「広告代理店で受けたパワハラの話」というタイトルでツイッターに投稿された漫画が、大きな反響を呼んでいる。そこには投稿主である広告女子ぱすたさん(@pastayade)が、とある広告代理店に入社した当時に先輩から受けたパワハラの話が赤裸々に描かれている。現在も仕事を辞めることはなく、「大好きだ」という広告の仕事を続けているぱすたさん。SNSで広告業界のリアルを発信する理由について聞いてみた。

【漫画】「広告代理店で受けたパワハラの話」23時からの打ち合わせに、朝4時まで飲み会…ぱすたさんが経験した業界のリアルとは

■先輩からの激しすぎるパワハラで悪循環に「描き起こすのはつらい作業だった」

 新卒として配属後、成績が良くて人望も厚い入社7年目のプランナー・S先輩の下で仕事をすることになったぱすたさん。初めは尊敬できる先輩だと思っていたが、23時から打ち合わせを入れられたり、深夜2時にラーメン屋で「これ食って朝まで仕事な!」と言われたり、「休日出勤じゃなくて、自己成長の自習だと思え!」と土日祝日も無給で働かされたり…「飲み会も仕事!」と朝の4時まで連れ回される日々を送ることに。

 定時や休日の概念が無くなり、数ヶ月もすると、頭の回転が鈍くなり、ちょっとしたミスが増えてしまうようになった。それでも、S先輩に少しでも認めてほしくて、ぱすたさんは毎日寝る間も惜しんで頑張っていた。

 しかし、S先輩のパワハラはさらに激しさを増し、朝4時に退社して、3時間後の朝7時には出社をしなければいけない状況に。次第にぱすたさんの食欲は減退し、生理も止まり、いい企画も出せなくなり、どんどん仕事が雑になるという悪循環に陥ってしまった。

 そんな限界状態にある中、S先輩が担当する案件で前払い金の入金漏れが発覚。ところが、「お前が後輩なんだから、お前のミスだろ」と、S先輩は全く無関係のぱすたさんに責任転嫁する様子も漫画では描かれている。しかも、もしぱすたさんが本当のことを言ったら役員に根回しして辞めさせるといった脅しまでかけてくる状況だったという。

 結局はこの件がきっかけとなり、ぱすたさんは心身を崩してしまい、S先輩のチームを外れることになった。「少しでも、S先輩の様な人が業界から減ることを祈るばかりです」と、漫画の最後でぱすたさんは訴えている。

 この漫画を描く上で最も難しかった点について、「先輩に当時言われたことを文字で書き起こすのが、とても辛かったです。言われた言葉の数々は、今思い出してもすごく不安になるし、悲しくもなります。漫画に描くことができたのは、その中のほんの一部だけ。描く上では、当時の自分の感情を思い出すことにもなったので、そういった辛い記憶と向き合う作業が最も辛かったです」と、ぱすたさんは振り返る。

 さらに、「私は広告の仕事が大好きです。だから辛い経験があっても、今の仕事をどうしても辞めたくありませんでした。広告業界への批判は多々ありますが、私が良いこと・悪いことも含めてリアルを発信することで、広告業界の未来を少しでも明るいものにできたらと思ったんです」と、仕事を辞めなかった理由についても話してくれた。

■「広告業界の未来を少しでも明るいものにしたい」 だからリアルを発信し続ける

 このTwitterの投稿には、「私が辞めたときのパワハラ先輩と似ています」「時間外労働=やる気って、まだ多いんですよね」「こういう人、この業界じゃなくてもたくさんいる」「弁護士を通じて訴えたほうがいいです」など、たくさんのコメントが寄せられた。

 これらの反響について、ぱすたさんは「この漫画を描いた目的は、私が経験した広告代理店でのパワハラのリアルを知ってもらい、業界で当たり前になっていることを、「おかしい」「変えなければ」と少しでも多くの人に思ってもらうため。パワハラや辛い状況下にある人は、自分の心身の不調に気付かず、周りに助けを求めることができない人も数多くいます。私が実際にそうでした」と語っている。

「また、この話は広告業界に限った問題ではないと、私が描いた漫画に対する様々な意見・感想を通して知りました。どの業界でも、同じ様なことが起こり得ます。この漫画を通して、共感したり、自分自身が抱える辛さに気づいたり、また周囲に似たような状況の人がいたら助けようと思ったり、そういった人が少しでも増えて欲しいと思います」といった思いも吐露していた。

 今後についてぱすたさんは、「私が経験した広告業界のリアルを良いこと・悪いことも含めて、赤裸々に漫画で発信していきたいです」と、引き続き漫画を描き続ける決意を見せている。

「たくさん頂いた感想の中で、私が最も驚いたのは『広告業界って、本当にこんな感じなんですね!?』というもの。私にとっては当たり前だった広告業界の日常が、他の人にとっては全く当たり前でないと初めて知りました。だからこそ、私の漫画を通して、広告業界がどんな業界なのかを、業界外の人にも知ってもらいたい。それによって、閉鎖的な広告業界が少しでも外の意見を取り入れ、今よりも社会に向けて開かれ、多くの人にとって働きやすい業界になって欲しいと思っています」