女優の室井滋(58)、デンマーク人翻訳家のメッテ・ホルム氏が30日、東京・新宿武蔵野館で映画『ドリーミング村上春樹』(10月19日公開)の公開記念イベントに参加した。

【写真】イベントに出席した室井滋ら

 同作は初めて劇場公開される小説家・村上春樹氏を巡るドキュメンタリーで、メッテ氏と村上氏を追っている。イベントでは公開を記念して映画『風の歌を聴け』(大森一樹監督、1981年公開)が上映された。同作に三番目の女の子役で出演していることから室井も登壇となった。

 メッテ氏は「翻訳するときは、できるだけ作家が書いたものを、そのまま伝えた方が正しい。映画の場合は新しい世界を作る。それが違いますね」と明かす。一方、早稲田大学在学中でシネマ研究会に属していたころ、37年前の出演を振り返った室井は「話し方もずいぶん変わっちゃって、しゃべるのが嫌になるぐらい」と苦笑い。

 室井にとって同作が劇場映画のデビュー作となっている。“自主映画の女王”と呼ばれ、難解な作品に多く出演していた室井でも解釈に困ることが多い役だったという。そこで12歳のころの写真を吹き替えや、自身の子どものころの写真で代替するのではなく、21歳の自分自身で撮影することを思い立った。「まずは洋服を買いに行くところから始めた。12歳ぐらいの女の子用のブラウスとスカートを買いに行った。着れないこともなかったんですけど、大人でしたので居心地悪そうに曲げた。それで鏡の前に立ったときに、すごく役が掴めた」と懐かしんでいた。

 また、メッテ氏は村上氏の翻訳への向き合い方を明かした。室井がメッテ氏に、訳に悩んだ際の話として「ここは(村上氏に)聞かないと前に進めないということも、おありだと思う。聞かれたことはあるんですか?」と質問。するとメッテ氏は「少しはあります」と返答した。ただ「だいたい答えてくれません。村上さんも自分が翻訳者だから、よくわかっている。彼は『あなたが読んでることを翻訳してください』と」と、村上氏ならではとも言えるスタンスを代弁。しかし、最後は「でも、たまにバカらしい質問は答えてくれますね(笑)」と微笑ましいエピソードを口にし、駆け付けたハルキストを笑わせていた。