倉本聰氏が脚本家人生で初めて通年放送という長丁場に挑んでいる、テレビ朝日開局60周年記念 帯ドラマ劇場『やすらぎの刻~道』(月~金 後0:30~0:50)。倉本氏の代表作「北の国から」シリーズに出演した俳優・吉岡秀隆が、『北の国から2002 遺言』(2002年、フジテレビ)以来、17年ぶりに倉本作品に出演することが明らかになった。吉岡が登場する第177話、178話は、12月放送予定。

【写真】いしだあゆみと臨んだ長回しシーン

 同ドラマは、今年4月にスタートして以来、脚本家・菊村栄(石坂浩二)ら“テレビ人”たちが入居する老人ホーム「やすらぎの郷」の人間模様、そして、根来しの(清野菜名/風吹ジュン)・公平(風間俊介/橋爪功)夫妻の一代記を綴る「道」――という2つの世界が絶妙なバランスで描かれ、放送も折り返し地点を過ぎた。

 吉岡がゲスト出演するのは、「郷」パート。いしだあゆみ演じる、「やすらぎの郷」の入居者のひとり、元女優・中川玉子の生き別れた息子・牧田誠(まきた・まこと)役で登場する。

 玉子は大女優・桂木怜子(大空眞弓)の“世話係”という立場で登場しており、これまでそのプライベートが描かれることはほとんどなかった。しかし、「やすらぎの郷」で、ある“深刻な問題”が浮上。そのトラブルを解決するため大物フィクサーとかつて関わりがあった玉子が折衝役を担うことになる。そして、若かりし頃、玉子はそのフィクサーとの間に息子をもうけていたことが明らかに。

 わけあって離れてしまった息子・誠と玉子は30数年ぶりに対面を果たすが、アメリカの大学に留学したと聞いていた誠は、玉子の想像とはまったく異なる人生を歩んでいて…。はたして誠の現在の境遇とは…!? そして30年以上の歳月を経て再会した母と息子は何を語り合うのか。

 吉岡は、今年の夏、倉本氏と過ごした“富良野の夜”が、倉本作品との“縁”を再び結びつけたと明かす。

 「実は、約10年ぶりに富良野にいる先生を訪ねてお酒をいただいたんです。…で、少し長めの旅を終えて東京に帰ってきたら、“こういうこと”になっていて…(笑)。先生の脚本が本当に素晴らしくて、かつ僕のことを考えながら書いてくださったことがとても光栄で、本当にうれしかったですね」。

 吉岡との再会で“誠”という人物を新たに想起した倉本氏は、すでに脱稿していたシナリオに手を加え、2話分のストーリーを一気に執筆。吉岡は「誠という人間の過去にいったい何があったのか、さらにはあゆみさん演じる母・玉子さんとの関係性まで、あれだけの分量の中で見る人の想像をかき立てるところが素晴らしい。読んでいて鳥肌が立つほどでした」と、改めて倉本氏の生み出す世界に心震わせたという。

 しかし、倉本氏が新たに書き上げたシナリオには、11ページにもおよぶ長尺シーンが…。それは、再会した玉子と誠が境遇を語り合う、母子の静かな“山場”。カットを入れずカメラを回し続ける“長回し”で撮影された。リハーサルから感動の演技を見せ、互いの愛情が交錯する、やさしく切ない場面を熱演。本番のクライマックスには2人の目に涙が光り、まさに珠玉のシーンが撮れたという。

 いしだあゆみとの共演は、映画『学校II』(1996年)以来。今回、久々に倉本作品というステージでじっくり向かい合った吉岡は「いやもう、ただただしびれました! どう芝居をぶつけても受け止めて返してくださるので、やっぱりあゆみさんはスゴイ」と、しみじみ信頼を実感。

 今回の撮影には「すでにできあがっているチームを乱さないようにという思いと、ちょっとは乱したいなという、相反する思いが胸にありました」と静かなる“闘志”を秘めて臨んだ、吉岡。「みなさんに倉本作品はひと味違うぞっていうことを改めて感じていただけたらうれしいですね。いや、ひと味もふた味もです(笑)」と、呼びかけていた。