19年7月期に放送された主なドラマを対象とした、エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』発表の「第17回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で、日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)に主演した大泉洋が主演男優賞を受賞した。ラグビーに打ち込む熱い男たちの物語で、体を張った熱演ととともに、現役&OBラグビー選手などが出演した多彩なチームを座長としてけん引した大泉に、改めて作品を振り返りながら、その熱い現場への思いを語ってもらった。

【写真】体当たりの熱演を披露する大泉洋

■芝居経験はなくても、まっすぐで一生懸命だったアストロズ選手役たち

――これまでに数多くの賞を受賞されている大泉さんですが、『ノーサイド・ゲーム』での主演男優賞受賞へのお気持ちをお聞かせください。
大泉洋 『ノーサイド・ゲーム』というドラマのおかげのひと言に尽きます。「私の力およばず」なところもたくさんあったのですが、スタッフとキャスト全員のものすごい熱量で作られたすばらしい作品でしたので、観ていただいたみなさまにも満足していただける作品になり、そのおかげで私がこのような賞をいただけたのだと思っております。感謝のひと言です。

――大泉さんをはじめ、キャスト、スタッフの熱い思いが伝わってくるドラマだったと思います。
大泉洋 このドラマが作品賞を獲れなかったのはとてもは残念です。世界的にもここまで本格的なラグビーシーンを再現した作品はないと思うし、この先もそう作れない作品だったと思います。俳優にラグビーをさせるのではなく、ラグビー選手、しかも多くの元日本代表選手たちにお芝居をさせるという試みで、本物のラグビーシーンを撮ったというのが本当に画期的だったと思います。

――大泉さん自身も池井戸作品ファン。そんなドラマの撮影でほかの現場との違いを感じたことはありましたか?
大泉洋 池井戸作品は、観ている人たちが勇気をもらえる、元気になれる作品だと思うんです。日曜劇場という枠で、日曜日の夜に気持ちよく観て、月曜日から元気にがんばろうと思えるドラマ。読者として楽しませていただいてる身としても感謝の気持ちでいっぱいです。いい意味で、池井戸作品は裏切らない。視聴者は、最後はハッピーエンドだろうと予測している部分もあると思います。作者としては、そこを裏切っておもしろいものを作っていくという手法もあるわけで、ひょっとしたらそのほうがおもしろくなるのかもしれません。だけど、そこをあえて池井戸さんは人々が求めているものを作っている。なおかつ、その求められているものや期待を超える、感動させるものを作り続けているということは、本当にすごいことだと思います。ドラマを観ていた視聴者は、原作を読んでいて先がわかっていても感動してしまう、泣けてしまうと言います。奇をてらうもの、予想に反したものを作るよりもずっと難しいことなのではないかと思っています。

――現役&OBラグビー選手など専業俳優ではない方も多く出演されていました。座長として意識されていたことはありますか?
大泉洋 アストロズの選手役のみなさんは芝居経験のない方々だったので、最初はドラマやお芝居に対して、その接し方などに気を使ったり、引っ張っていったりする部分があるのではないかと思っていたんですけど、彼らはものすごくまっすぐで、だれよりも一生懸命やってくれる人たちで、私が彼らを引っ張っていく必要はありませんでした。どちらかというと、過酷な撮影のなかで彼らを気遣っていた部分が大きかったです。試合のシーンでは、激しいコンタクトもあるわけで、それは役者じゃない、ラグビーのプロの彼らにやってもらっているぶん、激しくもなっていく。そんな撮影が続いて、体が大丈夫なのか、そこへの気遣いの日々が多かったです。君嶋のセリフで「何度も彼らに背中を押してもらった」とありましたけど、私もアストロズのみなさんに役者として背中を押していただいたという思いです。

■ラグビーブームに果たした功績は大きい

――大雨のなかでのタックルなど、大泉さんもハードなシーンに体当たりで臨まれていました。印象に残っていることはありますか。
大泉洋 どのシーンも思い出深いんですけど、いま思い出されるのは、第1話の君嶋がアストロズの選手たちを鼓舞するシーンです。大変長いシーンでセリフを覚えるのも大変だったんですけど、彼らを鼓舞する最初のシーンは、このドラマを象徴するシーンだったと思います。最初のシーンから、アストロズの選手たちも気持ちの入った芝居をしなくてはいけなかったので、あのシーンは思い出されます。あと、最終回でこの試合で引退するといった浜畑(廣瀬)を抱きしめたシーンは、自分自信も胸が熱くなり、とても印象深いです。

――ラグビーW杯が大きなムーブメントになりましたが、その下地にこのドラマがあったとも言われています。
大泉洋 もともと私もこのドラマの前はそんなにラグビーに詳しいわけではなかったのですが、ドラマがあってラグビーにすごく興味を持ちました。放送が終わってすぐにラグビーW杯が始まり、私も何度かスタジアムに足を運んだんですけど、本当にあちらこちらで『ノーサイド・ゲーム』の話が聞こえてくるんです。このドラマでラグビーのおもしろさに気づいて、W杯にハマった人がいたんだろうと思うと、このドラマの果たした功績は大きかったんだろうし、そういうドラマに携われたことを本当にうれしく思っていますし、感謝しています。

――大泉さんにとってラグビーの魅力はどんなところですか?
大泉洋 ゲームがすごくスピーディでスリリングということはすごく思いました。こんなに目が離せないスポーツってなかなかない。一瞬でも目を離したすきにどうなるかわからないから、ながら観なんてとてもできません(笑)。選手がタックルをかわして抜け出す瞬間を見逃したくないですからね。日本代表はONE TEAMを掲げて闘ってましたが、チームのために全員ががんばる姿が感動的です。

■連続ドラマ出演は少ない? 映画とドラマ出演の違いは

――民放の連ドラ主演作としては、初主演を務めた『赤鼻のセンセイ』(09年7月期/日本テレビ系)以来です。昨今では映画出演が多い印象ですが、大泉さんの連ドラへの思い、向き合い方とは。
大泉洋 私自身、子どものころはテレビっ子でしたし、連続ドラマを観て育った世代なので、ドラマにもどんどん出演していきたいという思いはもちろんあります。ただ、映画は先に台本があることが多いので、台本を読んで自分が出演したいと思える作品に出合えることが多いのですが、連続ドラマの場合、事前に台本がない場合が多く、どうやって出演を決めていいいのかが難しい部分がある。テレビも先に台本があるのが理想ですよね。

――久々の主演作となった『ノーサイド・ゲーム』を応援していた視聴者に向けて、最後にメッセージをお願いします。
大泉洋 たくさんの方に観ていただけて、応援していただけて、すばらしいドラマになったと思います。本当にありがとうございました。テレビでは放送時間が決まっているために多くのシーンがカットされてもいますが、DVDなどではそういうシーンも復活していたり、メイキングで観ることができたりしますので、ぜひまたご覧になっていただきたいです。実は私自身もカットになっているシーンがたくさんあるので、個人的に楽しみにしています(笑)。