兵庫県神戸市出身、現在はイギリスに拠点を置く2人組ロックバンドThe fin. (ザ・フィン)。結成9年目を迎える彼らは、先月25日より中国全13公演のワンマンツアーを開催、総キャパシティが15,000人という規模ながら、すべての公演をソールドアウトさせるという「うねり」を起こした。なぜ、彼らはそこまでの人気を海外で得ることができたのか。海外生活で感じた音楽シーンと合わせ、帰国のタイミングで話を聞いた。

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■中国ツアーで感じた「強いエネルギー」

――ひとまず中国、台湾ツアーお疲れさまでした。スケジュールを見たんですがほぼ毎日中国本土を回ってライブ……大変だったのでは。

【Yuto Uchino(Vo, G, Syn)】ヤバいですよね(笑)。一日1,000kmぐらい移動してサウンドチェックしてライブ、ずっとその繰り返しでしたね。アメリカもツアーで回ったことがあるんですけど、その時は規模も小さかったから、そんなにプレッシャーが無くて気楽にやれていて。今回は全会場ソールドアウトと知っていたので、大変でしたね。

――お客さんの盛り上がりもすごかったのでは。
   
【Yuto】そうですね。街によって結構違うんですけど、例えば北京とかだと大人しかったりするんですけど、上海とかは凄いし、意外と地方が凄かったりする。みんな熱狂的というか、外から来るものに対して興味を持ってくれているのかなというのもあったりして

【Kaoru Nakazawa(B)】北京は都会的というか、日本とノリが近かったな。

――そもそも中国の人はThe fin.をどこで知ったんですかね?

【Yuto】中国は音楽を無料で聞けるアプリがあって、それで俺らの曲がバズッて(拡散して)有名になったんじゃないかなと。今はもっと音楽を聴く環境が整っていて、有料のサービスも出たみたいですけど。それまで中国本土でやれるなんて考えて無かったです。3年前に一度ライブしたんですけど、全然人いなかったし。

【Nakazawa】素人がイベントを作ってた感じで、100人ぐらいしかいなかった(笑)。ちょうどそのときはタイミングが悪くて、日中の関係が悪かった時期というのもありますけど。

――成長の速度がすごいですね。

【Yuto】若い人たちのエネルギーを感じますね。独自のカルチャーも生まれてるし、みんな「自分には何かが出来る」って思ってる。結構海外に留学する人も多くて、今ロンドンのファッション学校とか中国人多いんですよ。なんでかっていうと、中国って服がめっちゃ売れるので、海外でファッションを学んで自分の国でブランドを作って稼ぐっていう夢を持ってる。素直に「ええなー」って思います。

■結成当初から海外に行くことは決めていた

――日本ではあまり聞かない話ですね。ちょっと改まった話なんですけど、The fin.って最初から英語詞でしたよね。世界に活動の目を向けだしたのはそういった理由が大きかったんですか?

【Yuto】そもそも英語でやりだした時から、世界中の人が聴ける音楽でありたいなっていうのはあって。最初にSoundCloud(ドイツで誕生した音声ファイル共有サービス)で曲をアップしてたのも、そういう意味合いがあって。普通日本で……特にバンドやと、ライブハウスから成り上がっていく考えになるじゃないですか。でも、30歳中盤になって延々と日本でツアー繰り返していることを考えると「いや、これ間違ってるな」と思って。
   
――でも国内の実売数を気にせず、早い段階(2016年9月)でイギリスに拠点を置くのは、かなり勇気のいる決断ですね。

【Yuto】「とりあえずやったれ」みたいな(笑)。でも、The fin.を始めたときから海外に行こうと決めていたので。早いうちから向こうでライブに誘われて、リリースも出来てたっていう当時の環境も大きかったですね。もしかしてそれがアメリカだったらアメリカに行ってたかもしれないし。

――海外でライブをやるにしても、実際お客さんがどのくらい入るのか分からないじゃないですか。

【Yuto】最初はビビっていましたね。どんな感じになるんやろって。以前アメリカで、日本のバンドが何組かライブをするイベントに出たんですけど、俺たちの前のバンドがガラガラやったんですよ。でも、俺たちがリハやりだしたら、併設されてるバーからどんどんお客さんがやってきて盛り上がってくれて。音楽をちゃんと聴いて判断してくれてんねんなと。この間も、フランスでワンマンライブやったら反応がめっちゃ良かった。

――以前からThe fin.の存在は知っていたのですが、「海外でライブ動員が増えている」と知ったのは失礼ながら最近のことでした。

【Yuto】そうですね。それもこの1~2年じゃないですかね。イギリスに引っ越して、音源を制作して、アジア、アメリカも含めたツアーをするとなると、相当期間がかかるんです。その間、日本のリスナーからしたら「いなくなった」と思われるのもしょうがないというか。『Night Time』(2014年リリース)で多少知られて、そこから4、5年かけてまた出てきたって感じなのかな。

■どこで活動するかは固執しない

――日本でももっと知名度を上げていきたいっていうのは考えたりしますか?

【Yuto】もちろん自分が生まれた国なので、そこは気にしますね。外国の活動が基本という人もいますけど、俺らはそうではなくて肩肘張らずにどこでも活動できればいいかなって思ってます。「地球で活動する」みたいな(笑)。

――なにかに固執していない分、精神衛生上にも良さそうですね。

【Yuto】俺らとしては、やりたいことを貫いたら今の状況になったんで嬉しいですよね。死に物狂いでやってきましたけど、ずっと純粋に音楽が楽しく出来ているのがありがたいです。来年またイギリスに戻って引き続きやりたいことをやろうと。

――20日には恵比寿リキッドルームで『Culpool』というイベントに出演しますが、サマソニ以来の日本でのライブは1ヶ月ぶりなんですね。

【Yuto】今、逆に日本でライブするのが怖いです(笑)。っていうのは冗談で、ロックバンド、HIPHOPとかいろんなジャンルのアーティストがいるじゃないですか。だからThe fin.的には色んなお客さんに聞いてもらえる機会にもなるので、すごく楽しみです。とりあえずオールナイトのイベントなんで酒をガンガン飲みたいっすね(笑)。

【公演情報】
「CULPOOL -wave 05 Talented - 」
LIVE : The fin./BIM/小池龍平/kiki vivi lily/踊Foot Works/STUTS
DJ:ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)/YOSA & TAAR
日時:2019年9月20日(金曜日)開場/開演 23:30
会場:LIQUIDROOM/LIQUID LOFT/TimeOut Cafe & Diner
当日料金 : 4,000円