投稿コンテストを開催したんです。寄せられた4000通以上の作品は、どれも熱量の高いものばかり。その熱量を目の当たりにして、手法も内容も新しいコンテンツが作れるのではないか?と、今回の連動番組プロジェクトがスタートしました」(『知らない人んち~』プロデューサー・合田知弘氏)

「noteにはドラマの原作になりそうなエッセイ、漫画等を書いている方がたくさんいらっしゃいます。そこで最初に思いつくことは、その中から面白そうなものをドラマ化することだと思いますが、それでは新しくない。そんなとき、会員登録者数150万人以上を誇るnoteのクリエイターの方々と一緒に、キャッチボールをしながら脚本が作れたら面白いねと。テレ東らしさもある挑戦になりました」(『知らない人んち~』演出・プロデューサー・太田勇氏)

◆シナリオから撮影、編集まで「共同作業」でドラマを制作

 筧美和子が主演を務める本作は、とあるシェアハウスを舞台にした物語。第1話が完成するまでの流れはこうだ。【1】番組制作を発表した10月3日に「エピソード0」となる冒頭10分間のストーリーが自社の映像配信サービス「ネットもテレ東」とnote、YouTubeで公開。【2】その映像を受けて、続きのアイデアやストーリーをnoteに投稿してもらう。【3】寄せられたアイデアを元に、放送作家・脚本家のがじん祥太氏をはじめとする制作陣が、アイデアの種をつなぎ合わせながらストーリーを構築する。

 なお、2話目以降も毎週次話のアイデアを公募し脚本を制作。そのため、脚本作りから撮影、編集までを1週間で行うという、驚愕のスケジュールで制作が進行していく。ここまででもすでに斬新だが、加えて面白いのは、プロの脚本家が毎週1人ずつリレー形式で紡ぐ物語も展開される点。つまり、共通のお題動画から一般公募による「note投稿編」とプロの作家陣による「テレ東チーム編」がそれぞれ全4話(各約15分)制作され、視聴者は毎週2つの展開を楽しむことができるのだ。なお、「テレ東チーム編」の第1話は、ヨーロッパ企画の上田誠氏が脚本を手がける。

 ただ、1週間でドラマを作るというのは通常のやり方では不可能。ドラマは1日で10分間のシーンを撮影するのでもスピードとしては早いと言われており、約15分尺の内容を1日で2本撮影する本作は、まさに至難の業と言える。そんなときに、『YOUは何しに日本へ?』などの人気バラエティを手がけてきた太田氏の経験が活かされた。

「なかなか無謀な挑戦のため、声を掛けた制作会社さんからは断られることが多かった。ですが、各所に相談するなかで“1人では無理だけど、複数人で作業すればできるかもしれない”という意見をいただき、ドラマ畑が本業の方とバラエティ畑が本業の方、両方をスタッフとして配置するという発想に至りました。例えば、『YOU~』は2週間かけてロケしたものを3日後に放送することも珍しくありませんが、それができるのは、皆で協力して編集作業を行うから。撮影はドラマ班、仕上げはバラエティ班といった分業制でドラマ作りに挑みます。幸い『大変だけど面白そう』と賛同してくれる方が次々と現れ、劇伴作りなども複数人で行う予定です」(太田氏)

◆この企画を通して新しい才能と出会っていきたい

 規格外のドラマは、音楽のコライト(複数人のクリエイターが1つの楽曲を制作すること)のように、まさに英知の結晶。「エピソード0」を受けて、すでに第1話は撮影済みだが、両氏ともに「想像外のアイデアが溢れる現場で、非常に刺激を受けている」と語る。

「第1話の脚本作りまでに寄せられた投稿は500件以上。投稿を採用させていただいたクリエイターさんに関しては、スタッフロールにも名前を掲載させていただきます。本当に質も熱量も高い方が多くて、テレビ東京としてはこの企画だけに留まらず、この先もいろんな企画でご一緒してみたいと思うクリエイターさんがたくさんいます。この企画を通して、新しい才能と出会っていきたいという気持ちです」(合田氏)

 また、SNS等での“考察”によって盛り上がりを見せた日テレ系『あなたの番です』のように、「今後はただ視聴するだけでなく“体験型のコンテンツ”が熱量を帯びていくのでは」と合田氏。この挑戦的なドラマがシーンにどのような影響を与えるのか、放送後の反響に注目したい。