なりきり、歌ネタの達人・秋山竜次(41)、料理の腕前もピカイチの馬場裕之(40)、やさしい顔立ちとは裏腹にプロボクサーとしてKO勝ちした経験も持つ山本博(41)からなるお笑いトリオ・ロバート。得意とする分野はそれぞれ異なるが、3人が集まった時にはコントで爆発的な笑いをかっさらう。

【動画】「SAY KOU SHOW」のミュージックビデオ

 1998年に結成してからほどなくして、フジテレビ系バラエティー番組『新しい波8』への出演をきっかけに、2001年に始まった同局のコント番組『はねるのトびら』レギュラーをつかむと、番組の人気と比例して一気に売れっ子芸人へと駆け上がっていった。結成21年となった今なお“コント師”として活躍を続けている3人に、ブレイク時の思い、新しい試みなどを迫った。

■『はねトび』ブレイクの裏に頑固さ「劇場ではやらない」 コントが生まれる瞬間とは?

【秋山】本当にすごいタイミングで『新しい波8』に出させていただいて、そこから『はねる』のプロジェクトが始まったので、まさにいい波でしたね。オレら的には早めに世間に知ってもらえましたし、コント番組だったので「コントキャラやったら面白いね」という風に認知してもらえたのは大きかったですね。自分の中での軸みたいなのが決まった感がありました。

【秋山】『はねる』では、個人的にはオタクとかねずみ講とかちょっと濃いキャラとかはだいぶ認知されました。『はねる』でハマったキャラを劇場とかに持ち込むと、見に来てくれた人は「うわー」って喜んでくれるでしょうけど、それをやることへの葛藤というか、ブレーキみたいなのはありました。劇場でやったら絶対盛り上がるはずなんですけど、テレビでやったやつには頼らないみたいな頑固なところがありました。

【馬場】秋山が嫌がるというのはわかっていたので、先輩から「あのキャラやってよ」と振られない限り、劇場で『はねる』のキャラは自らやらなかったです。

【秋山】今考えると、自分らがやっているキャラですからうまいこと混ぜてやればよかったんですけどね(笑)。ただ、テレビじゃなくて、オレたちだけで作ったネタも十分に面白いだっていう気持ちが強かった。本来はそれでいいんですけど、例えば『エンタの神様』ではやったネタをそのまま劇場でやることに対して、「テレビのやつやるんだ」という風に思っていました。だから『はねる』でやったキャラは、ロバートのコントの中ではやってなかったです。笑いよりも「あれ見れたキャ~」で終わってしまうのが嫌で。ただ、今はもうテレビでやったネタをガンガンやっていますよ(笑)。だけど、基本的に劇場に来てくれた人には、うわーこんなネタやっているって思ってほしくて。

 今でもコントを作り続けている秋山だが、そこへの苦悩はまったくない。2ヶ月に1度行われるライブで、10個から20個くらいのネタ案を山本、馬場と観客にプレゼン。そこで反応が良かったネタをコントに仕上げていくという作業をかれこれ10年続けている。

【秋山】僕らのコントは変な遊びから入ることが多いのですが、緻密なものとか、深い感じのものではまったくなくて(笑)。たった1個のテーマでどうでもいい、例えば北欧の酒場の歌い方を言う合うとか、よくわからないことわざを言うとかっていう、そんなに偏差値が高くはないネタというか(笑)。自分たちも楽しいし、幅広い層の方にもわかっていただけるものになっていますね。机の上でネタを考えるタイプではないので、伏線とかも考えながらコントを作っている人たちには考えられないと思います。僕らのコントで、設定の理由みたいなのを考え始めたら、もう無理になっちゃいますよ(笑)。僕は、コントが始まってしまったら、もう笑わせた方が勝ちなので、そんなに難しいのはいらないと考えています。

 コントの内容同様、何気ない場面で山本を攻め立てることからネタが生まれることが多いそうだが、7月には“ある大作”が、品川ヒロシのYouTubeチャンネルでひっそりと公開された。秋山が作詞作曲を手がけ、品川がメガホンを取った「SAY KOU SHOW」のミュージックビデオ(MV)だ。

【秋山】博がボクシングのプロライセンスを取った時に、1回くらい試合をしようということでやったら、見事に勝ったんですよね。その直後は単純にすげーなと思って、感動したんですけど、数ヶ月後に「そういえば、あの現場には誰か呼んでいたの?」って確認したら、博が「結婚する前の彼女を呼んでいた」と。僕はその時、博が付き合っていることも知らなかったので、そこからいろんな興味がわいてきて、いろんな質問を始めたんです(笑)。

【山本】そうなってくると、もうダメですよ(笑)。

【秋山】僕が「交際してから試合だったの?」「その時の順序はどうだった?」と聞いていくと、博は「どっちでもいいだろう」って嫌がるんですね。その感じが面白くなってきて、これはライブでやろうということで「交際」「試合」「性交渉」っていうカードを作ったんです。それで、博に順序を並べてもらおうと考えたのですが、それだけだと面白くないなということで、軽快なリズムで「交際して性交渉、それとも性交渉して交際?」みたいな感じで歌いながら聞いたら、答えやすくなっちゃったんです。

【山本】リズムに乗せると、ついつい話しちゃうんですよね(笑)。

【秋山】これはいいやと思って『ドキュメンタル』でも歌ってみたら、品川さんがわざわざ電話をかけてくれて「めちゃくちゃ笑ったよ」と言ってくれたので、さらに世に放りなげるためにも協力していただきたいと考えまして。兄貴肌で「やるよ」と快諾してくれたら、後はストーリーから撮影の手配まで、全部やっていただいて、僕らはもう撮影に行くだけでした(笑)。

■監督・品川ヒロシの寛容さに感謝 秋山を年に1度追い詰める岡村隆史のラジオ

 「SAY KOU SHOW」のMVは、山本が夜な夜な行われている宴に吸い寄せられるように入ってしまったところからスタート。パーティー会場を仕切る秋山が、山本に「交際して性交渉、それとも性交渉して交際?」とリズムに乗せて問いかけ、山本が思わずそれに答えてしまう…という形で展開していく。

【秋山】MVは、えらい壮大な感じで仕上がりました(笑)。それもこれも品川さんのおかげですね。よく(ドラマや映画の)撮影現場で「壊しちゃってくださいよ」って言われることがあるんですけど、その言葉通りに好き勝手やったら、慌てたように「もうちょっと抑えめに」って言われるんです。「どっちかい!」って感じになるのですが、品川さんは僕のその感じを知ってくれているので、(品川監督の映画「漫才ギャング」の時)マックスでやったら「めちゃくちゃいいじゃん」って。だから、僕も笑いを取りに行く時のマックスを出しています好き勝手やらせてもらっています。

 トリオの中では、攻める側の秋山だが、ナインティナインの岡村隆史がパーソナリティーを務める『岡村隆史のオールナイトニッポン(ANN)』(ニッポン放送 毎週木曜 深1:00)では勝手が違う。「カリスマボイストレーナー」として番組に登場すると、リスナーから「この歌の歌い出しはどうなっていますか?」などの猛攻を受け、頭をフル回転させて、リズムに乗せて歌い出す。あす29日に行われる年に1度のライブイベント『岡村隆史のオールナイトニッポン歌謡祭2019』へも出演するなど、すっかりおなじみの存在だ。

【秋山】いつの間にかボイストレーナーという立ち位置になっちゃって(笑)。横浜アリーナで歌う経験ってなかなかできないのでありがたいですし、リスナーに囲まれて、反応もすごいので、ただただ気持ちよくやらせてもらっています。ただ、番組の方はめちゃくちゃ怖いですけどね(笑)。めちゃくちゃなフリに生放送で対応しないといけないって、なかなかでしょう(笑)。深夜1時から、あんなにカロリー使うことないと思いますよ。ほかの番組も含めて、あそこまで追い込まれることないですね。毎年あの時期は大変ですよ。

 その苦労が報われるのが、ステージ上で繰り広げられる著名ミュージシャンとのコラボレーションだ。

【秋山】その流れで歌謡祭にも呼んでいただいて、いろんな方と共演させてもらいました。久保田利伸さんに混じって歌わせていただいた時も「オレ、なにやってんだいや、コレどういう状況!?」と我に返ります(笑)。毎年、岡村さんから「今年、何かある?」って言われて「あります」ということで呼んでいただけているので、年に1曲は用意しておかないといけないですね(笑)。

 結成から21年が経っても、いまだに仲むつまじくトークをする3人を見ると、この雰囲気がネタにもつながっていると実感する。「ケンカすることはないですか?」と聞いてみると、秋山がうんざりしたように話し始めた。

【秋山】仕事のことに関して何年に1回か、僕が言ったりすることがあるんですけど、それよりも博と馬場の、こっちから見たらやらなくてもいいケンカみたいなのがあるんです。

【山本】(馬場を指差して)せりふ量が少ないんです。そこで、台本に「馬場と山本のどっちでもいいよ」っていう部分があるんですけど、その時は言ってほしいんですよ。

【馬場】でも、オレはあんまりしゃべりたくないなって(笑)

【山本】こう言うわけですよ。それで3回くらい僕が折れてっていうのを繰り返して、次もってなったところで「いやちょっと待て。さすがにお前が言えよ」という言い合いになっちゃうんです(笑)。

【秋山】もうね…本当にこのくだり、いらないんですよ。どうでもいいんだから(笑)。ネタを書かない同士がさ、ちょっとここで振っておいた方がいいなというフレーズを言う言わないでケンカして…。40歳にもなって、そんなケンカはやめた方がいいよ。見てられない(笑)。