40年の歴史を持つ『ガンダム』シリーズの人気を支えてきた、バリエーション豊富な“敵役”モビルスーツ(MS)たち。中でも、赤い彗星ことシャア・アズナブル最後の搭乗機となったサザビーの人気はとりわけ高い。ここでは、モデラーのエム・ライヴ氏(@M_Live733)が制作したファイヤーパターンサザビーを紹介。ガンプラ人生を変えた“展示会”の存在や、妄想の根源について聞いた。

【作画】サザビー、シャア専用ザクII、百式…シャアの“愛機”をガンプラで神再現!

■ガンプラ仲間の技術を吸収し、自分にしか出来ないモノを目指す

――自身のプラモ制作の“強み”は何ですか?

【エム・ライヴ】工作においては、まずはプロポーション変更です。HGでもMGでも水モノ系以外ならほとんどは何らかの改造を施します。1番多いのは「S字立ち」(※側面から見たときにS字を描くようにする)できるように改造します。ジムやガンダムの方がやりやすい改造ですが、ジオン系のモビルスーツにも施します。

――人体の構造に近づけるイメージですか?

【エム・ライヴ】人間骨格を参考に、やや猫背、腰は突き出せるように延長します。特に後ろ側、脚は膝関節が少し逆に曲がるように関節を加工します。首を延長したり、足首を延長し位置をずらしたりします。この様な「S字立ち」は最近のキットだと無加工で出来る場合もあります。それほど最近のガンプラは進化しています。ただ、古いキットだとたいていはズドンとした立ちしか出来ないので、人として自然な立ち、もしくは少し威嚇する様な立ちを表現する為にプロポーションの変更をしています。

――プロポーション以外ではどうでしょうか。

【エム・ライヴ】ディテールアップです。スジ彫り等の凹ディテールは苦手で、たいていはボルト、リベット、鋲などを無数に付け加える工作やパイピングです。プラ板を加工して貼り付けたりもします。よく質問されるのは、縞板鋼板のディテール追加です。Nゲージのアイテムで縞板鋼板のプラ板が売っています。切り出して薄くして貼り付けたりしています。

――エム・ライヴさんといえばファイヤーパターンの塗装です。

【エム・ライヴ】塗装に関してはファイヤーパターンやアニマル柄等の細密描写です。基本塗装はエアブラシで行います。たいていはエアブラシでグラデーションの面を作ったあとに面相筆で形を描き込みます。ウェザリング、ケープを使った剥がし塗装、エナメルや油彩を使ったウォッシングや墨入れ、ピグメントを使った錆表現、メタルカラーでドライブラシなども行います。こうした表現にこだわると実在感が増して作品に説得力が増すと思います。

――プラモを制作する際のこだわりは何ですか?

【エム・ライヴ】唯一無二の自分にしか出来ないモノをいつも目指しています。その為にも、たくさんのモデラーさんの表現や技術、素晴らしいと思ったものや自分に向いている、出来ると思ったものは取り入れる様にしています。展示会やオフ会では、作品を作った方と直にお話し出来るのでその場でテクニックを聞いて、帰って自分なりにやってみる事が多いです。

■ガンプラ妄想の根源にあるのは「生命」や「自然」

――まるでシャアの怨念が具現化したかようのです。ファイヤーパターン・サザビーの制作理由を教えてください。

【エム・ライヴ】制作の理由は自分でもよく分かりませんが(笑)、ガンプラに出戻って最初に取り組んでどハマりした作品です。

――どハマりした理由というのは?

【エム・ライヴ】SNSと展示会のおかげです。当時はアメブロをやっており、いろいろと検索をかけると、同じ時期に「MG 1/100 MSN-04 サザビーVer.Ka」の改修をされている方がいました。そういう人の制作記などをタイムリーに読む事が出来る訳です。しかもコメント欄から質問もできたりと、いろいろと衝撃的でした。もう5、6年前の話しですが。

――WEBを通じた出会いが刺激になったんですね。

【エム・ライヴ】それから、アメブロで知り合った方から「展示会に出さない?」と誘われるという、信じられない展開が起こるわけです。それが、“人に実物を見て貰う”というとてつもないモチベーションを産むんです!その展示会が、以前オリコンさんの記事に出ていたn兄さん率いる『千葉しぼり』なんですが、そこで初めて世に出したファイヤーサザビーは、最優秀賞を頂くわけです。本当にビックリしました。ビギナーズラックのカラクリが分かりました(笑)。

――ファイヤーパターンを手描きする難しさは?

【エム・ライヴ】プラモデルって表面がデコボコしているんですよね。ファイヤーパターンって紙に描いても実はちょっと難しいんです。それから面相筆で均一の太さ、しかも0.何ミリの次元で縁どりをしないといけないのでとても大変です。僅かな面積でもすごく時間がかかりますから。今では下描き無し、エアブラシでグラデーションを引いたら直接描き始めてますが、最初の頃はものすごく練習しました。今も理想のファイヤーの形を追求しています。

――ガンプラ制作をする際、“妄想”が大事だと思います。そのアイデアの源泉は?

【エム・ライヴ】モビルスーツって機械、ロボットなんですけど、その方向性は苦手なんです(苦笑)。僕の場合の妄想は「生命」や「自然」が根源なんだと思います。自然現象とでも言うのか。炎の表現や水の表現は逆の様で実は共通点もあります。不規則な中に規則性も見えて来ます。動物柄も描いていると、木目を描いてるかのような錯覚に陥る時もあります。絵の話しの様になりますが、何かの感情や想いといった、言葉にしにくい何かを色や模様で表現するのが我々の使命だと思います。なので、妄想は誰にも侵害されない我々モデラーの権利だと思っています。

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