フェルメールの「青いターバンの少女」や「日清カップヌードル」を彷彿とさせる「巻き寿司」の海外進出が話題だ。たまちゃんこと清田貴代さんは伝統的な寿司にとらわれない、新しく楽しい巻き寿司を「にっこり寿司」と命名し作品制作している。巻き寿司アーティストたまちゃんに、この挑戦の意図について聞いた。

【写真】これがお寿司だと?超巨大な「日清カップヌードル」寿司

■巻き寿司への違和感から始めた「にっこり寿司」 

 たまちゃんこと清田貴代さんは、2005年より約15年間、「巻き寿司アーティスト」として活躍。作品として「新しい楽しい巻き寿司」を作り、日本料理としての「巻き寿司」と区別するために「にっこり寿司」と命名して活動中。彼女の「にっこり寿司」の特徴は「見て楽しい」こと。色とりどりの具材を用いて、名作絵画風に仕上げたり、童話のモチーフを表現している。

――「にっこり寿司」の活動を開始した理由は?
【たまちゃん】巻き寿司を料理としてだけではなく、表現として制作、発表しようとしたのは私が初めてだと思います。「絵画」ならいろんな表現方法があるのに、「巻き寿司」だと「楽しく、美味しく作るモノだ!」と規定されることに疑問を感じ、他の領域を刺激するモノとして制作し、発表しています。

――たまちゃんが巻き寿司を始めた頃、周囲の反応は?
【たまちゃん】巻き寿司はキャラ弁などの影響で現在では料理としてやっている人も増えていますが、私が始めた頃はキャラ弁もなく「食べ物で遊ぶんじゃない!」と言われることもあり、料理としての域をなかなか超えさせてくれませんでした。

――「料理としての域」というと?
【たまちゃん】「マグロやイカを使って美味しくて、デザインも良いモノが出来たら一流だから認める!」なんて言う人もいて「寿司」=「料理」で、アート作品を作ることへの逆風が強かったです。

■「巻き寿司アート」を望む海外ファン 介護で忙しい中で思い浮かんだ「カルタ」制作

 たまちゃんのにっこり寿司は、今月19日、サンリオが運営するYouTubeチャンネル、ハローキティチャンネルの海外向け動画に取り上げられた。今月20日からは、海外の方向けに「巻き寿司カルタ」の発売も開始した。

――「巻き寿司カルタ」制作に至った理由を教えてください。
【たまちゃん】海外から仕事のオファーが度々来るのですが、昨年まで母の介護で日本を離れられず、日本から海外に向けて活動できないものか?と思い制作し始めました。

――「写真集・レシピ本」ではなく、「カルタ」にまとめた理由はありますか?
【たまちゃん】「写真集」のような書籍化も考えましたが、絵札にしたら、遊ぶ度に何度も作品を見てもらえるしライム(詩)と一緒にお気に入りの絵札(作品)が出来たら本のページをめくるだけでは得られない親近感が湧くんじゃないかと考え、「玩具」であるカルタにしてみました。

――絵札のテーマはありますか?
【たまちゃん】「海外向け」に販売するという事で、英語圏で伝わる「わらべうた」にしました。主に英語圏で伝わる「わらべうた」である「マザーグース」の絵柄を中心にしました。

――カルタ絵柄1つあたりの制作時間は?
【たまちゃん】絵柄によって違いますが、込み入った絵柄だと5時間くらい。また複数で構成されているモノは、一つ一つはそこまで時間がかかっていませんが全部を作らないと1場面にならないので、やはり5時間くらいはかかっているかもしれません。

■「生もの」の宿命 「鮮度」という越えられない壁があるからこそ「言語の壁は超えたい」

――巻き寿司アートの弱点というと?
【たまちゃん】アート作品と言っても生ものなので長い間展示出来ず、ほとんどの方が写真でしか作品を見られない。写真展示や作品集ではなく、「カルタ」にして身近に何度も見てもらうのもいいんじゃないかと。そんなワケで「カルタ」という形ではありますが、作品集と思って製作しています。

――面白い絵柄が多い様ですが、発言の奥に「言語の壁を超えたい」という意思を感じます。教育的な観点も考えて作られているのですか?
【たまちゃん】そうですね。カルタは「学習」の要素があるため、現在日本で作られている多くの「英語のカルタ」は(子供の)英語の勉強に役立つように作られているように感じます。日本人が「楽しそう!」と思ってカルタを遊ぶうちに「英語が身につく」という風に、海外の方には「英語学習」ではなく、日本文化の一つとして巻き寿司カルタを楽しんでもらえたらと思っています。最終的には日本の伝統的なカルタにチャレンジしてもらえるようになれば嬉しいです。

――「巻き寿司(にっこり寿司)のたまちゃん」として今後もやりたいことは?
【たまちゃん】巻き寿司で絵を描こう!と始めて、現在ではそれをどうやって見せて広めて行くか?日本人なら誰もが知っているのに、忘れられている巻き寿司やカルタを新しい視点で見て行くと、今までにないモノが生まれるということを、楽しみながらやっていきたいと思っています。