NHKで9月30日、101作目となる連続テレビ小説『スカーレット』(月~土 前8:00 総合ほか)がスタートした。第1回のプロローグでは、戸田恵梨香演じる、ヒロイン・川原喜美子が自身の作業場で土と向き合う姿や窯から吹き出す炎と対峙する様子が描かれた。このシーンの撮影を迎えるまで、戸田は陶芸の稽古に取り組み、制作チームは本作のために番組オリジナルの焼き物窯を造り上げたエピソードなどを紹介する。

【写真】オリジナルで制作した穴窯

■戸田が挑む新ヒロイン“女性陶芸家・川原喜美子 ”とは

 第1回の冒頭で陶芸に打ち込んでいたのは、物語の先に待つ、女性陶芸家として独立した30代の川原喜美子。戸田は、女性陶芸家を演じるために、クランクイン
までに約3ヶ月間にわたって陶芸の稽古に励んだ。稽古では、粘土の中に含まれる空気を抜くための“土練り”の作業にはじまり、ロクロを使い小さなカップや茶碗を作る練習にも取り組んだ。

 器の底にある高台の部分を作るための“削り”や“絵付け”、さらに陶器の表面を覆うガラス質の部分を生成する“ 釉薬(ゆうやく)”のかけ方も学び、陶芸に関する多くの工程を習得。作陶指導の担当者は、高い集中力で着実に技術を習得していく戸田の姿に感動する毎日だったそう。さらに、戸田が粘土を扱う際の指先の繊細さや勘の良さを見て、陶芸家としての才能を感じたとも語っている。

 陶芸家の役に挑む戸田は、土を練る作業について「力がなかなかついていかなくって…」と振り返り、「陶芸が“男の世界”と言われるのがわかりました」とコメント。土練りの中でも粘土を片方の手で押し、もう片方の手でねじりながら回転させていく“菊(きく)練り”と呼ばれる技法には苦戦したそうで、「男性でも菊練りの後には息切れするぐらい力がいるんですよね」と話すと、「元々の私の体重では十分ではなかったので、陶芸家としての説得力を持たせるために、体重を増やしました」と明かしている。今後、描かれることになるヒロイン・喜美子の力強い作陶シーンにも注目だ。

■オリジナル窯をイチから製作「スカーレット窯」誕生秘話

 陶芸家・川原喜美子と共に、第1回のプロローグを盛り上げたのは、劇中で火を吹き上げていた大きな焼き物窯。実はこの窯は、今回のドラマのために制作チームが造ったオリジナルの窯。番組関係者の間で“スカーレット窯”と呼ばれるこの窯は、焼き物窯の古い型式の一つである「穴窯」 になっている。

 約半年間にわたって放送される『スカーレット』のファーストシーンで、ヒロインが対峙することになる窯とその中で焚かれる1200℃の炎。当初は特殊効果で再現することも考えたそうが、信楽焼を作るリアリティを演出し、ヒロインのキャラクターに深みを持たせるために本物の窯を作り、そこで火を焚くことを制作陣が決断。『スカーレット』美術チームの総指揮のもと、2019年1月から窯のデザイン案の制作を開始。手作り感や素朴さが伝わる形と質感が重要視されたこの「スカーレット窯」は、 デザインが仕上がるとそこから約2週間で完成させた。

 ドラマのために窯をイチから造ると聞いた戸田さんは真剣な表情で「ものすごい本気を感じますし衝撃を受けました」と語っている。第1回に登場した“スカーレット窯”は、中盤以降の重要なモチーフとして再びドラマに登場。本物の迫力がドラマを盛り上げてくれるに違いない。

■1200℃の炎と向き合い「自分の神経が研ぎ澄まされていく感じ」

 2019年5月、スカーレット窯が造られた滋賀県某所で第1話のプロローグシーンの撮影が行われた。この日は夜の撮影に備えて、昼から窯の中にまきがくべられて 火が焚かれた。陽が落ちた午後7時ごろ、撮影がスタート。窯が設置された小屋の中には、たくさんのスタッフがひしめき合い、窯から炎が噴き出すシーンや、臆することなく喜美子が窯の中にまきをくべるシーンが撮影された。窯の中の炎の温度は1200℃。戸田の顔が窯の炎で赤く照らし出される。本物の窯と炎と向き合った戸田は撮影について「窯の温度を1200℃まで上げるということは聞いていましたが、実際、そこに立ってみると、もう熱すぎて。距離があっても火傷しそうになるくらい」と、コメント。

 その一方で「窯の中を見つめていると、炎の勇ましさだったり、自分の神経が研ぎ澄まされていくのも感じた」と語り、「こんなのCGじゃ絶対に出せない、本物には勝てないなと思いました」と振り返った。本作のために造られたスカーレット窯については「撮影していく中で、窯のすごさを実感していった」と話すと「“ここから喜美子の世界が広がっていって、作品が飛び立っていくんだな”という未来のことも想像させてくれて、とても感慨深かったです」と語っていた。